ロケットニュース24

【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)

2015年9月15日

kouhen

終わった。ついに、終わった。とにかく長い戦(いくさ)だった──。

結論から先に述べると、つい先日の2015年9月10日、通称「ハゲアタック」はGO羽鳥の完全勝利をもって幕を閉じた。大変長らく JIRA してしまって申し訳なかった……が! 今度の今度こそ、正真正銘の耕平ならぬ後編──いや、完結編をお伝えしたい!!

・前回までのハゲアタック

ことの詳しい経緯は “前編” ならびに “中編” を参照してほしいのだが、いちおう念のため、メチャクチャ簡単に「→」を使って説明すると……

なぜか私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていた → 広告の製作者はメルマガ発行者である千葉県在住の耕平 → 彼の最終的な目的は「約2万円の育毛DVD」を売ることだった → オマケで耕平オリジナルの4大特典が付いている → 私はDVDを購入すると同時に、挨拶をするため千葉県へ向かってみた……のが前編

その後、船橋市のイオンでクマムシのCDを購入 → 駐車場で謎のクルマに追突される → 気を取り直して住所に向かってみると、おじいちゃんが登場 → 耕平とは無関係&住所もデタラメだったことが判明 → ロケットニュース24宛に「通りすがりの鬼女」から “真住所” のタレコミ → さらに独自で調べたら2つ目の住所も判明した……のが中編だ。

あとは、戦闘準備を整えて突撃するのみ……なのであるが、私が体調を崩して病院通いをしていたり、仕事が忙しすぎたり、台風が来たり──その他もろもろのトラブルによってアタック日がズルズルと延期になり続け、やっとこさ9.10の決行と相成ったのである。ちなみに突撃当日も台風後の雨模様だったが、覚悟を決めて乗り込んだ!

・怒りのデス・ロード

私(GO羽鳥)と、ドライバー兼カメラマンのYoshioは、東京から千葉県船橋市までの高速道路、通称「怒りのデス・ロード」をレンタカーで爆走。とりあえずの目的地は船橋市のイオンモールだ。耕平への手土産として用意したクマムシの音楽CD『あったかいんだからぁ』を、ロケットニュース24編集部の机に忘れてきてしまったからである。

・とん喝(かつ)

HMVのCD棚を確認すると、2作目シングル『なんだしっ!』が売っていたのでサクッと購入。その後、自らに喝を入れようと「とんかつ定食」を腹に入れて必勝を祈願。食後のお茶をズズッと飲みつつ、あらためて耕平の自宅であるらしき2つの住所をGoogleマップで入念にチェック。本名と思しき苗字も、しっかり頭に叩き込んだ。

・いざ出陣

駐車場に戻ってからは、まず狭い車内で衣装チェンジ。いつなんどき、敵陣の装甲車が攻めてきても応戦できるように、マッドマックス仕様のバトルスーツ(戦闘服)を用意した。顔面にもウォーペインティング(戦いの化粧)を施しつつ、ショットガン自撮り棒をはじめとする数々の “ウエポン” こと武器(カメラ)の動作をチェック。

……OK、すべての準備は整った。時は来た。あとは行くのみ! いざ出陣じゃぁ〜ッ!!

まずは序盤の難関「イオン駐車場の横っ腹アタック」を警戒しつつ、ソロ〜リソロ〜リと徐行でクリア。とりあえず、2つ住所があるうちの「2つ目」からパトロールしてみようということになったのだが……ここから一気に “まさかの展開” が連発! さらに約1時間後には、耕平の肉声を聞くことに!! 話の続きは次ページ(その2)へGO!

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)その2

真っ先に向かったのは、私が独自調査で割り出した “2つ目の住所” からである。カーナビの案内に従って、緑の多い住宅街の道をグングンと進んでいくと……さっそく見えた。Googleストリートビューを使って電脳ストーキングを行った時に確認した、いわゆる普通の一軒家が……見えた! ゆっくりと横切りつつ、表札を確認してみると……

表札ドンピシャ! そこには耕平の本名と思しき苗字「●●」がハッキリと書いてあるではないか!! うわぁぁっ……ど、どうしよう……!! きっと耕平は、ここに……いる!

・もしかしたらワナかも

一気に高まる緊張感。しかし、いきなりアタックを仕掛ける……のは軽率だ。なぜならば、インターホンのボタンを押した瞬間に「ドーンッ!」と、家もろとも爆発する可能性もゼロではない。つまりはトラップ。ここはひとつ、防具を一切着用していない丸腰状態のYoshioは車内に待機させ……ようとはせず、徒歩で偵察に行かせてみた。

・気配をまるで感じない

問題の一軒家のまわりをウロチョロし、無事にテクテクと帰ってきたYoshioいわく……「どうやら今は、家に誰もいないっぽい。気配をまるで感じない」とのこと。このまま待機しても時間のムダなので、我々はロケットニュース24読者『通りすがりの鬼女』さんがタレコミしてくれた “1つ目の住所” へ向かうことにした。

・灯台下暗し

もともと事前に場所を調べていた時に分かっていたことなのだが、この「1つ目の住所」は、前回のアタック時に突撃した “勝手に住所を使われていた おじいちゃんの家” にメチャクチャ近い。見覚えのある道を通過し、我々は大興奮! しかし……

目的の場所に、耕平の苗字「●●」の表札を掲げた家は存在しなかった。となると、こっちはダミー!? 耕平は、またもデタラメのウソ住所をインターネットの大宇宙に残してしまったのか……!? ともあれ、我々は最初の家に戻ることにした。

・今度はバリバリ気配を感じる

──どうせ、まだ不在なのだろう……と油断しながら “2つ目の住所” に戻ってみると……なんと、さっきは停まっていなかった自動車が駐車場の中に入っている! つまりは……誰かが帰宅したのだ。十中八九、今度こそ、この家の中に……「いる」のだ!!

こうなったらもう突入だ。いよいよ、ついに……直接対決の時がやってきたのだ。時は来た! しばし目を閉じ精神統一。いよいよ逃げられない、お互いに。そして私の「……よし、行くかッ!」の言葉とともに、次ページ(その3)で一気にGO!

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)その3

SWATなど特殊部隊の世界では、よく2人1組で互いをサポートし合いながら動くことがあるが、これを「ツーマンセル(Two Man Cell)」という。私のバディ(相棒)であるYoshioは、先ほどの偵察調査によってインターホンにカメラが付いていることを把握していた。ナイス、バディ。「俺が先に行くから、羽鳥さんは物陰で待機してて」と彼。

……って、そりゃそうだ。こんな格好の男がインターホン越しのカメラに映っていたら、さすがのジャック・バウアーでも即「ヤバイやつらに取り囲まれている! 応援をよこせ!」とクロエに連絡を入れることだろう。ともあれ、ゆっくり、ゆっくりと……私はメタルギアのスネークばりに、コソコソ隠れながら玄関先の死角に入った。

・声の主は──

Yosohioと目を合わせ、無言でコクリと頷き合う。それを合図に彼はインターホンのボタンを押した。ピンポーン……。なお、爆発はしなかった。だがしかし、ある意味、爆破トラップよりも衝撃的な返事がインターホンのスピーカーから発せられたのだ!

「……はい?」。なんとその声は女性だった。それも、めちゃめちゃ可愛らしい、オトナの女性の声だった。耕平……おまえ……オメェ、女だったのかァ! しかも、なんという萌えボイス! おい! おい!! 耕平、おめェ、どこまで予想を裏切るんだァーッ!!

──と思ったら、どうも違うらしい。Yoshioが身分を名乗りつつ、「耕平さんに会ってお話がしたい」との要件を伝えても、「え? はぁ?」と、どうもチンプンカンプン、うまく話が通じていない。どうも “この家は耕平の家ではない” のだが、“耕平の存在は知っている” 様子なのだ。ラチがあかないので、ここで私がカメラ前に登場。

小雨降る中、バトルスーツに身を包み、汗だくになりながら必死の思いでインターホンのカメラに向かい、「私はロケットニュース24の編集長・GO羽鳥です。恥ずかしながら薄毛です! そんな私のハゲ写真を……なんと耕平さんは、勝手にハゲ広告として使ったのです!! どうか耕平さんに会わせてください!!!!」と、田中正造ばりに直訴した。

・そこにいたのは女神だった

その後も、雨と汗でメイクがドロドロになりながら、“どうやってこの住所に行き着いたのか” や、“ドメインの仕組み” 等まで説明しつつ、「決して怪しい者ではありません!」と必死でアピール。警察に通報されることすら覚悟した。しかし……!!

どっからどう見ても “怪しい者” の訴えに対し、インターホン越しの萌えボイスは寛大な心を持っていた。ちゃんと話を聞いてくれた。そして……「なるほどね」とばかりに全ての状況を理解してくれたのか、次々と衝撃的な事実を教えてくれたのである!

・ドロドロの事実

彼女が言うには、こういうことだった。まず、萌えボイスの主は、なんと驚くべきことに耕平の妹さん。次に、この家は確かに耕平の本名「●●」の家だが、耕平の家ではなく、彼女の家族、つまり耕平の妹夫婦が住んでいる。そして、耕平が今どこで何をしているのかすら、妹さんは知らない。なぜならば……耕平は妹さんと絶縁状態にあると!

・とばっちりすぎる妹さん

な……なにがあったんだ耕平一家。オィ、なんだよこれ……昼ドラかよ! 絶縁状態にある兄ちゃんに、勝手に住所を使われたことでインターネット上に足跡を残されてしまった結果、とんでもない格好をした怪しいハゲが乗り込んでくるなんて、妹さん……とばっちりすぎるだろ! 今後、いつか行われるであろう家族会議が心配である。

いずれにしても、またも耕平は罪(ギルティ)を重ねてしまった。またしても……“他人のフンドシで相撲をとった” のである。どんだけ人のフンドシが好きなんだ耕平! なんなら俺の使用済みフンドシを、未洗濯のニオイ付きでプレゼントしてやるぞ!!

・妹さんのファインプレー

それはさておき、問題はここからだ。念のため妹さんに、表札の出ていなかった謎の住所「1つ目」を聞いてみたところ、「本当に兄がどこに住んでいるのか分からないのですが……もしかしたら……そこなのかも!」との答え。しかしながら、確実ではない。

──と、ここで妹さんが「すぐに私が兄に連絡します。羽鳥さんの携帯番号を伝えますので、連絡させるように言います!」とのファインプレー。私は「お願いします! すでに弁護士にも相談しているのです!」と、間接的に耕平に対して “もしも、この期に及んでバックレたら承知しねえぞ” 的な牽制(けんせい)をかけておいた。

・とにもかくにも連絡を待つのみ

親切に協力してくれた妹さんにお礼を言って、その場から離れた我々。さて、どうしよう。本当に耕平から連絡は来るのか? だが、今は “耕平待ち” の状態だ。とりあえず時間がもったいないから、どこか取材にでも行こうか……とクルマで移動していたその時! 謎の携帯番号からの着信が!! 通話ボタンは、次ページ(その4)をポチ!!

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【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)その4

ジリリリリン、ジリリリン……。3コール以内に撮影準備を整え、通話ボタンを押した。

羽鳥「もしもし……」

??「もしもし、わたくし、●●と申しますが……羽鳥さんの携帯でいらっしゃいますでしょうか?」

──ついに来た、耕平の本名と思しき苗字●●が! お前が……耕平なのか? ●●=耕平なのか? またも名前を勝手に使われていた……とか、ウナギのようにスルスルと逃げたりするのかも──なんて警戒しつつも、お互い、極めて冷静な態度で会話は進む。

●●「さきほど妹から連絡が来まして、羽鳥さんに連絡するようにと……。えっと……インターネットの画像の件だと……。著作権侵害とか、そういうことでしょうか?」

──ん? どうもおかしい。口調から察するに、この男は、何が起きているのか、すべてを把握していない。私が「Facebookの広告に私の画像が……」と説明しても、どうもまだガッチリとギアが噛み合ってないのだ。戦いが “スイング” していない。

しかし、私が「●●耕平」という言葉を出したその瞬間、相手は「……!!」といった反応を示した。相手の顔は見えないが、ハッキリと動揺の色が見て取れる、急所を突いた一発だった。彼こそが……耕平なのだ。私の探し求めていた愛しの男・耕平なのだ!

・灯台下暗しアゲイン

ここからの耕平は、実に紳士的かつ素直だった。私が「どうしても……逢いたい。まだ船橋にいるから……ここで待ってる……」と言うと、「はっ、羽鳥さんは東京から来られたと聞きました。実は私、東京で仕事をしております。もし可能でしたら……都内で!」と衝撃の告白。しかも駅名を聞いてみると……ロケット編集部からメチャ近い!

これぞまさしく灯台下暗し。耕平と私は、こうして電話をする前からずっと、タクシーで2メーターほどの距離で仕事をしていたのだ。もしかしたら、すれ違っていたかも……なんて考え始めると、“いつか会う運命だった” と思わずにはいられない。

・お誘い

さらに耕平は、「羽鳥さんのご都合の良い場所まで伺います」と、ありがたすぎる提案までしてくれた。おそらくのところ、怪しい謎のハゲ男が親族の家の周りをウロチョロされるのは気味が悪い思ったから……なのだと推測するが、ならばロケット編集部の会議室が楽チンだな……と思い、

羽鳥「それでは新宿2丁目の事務所までお越しいただけますか?」

と打診してみると、耕平は「し、新宿2丁目ですか……」と声をつまらせた。

・耕平の相手は2人組

さらに、ナニを思ったのか耕平は「他の人も、いらっしゃる……?」と聞いてきたので、「ハイ! Yoshioという男がいます」と答えた。スピーカー通話していたので、運転席のYoshioも「羽鳥の同僚です!」と、言葉足らずな私の説明を補足してくれた。

・絶望の耕平

その後、待ち合わせ時間は新宿2丁目のド真ん中にあるロケット編集部の最寄り駅「新宿三丁目」駅のC8出口、時刻は20:00ということに決定。「駅の出口で私とYoshioが待っていますので、そこから事務所までお連れします」と案内すると、耕平は「わ、わかりました……。では20時に……イキます……」と、絶望した口調で電話を切った。

一体全体、耕平は何に怯えているのだろうか。いま起きている事実だけを整理すれば、「薄毛写真を勝手に広告に使われて怒り狂っている長髪のハゲと、その同僚が、“新宿2丁目の事務所で会おう” と誘ってきただけ」なのだが、もしかしたら耕平は、ナニか違うコトにハッテンするのでは……と勝手に想像し、恐怖に震えていたのかもしれない。

・さらば怒りのデス・ロード

ともあれ、あとは会うのみ。長きにわたって追い続けた耕平に……やっと会える! 超絶うれP! 我々は一路、東京へクルマを飛ばした。台風も過ぎ去り、とても美しい夕焼けが高速道路から見えた。その道はもう “怒りのデス・ロード” ではなく、“喜びのウイニング・ロード” だった。次ページ(その5)にて、ついに耕平……でてこいやぁ!!

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)その5

時は2015年9.10(キューテンイチゼロ)。待ち合わせ時間の5分前に、新宿三丁目C8出口にて、ウエルカムボードを持って耕平の到着を待ち続けた。すれ違う男という男が、みんな耕平に見えてくる。あいつが耕平……? いや、ちがう。やたらとマッチョなタンクトップの彼? いや、ちが……あ……ふ、2人組!? ……いいや、違うようだ。

「本当に来るのかなァ」と声に出した20時ぴったり、スーツ姿の中年男性が、おそるおそる私に近づいてきた。私のことを見ながら、迷いなく、一直線に……近づいてきた。きっと彼だ……。耕平だ! そして、お互いの拳が届く距離になったその瞬間!!

羽鳥「耕平さんですか?」
耕平「本当に申し訳ございませんでしたァッ!(ペコリ)」

ほぼ同時のタイミング。出会い頭の平謝り。私の挨拶を耕平はダッキング(前屈み)でかわしつつ、“これ以上ない丁寧な謝罪” という、実に常識的な先制攻撃を仕掛けてきたのだ。目の前30センチ先には、頭を下げた耕平の頭頂部があった。しかも……

耕平はハゲていた! 繰り返す、耕平はハゲていた!! 大事なことなので繰り返すッ!!

・一瞬の分析

分かりやすいツルッパゲではなく、薄毛とハゲの境界線、まさしく “今まさに全力で薄毛と戦っております” という、実にリアルな毛髪量! 出会って1秒でハゲ確認!! “薄毛ごまかし” の構造も把握した。それを見た私は、もう……許した。薄毛同士、許さざるをえない心境になったのだ。きっとこれまでの人生、辛かったに違いない。

・新たな諺(ことわざ)も誕生

この瞬間、「人の褌(ふんどし)で相撲を取る」からの「人の薄毛で育毛を語る」に次ぐ、また新たな諺が誕生した。それが「罪を憎んで人を憎まず」からの「罪を憎んでハゲを憎まず」である。もしも耕平が、今まで一度も薄毛で悩んだことのないような “フサフサの毛髪量” だったら、私は決して許していなかった。ハゲは身を助けるのだ。

・さわやかにエスコート

それはさておき、さっそく耕平をロケット編集部のある “新宿二丁目の事務所” まで連れて行った。もしかしたら耕平は強制的な乱……いや、強制的な連行を恐れていたのかもしれないが、「怖くないので安心してください」と談笑しながら事務所へ in。

・そして事務所へ

席に通すと、あらためて耕平は「この度は、本当に申し訳ございませんッ!」と、深々と頭を下げた。もうよい。もう……よい。私が求めるのは、“真実のみ” じゃ……。

さらに耕平は「私のハゲ頭の写真でFacebookに広告を出すという件なのですが、数カ月前から広告用のアカウントを凍結されてしまっているので不可能です。本当に申し訳ございません!」と先制パンチ。なるほど……その話も、あとで詳しく伺おう。

また、顔出しもカンベンしてくれという耕平だったが、ひとつの覚悟を決めてきていた。それは「私のハゲ頭の写真でよろしいのであれば、いくらでも撮影してください! また、聞かれたことは全て真実を話すつもりですので、何でも聞いて下さい!!」との決意表明。ハゲっぷち……いや、崖っぷちに立たされた耕平は……公平だった。

・ならばこちらもパンチ連打

──その覚悟、しかと受け取ったり。それではさっそく……と、その前に! 勇気を出して “掟破りの逆挨拶” に来てくれた耕平に、記念品の贈呈だァ!! まずはクマムシさんの音楽CD『あったかいんだからぁ』と『なんだしっ!』の2枚から。ちなみに、この芸人 “クマムシ” という登場人物については、最後の最後に驚愕の真実が明らかになる。

・「出会いに感謝」のしるし

次に、今回の罪は、私(GO羽鳥)がどんな人間なのかを事前に知っていれば絶対に起きなかったハズ……なので、私の自著『絶対に返してはいけない 迷惑メール、LINE乗っ取りにマジレスしてみた。』(ワニブックス)もサイン付きで贈呈。また、いきなり突撃して迷惑をかけてしまった妹さんには、菓子折りまで用意した。

予想外の意味不明なプレゼント攻勢に、耕平は今にも泣きそうになっている。遠慮することはない。単なる “感謝の気持ち” なのだ。来てくれたことに感謝。そう、彼がメールに書いてくれた名言出会いに感謝いたします!のしるしなのだから。

もう完全に耕平は “落ち” ていた。もしも私が「じゃぁ……まずはズボンを脱いでみよっかァ……」と言えば、彼はシクシクと涙を流しながらベルトを外していたことだろう。だが、まず私が切り出したのは、「なぜ私のハゲ写真を使ったのか」ということ。以前にもメールで質問したが、あらためて耕平本人の口から聞きたかったのだ。

・出るわ出るわ驚愕の真実

一体なぜ? 私が長髪なだけに……挑発? それはどうでもいいとして、耕平の口からは、次々と驚くべき “真実” が出るわ出るわでビックリ連発!! すべての謎と真実と、“私の新たなターゲットになるかもしれない、うさんくさい存在” までもが浮上したのだ。衝撃の告白は次ページ(その6)へ! ネットで儲けようとしている人は特に必読だ!!

参考リンク:Amazon『絶対に返してはいけない 迷惑メール、LINE乗っ取りにマジレスしてみた。
Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)その6

まず、なぜ私のハゲ写真を使ったのかについての解答は、「ハゲで検索して出てきた画像の中でも、とてもインパクトのある写真だったから」とのこと。薄毛の耕平に “インパクトのあるハゲ” と認定されていたという衝撃の事実を、私は嬉しく思っている。

・知らなかった罪

次に、私(GO羽鳥)の存在を知っていたのかという質問に対しては、「失礼ながら、知りませんでした……」と、本当に申し訳なさそうに答えてくれた。なんでも、その後に妹さんから「記事になってるよ!」と、ハゲアタックの記事がURL付きで送られてきて、そこで初めて「GO羽鳥という男に追われている」という事実を知ったそうだ。

・読んでいなかった罪

続いて、ロケットニュース24というサイトを知っていたのかについては、「名前だけは聞いたことがありますが、読んでおりませんでした。本当にすみません……(泣)」と、涙ながらに告白してくれたが、実際に泣いていたのはYoshioであった。

・耕平は “信じやすい” 素直な性格!?

それではなぜ、ロケットニュース24という存在だけは知っていながら、Google画像検索の時点で “580×384 rocketnews24.com” とドメイン名が表示されている、フリー素材であるはずがないハゲ画像を使ってしまったのか。その答えを、耕平は「決して言い訳ではないのですが……」と前置きしてから話してくれた。

迷惑メールでもYouTubeでも、よく見かける「ネットで高収入!」みたいなヤツ。「楽してネットで稼げますよ!」みたいなアレ。ああいうウサン臭いアフェリエイトの情報商材に、なんと耕平は……のべ300万円もつぎ込んでいたという。

・儲かるセミナー

ひとつ30万円の情報商材なんてザラで、時には50万円も「儲かる情報」にお金を支払ったこともあるという。有料メルマガのようなパターンもあれば、実際に数々の “儲かる系セミナー” に足を運んだこともあるらしい。もちろん、そこで学んだのは、YouTube広告やアフェリエイト広告で “ラクして儲かるノウハウ” だった。そして──

先生「インターネットのニュース記事を、そのまま文字を流すだけのYouTubeの動画にしてアップすれば、たくさんヒットしてYouTube広告で儲かります。たとえばロケットニュースの記事とか……」

──みたいな感じで “アフェリエイトの先生” から教わったというのだ! そういえば、ちょうど1年前に私が書いた「LINE乗っ取り」の記事も、ソッコーで文字だけのYouTube動画になっていた。もちろん私以外の記者が書いたロケットの記事も、今現在でもチョイチョイとYouTubeに「パクリ動画」がアップされている。

ちなみに耕平は「YouTubeパクリ動画には手を出していません」とのこと。ただし、その時に教えられた記憶で「ロケットニュース」という単語だけは知っていたという。さらにさらに! これら “儲かる系セミナー” が教えたテクニックという名のギルティ(罪)は、まだ続く。

・とことん運が悪い耕平

さらに、なんと……「音楽とかはヤバイけど、ネットにアップされている画像くらいだったら勝手に使っても大丈夫。インパクトのある写真がイイよ!」みたいに教えられたというのである! それを信じていた耕平は、情報商材に300万円も使ってしまう耕平は、あろうことか不幸にも、私の写真をチョイスしてしまった……ということなのだ。

耕平は後に「あまりにも無知すぎました。ちゃんとした知識があれば、使って良いモノとダメなモノの区別もついたはず。何も知らないままインターネットで稼ごうとするなんて……こんな危ないことはないと痛感しました」と語っている。その通りだ、耕平。

ついでにこの場を借りて、ひとつ耕平にアドバイスをおくりたい。

怪しい奴らに騙されるな。ウサン臭い奴らの言うことなんて信じるな。うまい話には裏がある。本当に儲かることなんて、他人に教えるはずないだろう! なんで儲かる系のセミナーを開くと思う? “儲かる系のセミナーを開くことが儲かるから” に決まってんだろ! 俺の実録シリーズを全部読んで、今こそ目を覚ませ、耕平!! ──以上だ。

・正座して待ってろ

まったく、とんでもねえことを教えているんだな、一部の「ネットで儲かる系のセミナー」ってヤツは。なるほどな……。そんな動画がアップされる度に、ウチの技術担当カワラノが、忙しい中、ひとつひとつ削除申請を出しているということも知らずに……そんな違法テクを金とって教えていたのか! 喝ッ!! ……おっと、そこを動くなよ。

・すべての謎が解明

それはさておき……まだまだ耕平へ聞きたいことは山ほどある。「薄毛メルマガに書かれていた薄毛ストーリーは真実なのか」や、「あのFacebookの薄毛広告で、一体いくら儲かったのか」、さらに “通りすがりの鬼女” さんが教えてくれた謎の住所「1つ目」の正体とは? いよいよ次ページがエンディング。すべての答えが……今、明らかに!!

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【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(後編)その7

ひとつひとつ明らかにしていこう。まず、「薄毛メルマガに書かれていた薄毛ストーリーは真実なのか」についてだが、半分ウソで、半分ホント。耕平の年齢は35歳ではなく、実際は39歳。私よりも年上だった。「妻と2人の娘がいる」は真実で、妻から「ホント、結婚サギだよね……」と言われたのも、悲しきかな事実であるという。

・最初から薄毛

しかし、「入社10年目で管理職のポジションについたが、同時に薄毛も進行していった」の部分は真っ赤なウソ。耕平からのメールには、「学生時代は、まさか自分がハゲになるなんて、不安に思ったことは全くありませんでした。」と書いてあったのだが、実は耕平……10代のころから薄毛に悩んでいたという。最初から薄毛だったのだ!

・薄毛からハゲへ

つまり、「管理職のポジションにつくと同時に薄毛も進行していった」なんて生やさしいものではなく、「管理職のポジションにつくと同時に “薄毛から完全なるハゲ” へ爆進していった」からの〜「結婚サギだよね」が真実らしい。しかし、今現在の耕平はハゲというより “薄毛” である。一体、どのように回復したのか聞いてみると……

耕平「薄毛対策DVDを売っていた私が言える立場ではないのですが……正直言うと、食事療法です。規則正しく生活して、きちんと栄養のあるモノを規則正しく食べること。長い間いろいろな方法を試した結果、これが一番ということが分かりました。実際に生えてきています。今でも就寝2時間前には食事をしておりません」

──マジかよ! ちなみに、以前までタバコを吸っていたが今は禁煙しているという。だが、禁煙したところで髪の毛は増えてこないし、以前と抜け毛の量も変わらないので、「タバコを吸うとハゲになる」というのは実体験から信じていないそうだ。なんという説得力! こういうガチの情報で薄毛攻略セミナーを開けよ耕平。俺、行くよ!!

・売り物を見ていない&買ってくれたのは1人だけ

ちなみに私が1万9800円で購入した『サイエ式 育毛プログラムDVD』は、一度たりとも見ていないという。それもそれで衝撃だが、さらなる衝撃的な告白は、「あの商材が売れたのは、羽鳥さんの1枚だけです」という悲劇すぎる事実だった。なお、商材が1つ売れるごとに、耕平に入るお金は7000円だったとのことである。

・デスティニー(運命)

また、Facebookの広告料は5000円で、20〜40代の男性Facebookユーザーに表示されるような契約だったという。表示回数は約5000回。そのうちの2回が、同僚カワラノと、私の知人のPC画面に表示されたというわけだ。なんという引きの強さ! 耕平と私が出会うことになったのは、偶然ではなく必然……そう、運命だったのである。

・ふんだり蹴ったりの大赤字

となると「7000-5000=2000円は儲かった!」と思いきや、メルマガ入会のために用意したメールフォームは有料で、ドメイン料やサーバー代など、毎月かかる維持費を引いたら赤字も赤字、大赤字であったという。こんだけ苦労して、金をつぎこみ、あげくの果てには追跡されてネタにされるとは……まさに耕平、ふんだり蹴ったり!

・Facebookアカウント凍結の理由

そういえば、Facebookの広告用アカウントが凍結されてしまったとか最初のほうで言っていたが、それについては……「どうもFacebookの広告は、“体の一部分だけの画像” というのがNGらしく、広告画像に設定していた “羽鳥さんのハゲ頭” とは別の “接写的ハゲ写真” のどれか……が、ポリシー的にひっかかてしまったようです」とのこと。

・自分で蒔いた種

しかしながら、耕平自身も何度も口にしていたが、すべては「自分で蒔いた種」なのだ。最初からメルマガに正直な住所と名前を書いておけば、絶縁状態の妹さん宅に私が乗り込むなんて事態にも……ならなかったのだ。ちなみに、アタック初日に乗り込んだ おじいちゃん家の住所は「まったくのデタラメ」だったそうな。だがしかし……

・さすが鬼女

謎のロケット読者 “通りすがりの鬼女” さんがタレコミしてくれた謎の住所「1つ目」については、「その住所は……まさしく我が家です。表札は掲げておりません」とのこと! 我々がクルマで通りすがった家の中に、真の耕平宅があったのだ! ということで予想ドンピシャだった “通りすがりの鬼女” さん、おめでとうございます!!

最後に耕平に聞いてみた。今日、初めて記事を読み、初めて対峙したGO羽鳥という男について、どう思ったのか? 耕平は、まっすぐ私の目を見ながらこう言った。

耕平「すごい人だな……と。絶対に敵に回してはいけない人だと思いました」

──と。

・戦い終わってノーサイド

その後、お酒が好きだという耕平には、会社に山ほど転がっている缶チューハイを、今年の正月に佐藤さんが手に入れたアップルラッキーバッグに、しこたま詰め込んで持ち帰らせた。耕平は、「ありがとうございます、ありがとうございます!」と涙した。

別れ際、耕平は「最後に一つだけお願いしたいことがあります……」と、おそるおそる私に聞いてきた。「どうやって妹宅の住所を割り出したのか……教えてもらえませんでしょうか?」と。一刻も早く、ネット上から消したいらしい。無論、私は快諾した。

・家に帰った耕平は、信じられない事実をメールしてきた

長い一日となった9月10日が、ようやく終わった。長い長い戦(いくさ)が、ついに……終わったのだ。その日、私は帰宅して倒れるように爆睡。しかし、千葉に帰った耕平は、まだ眠ってはいなかった。私とYoshioに、1通のメールを送信していた。そして、そのメールの中に、信じられない事実が書いてあった。

なんと耕平は……過去に私が出演したテレビ番組『ヨソで言わんとい亭〜ココだけの話が聞ける(秘)料亭〜』を、偶然にも見ていたというのである!

あの時、私はスタジオで、未公開作戦「ハゲアタック」について話をした。突如としてクマムシ長谷川さんが「柔道2段の俺が、用心棒として一緒に行きます」と名乗り出た。もしも、そのシーンがカットされずに放送されていたとしたら──!!

おそらく耕平の動きも変わっていたことだろう。こうして、耕平と会えなかったかもしれないのだ! カットに感謝、出会いに感謝である。

・耕平からの嬉しすぎる返信

翌朝、私は耕平にメールで “ネット検索の基本” を教えてあげた。「こうやったら出てくるよ! ホラ、出てきた!」と、検索結果のURL付きでレクチャーしてあげた。というのも……どうしても、耕平きょうだいの “絶縁状態” が心配なのである。

さあ、一刻も早く妹さんちの住所を消すんだ耕平。いろいろあったとは思うけど、たぶん耕平なら大丈夫。きちんと薄毛をさらけ出して謝れば、きっと妹さんも許してくれることだろう……なんて思っていたら、耕平から嬉しすぎる返信が届いた。

──罪を憎んでハゲを憎まず。もう耕平は、人のフンドシで相撲をとったりすることはない。人の薄毛で育毛を語ることも、ありえない。いつの日か、彼が自らの実体験を元にした「耕平の薄毛対策食事療法メルマガ」を始めてくれることを願いつつ……この話を終わりにしたい。ハゲに感謝、出会いに感謝いたします!<完>

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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▼【完全版】突撃ハゲアタック 怒りのデス・ロード動画

▼耕平バージョン

▼オマケ:耕平はその後、私が心待ちにしていた『特典1.「DVDの購入代金が戻る?」自己アフィリエイトマニュアル』を送ってくれたのだった……が!

▼その内容は、大手アフィリエイトサービス「A8.net」の単なるマニュアルみたいなモノだった……。ズコーッ!!

▼予告編

▼怒りのマッド羽鳥は、この動画から誕生した

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