「日本人は英語が苦手」という言葉をしばしば耳にする。いや、しばしばどころか頻繁に耳にするので、すり込みで「ワタシタチハ、エイゴガニガテ」だと思い込んでしまっているのでは……なんて勘ぐりたくなることもある。
しかしこの度発表された世界各国の「英語能力ランキング」の結果を見ると……うん。たしかに、日本人は英語があまり得意じゃないみたいだ。ということで、結果を見ていきたい。
・世界72カ国の英語能力をランク付け
世界的な語学学校『EF Education First』が世界中の人々を対象に英語テストを行い、その能力指数(EF EPI)をまとめたのがこのランキングだ。毎年実施されており第6回目となる今回は、世界72の国・地域に住む95万人以上の成人男女のテスト結果を元にしているという。試験はリーディングとリスニングの両方が含まれている。
まずトップ10をお伝えしていくが、アメリカやイギリスなど英語が “国語(その国を代表する言語)” となっている国はランキングに含まれていない。
【英語能力ランキング トップ10】()内は能力指数。
第1位:オランダ(72.16)
第2位:デンマーク(71.15)
第3位:スウェーデン(70.81)
第4位:ノルウェー(68.54)
第5位:フィンランド(66.61)
第6位:シンガポール(63.52)
第7位:ルクセンブルク(63.20)
第8位:オーストリア(62.13)
第9位:ドイツ(61.58)
第10位:ポーランド(61.49)
ちなみにシンガポールの公用語に英語は入っているが、あくまでも国語はマレー語だ。
・「非常に高い」から「非常に低い」まで5つのレベル分け
この能力指数は、各国の英語レベルを「非常に高い」から「非常に低い」までの5段階にグループ分けをしている。以下がそれぞれの能力目安だ。トップ10では、7位までの国が「非常に高い」となっていた。
「非常に高い」:高度な文章を簡単に読むことができる。
英語のネイティブスピーカーと契約交渉ができる。
社会生活の場面で正しい意味合いを持たせた適切な言語を使用できる。
「高い」:職場でプレゼンを行っている。
テレビ番組を理解できる。
新聞を読む。
「標準的」:専門分野における会議に参加している。
歌の歌詞を理解することができる。
熟知した内容についてプロフェッショナルなメールを書くことができる。
「低い」:同僚とちょっとした会話ができる。
同僚からの簡単なメールを理解することができる。
観光客として英語を話す国を旅することができる。
「非常に低い」:簡単な合図を理解できる。
簡単な自己紹介(名前、年齢、出身国)ができる。
海外からの訪問者に基本的な指示をすることができる。
・日本は総合35位! アジアでは19カ国中10位
日本は35位で、レベルは「低い」。前後をロシア(34位)とウルグアイ(36位)に挟まれている。アジアに限ってみると、次の通り19カ国中10位だった。
【アジア各国の順位】()内は能力指数。
「非常に高い」
第6位:シンガポール(63.52)
「高い」
第12位 :マレーシア(60.70)
第13位:フィリピン(60.33)
「標準的」
第22位:インド(57.30)
第27位:韓国(54.87)
第30位:香港(54.29)
第31位:ベトナム(54.06)
第32位:インドネシア(52.94)
第33位:台湾(52.82)
「低い」
第35位:日本(51.69)
第37位:マカオ(51.36)
第39位:中国(50.94)
第48位:パキスタン(48.78)
「非常に低い」
第53位:カザフスタン(47.42)
第56位:タイ(47.21)
第58位:スリランカ(46.58)
第66位:モンゴル(42.77)
第69位:カンボジア(39.48)
第70位:ラオス(38.45)
・日本の地方でもレベルの違いが
日本の詳細情報を見てみると、過去5回のランキングでは「標準的」だったにもかかわらず、今回初めて「低い」にカテゴライズされていることも分かった。
また地方によってもレベルの違いが見られている。関東、関西が「標準的」である一方、その他の地方は「低い」となっているのだ。
【日本の地方別 能力指数】
「標準的」
関東:53.45
関西:53.63
「低い」
中部:52.19
九州:51.67
中国:51.34
東北:50.21
北海道:49.46
*四国でのテストは行われていないもよう。
ただし本ランキングは、“自発的にテストを受けた英語学習に意欲がある人” を対象にしているそうなので、この結果だけで各国・各地方の英語レベルを決めつけることはできないはずだ。
今回の発表では他にも、世界的に「男性よりも女性のほうが英語が得意」「英語能力が高いと収入も高い傾向にある」「18~25歳の若年成人の英語能力が最も高い」などの結果も判明しているのだった。