ジャンボ。ケニアのナイロビでタクシー運転手をやってるチャオスです。リクエストボックス宛にも3日前くらいに


「(前略)ケニアのカルト教団のニュースを知っていますか? 日本でもカルトはいつも話題にあがりますが、カルト教団多いのですか?」


という質問が届いたが、日本の読者のみなさんはケニアのカルト教団のニュースを知っているだろうか?

いま、ケニアで大問題になっているのが「グッドニュース・インターナショナル教会」というカルト教団が起こした大量虐殺事件である。

日本でも報じられているとゴー(羽鳥)から聞いたので詳しくは日本語のニュースを参照してほしいが、現地にいるオレが知っていることをまとめておく。


キリスト教徒が多いケニアには、非常に多くの教会と説教者(説教師)がいる。

しかし、彼らのほとんどは聖書学校に通って学んできたわけではない。彼らはただ聖書を読み、人々に説教しているだけに過ぎない。


そんな説教者のひとりが、今回のジェノサイド(大量虐殺)を先導した男・マッケンジーだった。

マッケンジーは説教者になる前、なんとオレと同じタクシー運転手だった。しかし彼は思い付いた。「そうだ、自分の教会を作ってしまおう」と。そして彼は実行に移した。



マッケンジーの教会には、徐々に人が集まり始めた。しかし彼の教会は異質だった。入信してきた信者たちは、次々と仕事を辞めていった。

なぜならば、「天国に来られた」と思い込んでしまったからだ。もう金なんて不要だと。なぜそう思ってしまったのかは、わからない。


マッケンジーは「教育は悪」だと説いていた。よって、親である信者には、子供を「悪の巣窟である学校」に連れて行かないよう洗脳していった。

マッケンジーは「病院も悪」だとも説いていた。学校と同じく、信者たちには病院にも行くなと指示していた。

もしも病気になったら教会に連れて来いと。そしたら天国に行けるぞと。仮に死んだとしても天国に行けるぞと。そう説いていた。


──そして最悪な事件は発生した。


マッケンジーは教会に集う信者にこう説いた。「森の中で3週間断食したらイエスキリストに会える」と。

イエスが直接会いに来てくれて、そのまま天国に連れていってくれる」と。

つまり「断食して餓死したらイエスキリストに会える」と。


それを真に受けた信者たちは、森に留まり、食べ物はもちろん、水も飲んだりしなかった。イエスキリストに会うために。


当たり前だが人々は餓死していった。そして遺体は森の中の墓地に埋めていった。その中には「行方不明」としてポスターになっていた人も含まれていた。

政府は捜査ならびに捜索に着手しているが、すでに98名もの遺体が森の墓地の中から発見されたという。

彼らは小さな墓に埋葬されており、1つの墓に4人以上を入れていたとも報道されている。今後も被害者は増える雰囲気。

そんな事件が、いま、ケニアでは連日トップニュースで伝えられている。



このカルト教団「グッドニュース・インターナショナル教会」が起こした事件について私が思うことは3つある。


まず、ニセモノの説教者であるマッケンジーは、刑務所に入れられ、一生投獄されるであろうということ。

そして、たった1人の愚か者のせいで、多くの人間が亡くなってしまうのは、非常にむなしいということ。

最後に、カルト教団とは、嘘をつき、持っている物を盗み、人々の脳を洗い流そうと(洗脳しようと)する危険な存在であるということ。


なお、私が知る限りでは、いまケニアにあるカルト教団は、「グッドニュース・インターナショナル教会」だけだと思う。

ほかに、カルト教団に関する噂は、あまり聞いたことがない。明るみになっていないだけで、私が知らないだけなのかもしれないが。クワヘリ。


参考リンク:CNNBBCヤフーニュース(AP)
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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