1

Q18:誰かに生活を支配されるのって、どんな感じなんですか? 誰かに全ての責任を取ってもらう人生は楽なのでしょか?
A18:たしかに楽な面もあります。上手くいかないことがあれば、誰かを責めればいいのですから。

教団を抜けて感じたのが、自分で何かを決めることの難しさです。最初は、恐怖で身がすくみ、どう物事を決めればいいか全く分からなくなったものです。自分で物事を決め、その結果を引き受け、次の経験に生かしていくことを、私は学ばなければなりませんでした。

誰かに全てを決めてもらうことは、とても楽なので、自分自身を損なっていることに気付けないものです。「心地よさ」と「害」が混ざりあったような状態だと思います。

Q19:初めて “外の人々” と触れ合ったとき、どんな感じでしたか?
A19:最初の頃は、ほとんどの人とは距離を置いていました。数人の友人はいたのですが、いつも落ち着かない気持ちで、自分の居場所が見つけられませんでした。友達の作り方を学ぶのに数年かかりましたし、今でもまだ分かりきっていない部分もあります。

Q20:外の世界の暮らしで、1番大変だったことは何ですか?
A20:大変なことは、たくさんありました。宗教に直接結びつくことや、一般的なカルトに関することなど様々です。

教団を抜けてからまず大変だったのは、何かをやるときに恐れないことです。今にでも怒った神から罰を受けるのではないかと、私は常に恐れていました。恐怖は私の意識の一部になっていたため、簡単に引き離すことができなかったんです。

また他者と繋がることも苦労しました。とくに人々が最近の出来事や大衆的な文化について会話しているとき、彼らが何を話しているかちっとも理解できませんでした。

教団で築いた人間関係、特に家族との関係を失ったのもツラかったです。 周囲に人がいない環境で、1人きりで暮らすこともツラかった。1人暮らしを始めたばかりの頃は、夜になると父に泣きながら電話をかけていました。

Q21:今では “普通の生活” に馴染めていると思いますか? 過去の傷など、全て回復したと思いますか?
A21:教団を脱退して4年になりますが、ようやく去年 “普通の生活” に馴染みつつあると感じました。これまでに受けた傷や絶望と折り合いをつけるのに、長い時間がかかったため、去年から「馴染みつつある」と感じ始めたのではないかと思っています。

傷が完全に回復したわけではありませんが、最近は急速に治りつつあるように感じます。もちろん、まだまだ立ち向かわなければならないことも多いですし、落ち込むこともあります。それでも全体的に見て順調に行っているように思います。

Q22:今の生活で、どんなことが好きですか?
A22:好きなことが多すぎるので、選ぶのは難しいですね。誰かにいちいち確認せずに、日常的な物事をこなせるのが好きですね。自分が話したいことを自由に話せるのも好きです。言ってはいけないことも、自分で判断できるんですからね。 あと、音楽も大好きです!!

1

Q23:私はカルト教団を作りたいと思っています。どうやったら人々を集められますか?
A23:クレイジーで、情熱を持っているように振る舞えばいいでしょう。人の心を操り、人の上に立つ術を覚え、施設を作ることです。他にも色々な要素がありますが、それさえできれば失敗はしないはずです。

Q24:カルト教団に所属している人間を、見分ける方法ってありますか?
A24:色々な方法があります。まず、社交的な場で、私がいたような教団に所属する人間と出会うことはないでしょう。そういった場への出席は、教団から強く禁じられているからです。

カルト教団に所属している人間の一般的な傾向は、選民意識を持っていることです。“自分たちは正しい答えを全て知っている” と思っており、とても閉鎖的です。同集団の人間とだけ関係を保ち、教祖など1人の人間に全てを捧げようとします。

何かに夢中になり、それがその人の世界の全てになる。夢中になった何かを取り巻くグループとの時間が増え、それまでの生活を切り捨ててしまう。そういった人は、カルト的な集団にハマりやすいかもしれませんね。

Q25:カルト教団の指導者たちって、実は神を信じていないと思います。神を利用して、人々を操っているだけ。この考え方をどう思いますか?
A25:たしかにそうですね。最初は指導者たちも、神からの啓示を信じていると思います。しかし、いかに簡単に周囲の人間をコントロールできるかに気付いてしまい、自分の利益のために “神の力” を利用するようになるんだと思います。

Q26:私は無神論者で、あなたのように “偽物の神様” に振り回される人々を愚かだと思います。どう思われますか?
A26:あなたがそう感じるのは残念です。私は愚かではありませんが、過ちを犯すことはあります。

誰にとっても、自分自身のことについて気付くのは難しいのではないでしょうか。狭い世界で生まれ育った人間にとっては、特に難しいはずです。私はいつだって聡明な行動を取れている訳ではありませんが、それが私のストーリーであって、変えることはできません。

また、なにかを “愚か” だと決めつけるのは、複雑な状況を安易に一般化しすぎてしまうだけではないでしょうか。

1

Q27:ご家族との関係はどうなっているんですか?
A27:脱出してしばらくの間は、家族から勘当されていました。でも私のほうから、辛抱強く働きかけ続けたので、今では家族全員となんとか関係は保てています。もっと改善できるはずですが、時間がかかるでしょうね。

Q28:教団から脱退するように、家族を説得しないのですか?
A28:これまでに何度も、私が教団について思っていることや、いかに家族を助けたいかを話してきました。でもそうすると、家族はいつも激しく怒り、私から離れていきます。しばらくして、私のほうから仲直りを試みるのですが、また同じことが起こります。

私が率直に、または正直な気持ちで語りかけると、彼らはすぐに心を閉ざしてしまいます。そうすると私の言葉が、彼らに届くことはありません。脱退させるように真実を少しずつ話しながら、寄り添う愛情が必要だと思っています。上手くいかないことも多いですが、私は諦めません。できる限り続けます。

1年前、私は結婚式を挙げました。式に出ないようにと、教団は家族に圧力をかけていたようです。でも家族はその命令になんとか背き、結婚式に出席してくれました。ただ、乾杯のときに母と姉妹は式場から出て行ってしまったので、家族はまだ立場を決めきれていないんだと思います。

Q29:なぜあなたの両親は、カルト教団に入ったのですか?
A29:父と母は、別々に教団に入りました。2人共まだ学生で、当時の教団の指導者も今とは全く違っていたそうです。その指導者が去り、後からやって来た人物が今のようなカルト教団に仕立てていったのです。

Q30:教団はどのように変わっていたんですか?
A30:新たな “指導者” は、人の心を掌握し、操ることに長けていました。その人物の元で教団の状況は悪化し、締め付けが強まっていったんです。

私が子供の頃はキリスト教の音楽以外聴いてはいけませんでしたし、R指定の映画も見てはいけませんでした。今は教団側も若者離れを懸念して、そういった締め付けを緩めつつあるということですが。

参照元:Reddit(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.

こちらもどうぞ → 本音が聞ける「本人降臨シリーズ