車のクラクション、電車の走る音、街頭販売の声、雑踏、演説、怒鳴り声……今日も街は音に溢れている。一歩外に出れば、こういった音の海に頭までどっぷり浸かってしまう現代社会。静寂に癒しを感じる人も多いことだろう。
前衛芸術にその名を馳せる作曲家ジョン・ケージ。彼の代表作としてよく挙げられる曲が、演奏時間の4分33秒間、ずっと静寂が流れる「4分33秒」だ。無音の音楽と言われているこの曲を、なんとデスメタルカヴァーした猛者たちがいるらしい! 無音の曲をデスメタルアレンジって……それさすがに無謀ちゃうか!?
・「4分33秒」とは
まず「4分33秒」の説明を簡単にさせてもらうと、この曲はジョン・ケージが無響室に入った経験を元に書いたものである。音の反響がほぼ0の無響室では、自分の神経系の働く音と血液の流れる音が聞こえるという。
したがって、この曲の4分33秒間続く無音は、「無」を聞くものではなく、無にすることにより聞こえてくる演奏会場内外のささやかな音に耳を傾けるものとされている。
・芸術ってなんかよく分かんないね
なんだか、分かるようで分からないような話だが、芸術とはそういった「理由」や「説明」または、そこに至る「経緯」ありきだと私(中澤)は思う。ただのトイレに「泉」という名前をつけて、最高峰の芸術とうたわれるマルセル・デュシャンしかり。言わばこの無音は、ミロのヴィーナスが失くした腕のようなもの。
……と言えば言いすぎかもしれないが、「音楽だから音を出す」という当たり前のことに疑問を投げかけるこの作品の姿勢は、至極芸術的であると言わざるをえない。みんなが当たり前だと思っている常識を疑うところから始まるのだ。
・ザ・デスメタルバンドがカヴァー
そんな「4分33秒」をデスメタルバンドがカヴァーする様子は、動画「John Cage – 4′ 33” Death Metal Cover by Dead Territory」にて確認することができる。カヴァーしているのは、オーストリアのバンド『Dead Territory』。ロングの金髪に首が隠れるほど伸ばした顎ヒゲはザ・デスメタル! 並び立つツインギターも壮観だ。
耳栓をつけ、チューニングを終えるといよいよ彼らの演奏が開始する。満を持して始まった「4分33秒」は、すぐに山場を迎える! だから無謀だって言ったじゃん!! この動画に対する海外ネット民の声は以下の通りだ。
・海外の声
「半端ない男たちだ!」
「彼らはそのままでもうまくいく」
「一時停止を押しても、音楽が流れ続けてる」
「誰かこれのギタータブ譜持ってない? 家で弾きたい」
「ガチで凄いパフォーマンスだけど、出だしで大失敗してる」
「素晴らしいカヴァー」
「最も素晴らしいメタルパフォーマンス」
「ヘドバンすべき」
「耳栓使ってるところが好き」
「よくやった!」
「もっとカウベル使って」
「ナイスアレンジ」
約1年前にアップされたこの動画は、そのチャレンジ精神からか、現在も称賛の声が寄せられ続けている。なお、常に山場のパフォーマンスの中でも、盛り上がりがMAXに達するのが3分12秒であることを追記しておきたい。無謀にして衝撃のパフォーマンス内容は動画を確認してみてくれ!
▼衝撃の「4分33秒」だ!