バナナを携帯する時に便利なバナナケース。普段から使っている人は少なくないだろうが、あるタイプのバナナケースが今、海外で注目を集めているようだ。というのも、共同購入型クーポンサイトの「グルーポン」が、バナナケースの写真をFacebook に投稿したところ……とんでもない数の問い合わせが殺到! 海外のニュースサイトに取り上げられる事態にまでなったからである。
では、なぜそのような大騒ぎになったのだろうか? 本サイトでは、実際にFacebook に投稿された写真とコメントの一部を取り上げつつ、その理由を探っていきたい。
・異常とも言える注目のされ方
企業が、自社のSNS を利用して告知や商品の宣伝をすることは、大して珍しいことではない。と言うより、今やごく当たり前の企業活動だ。グルーポンも、今回話題になったバナナケースだけでなく、他にも様々な商品を自社のFacebook で紹介している。
だが、他の投稿では、「いいね!」の数が10ちょっと、コメントやシェアがひと桁というのがザラにあるなかで、バナナケースの注目され具合は圧倒的。それは数字に如実に表れており、その投稿の「いいね!」の数は、2015年3月29日時点で1万6000以上! コメントは1万5000件、シェアは4万件を突破している。他の投稿と比較すると、これは異常だ。
・ハードタイプで伸縮可能なバナナケース
そしてそのリンク先をポチッとクリックすると、商品購入ページへ飛ぶ仕組みになっている。これも、企業のSNS ではよくあることで、珍しくもなんともない。ちなみに、その購入ページに掲載されている紹介文は、こんな感じである。
(本製品は)プラスチック製のハードタイプになっており、果物がリュックやカバンの中で黒ずんでしまったり潰れたりするのを防ぎます。そして、中央部分は押すことで伸び縮みできるようになっているので、バナナのサイズに合わせて使用できます。(Groupon HPより一部引用)
つまり、ハードで伸縮可能ということである。なかなか便利なバナナケースのようだ。
・今は品切れ状態
また、人気が殺到したためか、現在そのバナナケースは品切れ状態になっている。確かに、バナナケースは便利だから人気商品なのは分かる。ハードで伸縮可能だったら尚更だろう。だが、はっきり言って、それほどまでに注目される商品だろうか。
人々はそんなにバナナケースを欲しがっているのだろうか? 言い方を変えれば、人々はバナナケースに何を求めているのだろうか?……そのヒントを探るべく、コメントを投稿しているネットユーザーの声に注目してみた。
・ネットユーザーの声とグルーポン側の返信
以下では、何人かのネットユーザーと、それに対するグルーポン側のやり取りの一部を記載しているので、確認して欲しい。なお、各ユーザーはそれぞれ別人である。
ユーザー(女性):それは電池付きですか? もし電池が付いていないなら、サイズはどれくらいでしょうか? 御社のサイトには、電池付きかどうかについての記述がなかったものですから。
グルーポン:電池など必要ありません。味がひどくなるだけです。ユーザー(女性):そのバナナケースを冷たい水に触れさせると、縮んだりするのでしょうか?
グルーポン:冷たくなっても、このバナナケースが急激に縮むことはありません。これは優れたバナナ保管製品ですから。ユーザー(女性):そのバナナケースを “別のバナナケース” に入れることは出来るのでしょうか? つまり、バナナを二重に保護するという意味で。
グルーポン:残念ながら、二重にしようとしても形状がフィットしません。ユーザー(女性):バナナを痛ませる潤滑油は使われていますか?
グルーポン:どうしてそのようなことを? ひどい方ですね。ユーザー(女性):そのバナナケースは、時間が経って(熟し切って)グニャっとしてしまったバナナでも、保護できますか? もしくはバナナはやはり完熟している必要があるのでしょうか?
グルーポン:バナナケースはバナナを選り好みなんてしませんよ。どのような(状態の)バナナでも問題ありません。ユーザー(女性):私はいつもバナナを(ケースに入れずに)出しっぱなしにしていたわ。
グルーポン:今から始めても遅すぎることはありませんよ。ユーザー(男性):真面目な質問です。バナナの漏出物がそのケースから漏れることはないのでしょうか。
グルーポン:真面目にお答えします。あなたのバナナがケースのなかで無事に落ち着いた状態であれば、漏出物など発生しません。ユーザー(女性):バナナを新鮮に保つためにはバッテリーが必要でしょうか?
グルーポン:おかしな質問ですね。どうしてバッテリーが必要なのでしょう?ユーザー(女性):それはソフトタイプですか? それともハードタイプですか? また、フレキシブルに形が変わるようになっているのでしょうか?
グルーポン:固いのですが、形が変わるようになっています。ユーザー(男性):私の妻が同じものを1つ持っていて、ここ2カ月半ほどベッド脇のテーブルに置いているのですが、肝心のバナナが中に入っていません。妻は大丈夫でしょうか?
グルーポン:それはまさに “ほのめかし” です。出来るだけ早く、あなたの家をフレッシュでヘルシーな野菜や果物でいっぱいにしてあげて下さい。ユーザー(女性):ドーナッツ用のケースを販売する予定はありますか?
グルーポン:それも検討しましょう。
(グルーポン Facebookページより一部引用)
・グルーポンの誠意あふれる対応
……などなど。これでもまだごく一部なのだが、あまりにも多すぎて書ききれないので、これくらいにしておきたい。読者のみなさんは、上のコメントを読んで、問い合わせ殺到の理由がお分かりになっただろうか?
私(筆者)には、どれだけ読んでもさっぱり理解できなかったのだが、一つだけ分かったことがある。それはグルーポン側の対応が、誠意あふれまくっていること。
先述のように、コメントの数自体がメチャクチャ多い。それらを全て確認するだけでも大変なはずだ。にも関わらず、グルーポンは投稿の一つ一つに丁寧な回答をしているではないか……。
・グルーポン「販売再開のために全力を尽くす」
さらに、グルーポンはユーザーとのやり取りの中で、「販売再開のために全力を尽くす」とコメントを残している。これは巷で言われるとことの、“神対応” と言えるだろう。いや、「だろう」ではなくて、断言したい。これこそが神対応だと!
と言うわけで、なぜ問い合わせが殺到したのかについては、筆者にはよく掴めなかったが、グルーポン側が真摯な対応をしたことは間違いない。今回はそれだけ分かれば十分だろう。投稿が話題を呼ぶことになった理由は、今後改めて考察していきたい。
参照元:Facebook、Groupon、Metro(英語)
執筆:和才雄一郎
▼こちらが問題の投稿である