江戸時代に広まった正月の風習に「七福神めぐり」がある。「松の内」と呼ばれる1月15日まで神様が滞在しているとされ、期間中に寺社を巡ると幸福をもたらし、災いを回避できるとされている。要するに、とても縁起の良い粋な正月の習わしである。
日本全国津々浦々、数多くの七福神めぐりがあるが、東京にも多くの「七福神めぐり」が存在する……。その中で今回は『下谷七福神』に出かけてみたのでご報告したい。
・JR鶯谷駅からスタート
私事で恐縮だが筆者はここ数年、正月は必ず七福神めぐりを行っている。『谷中七福神めぐり』や『浅草七福神めぐり』などを経験し、ちょっとした七福神めぐりのセミプロだと自負しているのだ。そんな筆者が2015年に選んだのが『下谷七福神めぐり』である。
東京在住でも「下谷?」となる人が多いだろうが、駅でいうとJR鶯谷駅から地下鉄日比谷線 入谷駅・三ノ輪駅のエリアが『下谷七福神めぐり』のルート。まずはJR鶯谷駅からほど近い、元三島神社からスタートするのだが……! 元三島神社は場所がわかりにくいから要注意だ。
元三島神社はホテル街のど真ん中に位置している。一瞬気が引けるほどホテル街である。駅から30秒ほどとかなり近いが、小道に入るので迷わないようにしたい。ここでは長寿の神様・寿老人(じゅろうじん)様をお参りする。ついでに1軒目なので七福神の色紙を購入しよう。
・七福神を巡る
色紙はそれぞれの寺社で、ご朱印を押してもらえる。7つの寺社を巡り終えると、立派な色紙が完成しているという仕組みだ。2つめは “朝顔市” で有名な入谷鬼子母神(いりやきしもじん / きしぼじん)へ。ここには立身出世・招徳人望などの神様・福禄寿(ふくろじゅ)様をお参りする。
3つめは入谷鬼子母神からほど近い、英信寺へ。正月らしく羽子板やコマなどが置いてあり、童心に帰って遊ぶのもいいだろう。ここでは商売繁盛の神様、大黒天(だいこくてん)様をお参りしよう。ちなみに、英信寺の大黒天は「三面大黒天」という珍しい大黒天だった。
4つ目は法昌寺。こちらでは武道成就・降魔厄除にご利益があるとされる毘沙門天(びしゃもんてん)様をお参りしよう。さらに金運や勝負運の弁財天(べんざいてん)様がいる弁天院を巡り、商売繁盛などの神様、恵比須(えびす)様の飛不動正宝院(とびふどうしょうほういん)を巡る。
・七福神初心者にオススメ
最後の一つは、千客万来・家庭円満などにご利益があるとされる布袋尊(ほていそん)様をお参りすれば、『下谷七福神』は終了である。所要時間は2時間強。距離的には4キロほどであった。
下谷七福神めぐりのいいところは、まず移動がしやすいところ。土地勘がなくてもそれぞれの寺社が比較的近いので、迷うことはないだろう。次に人がそこまで多くないので、ご朱印などで混まないということ。谷中や浅草はご朱印待ちで並ぶことが多々ある。
移動がしやすく混雑もしていないので、七福神めぐり初心者にオススメだ。下谷一帯のディープな雰囲気を味わいながらの七福神めぐりは、きっとご利益がある……かどうかはわからないが、心が落ち着き新たな発見があることだろう。基本的には通年で開催しているが、ご朱印がもらえるのは1月15日まで。気になる人は、ぜひ出かけてみてほしい。
参考リンク:台東区「七福神詣」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼『下谷七福神めぐり』はJR鶯谷駅からスタート。
▼元三島神社で寿老人様をお参りする。色紙もここで購入しよう。ここだけ場所が若干わかりづらいから気を付けて!
▼入谷鬼子母神には福禄寿様。
▼英信寺では大黒天様。しかも「三面大黒天」だ! 羽子板やコマも置いてあったぞ。
▼法昌寺では毘沙門天様をお参りする。
▼まさかの公園と一体型の弁天院では、弁財天様。
▼中は立派だ!
▼七福神とは関係ないが、招き猫チョコなんかも楽しいぞ。
▼恵比寿様の飛不動正宝院へ。
▼ラストは布袋尊様の寿永寺。意外と近代的やで……
▼なぜかシベリアンハスキーの置物が。
▼近代的かと思いきや、中は荘厳な雰囲気。
▼布袋尊様も豪快に大笑いしてらっしゃる! 食べかけのりんごに注目だ!!
▼寂しかった色紙が……
▼御朱印で完成! 1年間飾っておくのだ!!
▼縁起の良い「七福神めぐり」……! 下谷は初心者にオススメだ!! ちなみにイラストはこの地と縁が深い赤塚不二夫さんが書いているぞ。