高尾山のふもと、東京・八王子市は高尾駅。登山客で賑わう東京の果てまで来たのにはわけがある……。この少々不便な地に、明治・大正から現在までの技術雑誌。いにしえのマイコン雑誌を総勢約8千冊も集めた超マニアックな「夢の図書館」なる施設がプレオープンしたのだ!
ピチピチの半ズボン姿でランドセルを背負っていた80年代の「マイコン雑誌」は、実家にも何十冊かある。だがそれも、気付かぬ間に母の手で闇に葬られ、古本で集めなおそうかと思いきや、いつの間にやら目玉が飛び出す勢いで値上がりしていた。
高尾駅からバスに乗り換え「とんでもないことしてくれたな。母ちゃん」とつぶやきながら揺られること十数分。静かな住宅街でバスを降りると、目の前に真っ白い大きな建物。やって来ました。元マイコン少年の聖地に!
・夢の図書館を守る館長もまた、スーパーレジェンドだった!
迎えてくれたのは、夢の図書館を運営する株式会社・技術少年出版代表の吉崎 武さん。吉崎さん自身が、月刊アスキー、後にログインという、80年代の黄金期を支えた二大パソコン雑誌の初代編集長を歴任したという、PC業界の生ける伝説。
伝説の人にいざなわれ、緊張の面持ちで2階の臨時閲覧室に通されると、居心地のよい空間に事前予約していたお目当てのお宝レトロ雑誌が用意されていた。
元マイコン少年なら震えが来るほど懐かしい、貴重な雑誌が目の前に! 吉崎さんいわく、当時の雑誌に少年時代の自分が投稿した記事を見つけ、その場で泣き崩れてしまう人も珍しくないそうな。そのため、閲覧室のテーブルにはティッシュが常備されている。
約8千冊の蔵書のうち、目玉は戦前・戦中時代の科学雑誌。後のノーベル賞受賞者が米英の新兵器を解説していたり、読み応え抜群なのだそうで、逆に吉崎さんにとって80年代のマイコン雑誌は「僕にはまだ新しすぎるんですよね。30代、40代の人がこれを読みに来るなんて、正直想定していませんでした」とのこと。
貴重な蔵書を安全に保管するため、都内で最も盤石な地盤の土地を探し、ここに辿り着いた吉崎さん。元書店だった建物を買い取り、少しずつリフォームしながら正式オープンを目指している。
地盤は良いが温度や湿度の管理は逆に大変で、春から秋まで倉庫スペースのエアコンは常時フル稼働。現在のところは閉架式で、事前の会員登録と訪問日の予約に加え、蔵書リストから読みたい本の事前申告が必要だが、一刻も早い正式オープンを目指し、一人でも多くの人に来てもらいたいと語っていた。
・今回ご紹介した施設の詳細データ
名称 夢の図書館
住所 東京都八王子市川町244-287
時間 予約制
料金 1000円(1日券)
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼昔を思い出すキーワードがさりげにちりばめられた閲覧室
▼コンテナで運ばれてきた貴重な雑誌
▼コーヒーを頂きながら読みふける
▼読みたい本は事前に予約しよう
▼貴重な戦前・戦中の科学雑誌も!
▼若い!
▼昔の美少女エロゲーって、こんなんだった