好きなことで生きていく! YouTuber(ユーチューバー)はネット時代の寵児たちである。はじめしゃちょーなどのスターも誕生し、子供のなりたい職業にも「ユーチューバー」がランクインする今日この頃。

しかし、本当に YouTube はそんなに夢にあふれた場所なのか。わからなかったので、月収や再生単価などのリアルな収入事情をユーチューバーに聞いてみることにしたぞ!

・ユーチューバーの月収

「仮名なら」という条件付きで話を聞かせてくれたのは、ユーチューバー1本で生計を立てる30代男性・堂賀冬虎(どうがとうこ)さん。昨年から始めたYouTubeでのニュース動画が波に乗り、動画投稿での月収は20万円以上に達したという。しかし、なんだか顔色が悪い。どうしたんですか?

堂賀冬虎「実は、4月を境に収入が激減しちゃったんだ」

──ちなみに、どれくらい下がったんですか?

堂賀冬虎「う~ん、19万円くらい……」

──え? じゃあ、その時の月収って……

堂賀冬虎「4000円」

──いきなり想像超えてきた! 4月に何があったんですか?

・激変した再生単価

堂賀冬虎「差別的な動画が問題になって YouTube に広告を出してた会社が広告を下げたんだよね。再生単価って動画の長さやチャンネルの評価によって色々なんだけど、俺の動画でいうと1再生あたり0.5円くらい収入があったのが0.05円くらいまで下がった

──10分の1じゃないっすか。

堂賀冬虎「まあ、徐々に戻ってきてるんだけど、あれは3~4年に1回くらいの不況だったっぽいね」

──戻ってきてるって、今月の月収はいくらくらいですか?

堂賀冬虎「今月は4~5万くらいいきそう」

──ちなみに、動画の再生数が減ってるわけじゃないんですか?

堂賀冬虎「減ってないね。むしろちょっとずつだけど増えてる」


──動画の再生数が減っていないということは、再生単価のみで20万円から4000円まで月収が激変するということである。話を聞いただけで、ユーチューバーの将来に暗雲が立ち込めているような気がするが、堂賀さんは特に不安視していないとのこと。

・ユーチューバーの今後

堂賀冬虎「4月みたいにガツンと下がる事件はどうしようもないけど、基本的には広告の多い少ないは季節と一緒に動いてる。だから、ユーチューバーはもうしばらくできそうだし、もしも YouTube がダメになっても、ファンのいる人は別の媒体に移動したらいいだけだと思うんだよね」

──すでに、ある程度のチャンネル登録者数を抱えているユーチューバーらしい見解である。しかし、みんなそこまで行くのに苦労している気もするが……。堂賀さんは投稿を始めて、YouTube 1本で生活できるようになるまで、どれくらいかかったんですか?

・月収20万円になるまで

堂賀冬虎「俺の動画の月収が初めて20万円に届いたのは、3カ月目だったと思う」

──早い! 何かキッカケってあったんですか?

堂賀冬虎「1つの動画が急に爆発したんだよ。1日に3再生とかだったんだけど、ずっと『0にならないなあ』と思って見てたヤツがだんだん10になって40になったと思ったら……次の日起きたら1000とか。で、システム的なバグかもと思ってたら、夜になると1時間で1万回まわるようになった

──スゴ!

堂賀冬虎「その動画にリンクを貼ったら、他の動画も再生数が伸びてちょっとしたスパイラルになったんだよ。それで新しい動画を投稿したらその動画にリンクを貼るようにした。

そしたら、新しいもので伸びてる動画は優遇されるからまた伸びて。それを繰り返してたら、チャンネル登録者数が増えていったんだよね。そのうち新しいものを出せば、チャンネル登録してくれてる人たちが見てくれるようになったね」

・伸びる動画のコツ

──動画を作る時に何かコツでもあるんでしょうか。

堂賀冬虎「そうだなあ。色々あるんだけど、一例をあげると、時事系の検索ボリュームの大きいものを狙えば再生数を稼ぎやすい。そこに自分の意見を織り込むことでオリジナリティーを出せばいいかな。とは言え、スピード命。俺は政治系が得意だから、国会中継をチェックしてるよ

──でも、膨大なやり取りがありますよね。どうやって「ここをニュースにしよう」と判断するんですか?

堂賀冬虎「どの業界でも、この人に触れていたらある程度伸びるっていうスタープレイヤーみたいな人がいるんだよね。その人に注目するかな」

──話を聞いているこちらも思わず熱くなってしまう YouTube ドリーム。確かに鉱脈があることは間違いないようだ。しかし、個人的には「ユーチューバーになろう」というのは結構勇気のいる決断のように思う。堂賀さんが踏み出したキッカケとは?

・ユーチューバーになろうと思ったキッカケ

堂賀冬虎「実は家族が大きく体調を崩してしまったんだ。その時、面倒をみられるのが俺しかいなくて、家でできる仕事を探した時にダメ元でやってみようと。そしたら結構ウマくいったんだよね。もう今までずっと頑張ってきたし、しばらくはこういう感じで良いかな

──そんなエピソードがあったとは。真摯にお答えいただきありがとうございます。最後に、今、好きなことで生きてますか?

堂賀冬虎「今のところ……そうだね。発信する側になりたかったから。好きなことで生きてるよ

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.