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私(佐藤)は日々美味しいカレーを求めて、さまよい歩いている。カレーを求める道はどこまでも奥深く、そして果てしない。「これが正解」というものがないことが、カレーの面白いところかもしれない。さて、そんな私が最近出会ったカレーは、野菜を正しく理解したカレーとでも言おうか。余すところなく野菜の美味しいところを引き出した、丁寧な逸品であった。

「辛味」とは辛さだけでなく、甘さとの兼ね合いがあってこそ成り立つ味覚。そのことを教えてくれる名作カレーである

・地域に密着したお店

そのお店「世田谷クミン」は小田急小田原線の経堂駅から徒歩約10分のところにある。お店の場所は、今まで訪ねてきたお店のなかでも屈指のわかりにくさ。店が目立たない訳ではなく、住宅街にとけ込んでおり、店と知らなければ素通りしてしまう佇まいなのだ。まさしく地域密着のお店。

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・前菜は秀逸

ここはグルメサイトでの評価が高く、特に野菜料理に定評がある。その実力は前菜を食べてみてよくわかった。プレートに鮮やかに盛られた野菜は、見た目に美しいだけでなく、野菜の持つ美味しさを上手に引き出している。おそらく店の主人は生粋の野菜好きであり、食材の持つ特徴を把握したうえで、いかに美味しく料理するかを日ごろから研究しているに違いないだろう。名のあるレストランでもこれだけの前菜を出すところは正直少ない。

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・香りに胃袋が刺激される

前菜からひしひしと伝わってくる料理の実力。これはカレーもきっとウマいに違いない! そう確信して注文したスパイシーキーマカレーと対面。カレーそのものには派手さはなく、どちらかと言えば濃い色合い。前菜に比べると地味な印象を受ける。だが、スパイスの芳しい香りが、鼻腔をくすぐって胃袋と脳天を刺激するようだ。

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・甘さと辛さ

一口食べてみると、芳醇な果実味のようなものを感じる。これはもしやチャツネによるものなのか、材料に加えられているかもしれない果実そのものによるものなのか……。とにかく果物と思わせる甘さと酸味がある。ファーストインパクトが過ぎ去ろうとするころに、追いかけるようにしてジワジワとスパイスの辛味が伝わってくる。最初の甘さがあればこそ引き立つような辛さだ。決して強くはない、しかしジリジリとにじり寄ってくるようなたしかな辛さが、舌のうえに広がっていくのである。

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・記憶に残る

カレーを食べ歩いていると、率直に言って一辺倒な味に遭遇することが多い。たとえば、香辛料の味に頼り切っていたり、もしくはタマネギの甘味だけをむやみに信頼していたり。そこへ行くと、ここのカレーは全体のバランスが良く、なおかつ一度食べると記憶にしっかりと残る味をしている。前菜で感じたように、食材の特徴をきちんと理解しているからできる技なのではないだろうか。グルメサイトの高評価は十分に納得できるものだった。カレーはもちろんのこと、美味しく野菜を食べたいという人には、大変おすすめの店である。

・今回訪問した店舗の情報

店名 世田谷クミン
住所 東京都世田谷区経堂2‐20‐5
営業時間 平日 11:30~15:00、18:00~23:00 / 土日祝日 11:30~23:00
定休日 水曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24