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竹と紙袋、そして火だけで空に昇っていく “スカイランタン” 。お祭りのときなどみんなで一斉にスカイランタンを放つことがあるが、夜空に一斉浮かび上がるその姿は本当にキレイ。願いを込めて手を放した瞬間、ユラリと浮かび、真っ暗な空に消えていく……。ウットリ、とってもキレイだ……。

けれども、お空の向こうに飛んで行ったスカイランタンは、その後どうなるのだろうか? 実は、火を使って飛ぶスカイランタンが、火事やヤケドなどの原因になったという報告が続々となされているのである。

・スカイランタンによるヤケド

今回、スカイランタンの危険性について警鐘を鳴らしたのはイギリスの農家団体「全国農業者組合(NFU)」。スカイランタンが引き起こす被害を報告している。例えば、人間や動物のヤケド。まだ火のついたままのランタンが農場に降り立ち、家畜や人間にヤケドを負わせたりするというのだ。

被害者は農家の人々だけではない。英ウェールズでは、空に昇ったスカイランタンの一部が溶けて落ちてきて、当時3才の少年が顔にひどいヤケドを負う事故が起こった。他にも、火のついたランタンが体にからまり、ヤケドして死亡した野生のフクロウなども発見されている。

・大火事になったことも

また、火事の原因になることもある。2013年、英では火のついたスカイランタンがリサイクル工場に飛び込み大火事に。約200名の消防士が出動したが、10万トン以上ものプラスチックが焼けるという大規模な被害へと発展した。

他にも、同国で牛を飼育するロビンソン夫妻もスカイランタンで恐ろしい目にあったという。28個ものスカイランタンが火がついたまま、夫妻の農場に降り立ち、あわや大火事になりかけたというのだ。

・“火が消えるまで見張らなければならない” とのルールが

一方、米ボーイスカウト団体「ボーイスカウト・オブ・アメリカ」によると、米の多くの地域ではスカイランタンを飛ばすことは禁止されており、火を使ったイベントを行うときは、火が完全に消えるまで監視する決まりもあるという。

しかし、飛んでいくスカイランタンをずっと監視し続けるのはほぼ不可能。ということで団体は、スカイランタンを飛ばさないように加盟ボーイスカウトチームに呼びかけている。

・対策を講じる日本の自治体

さて、日本でも徐々に人気を集めているスカイランタンだが、火事などの事故を防ごうと取り組みに乗り出している自治体もあるようだ。例えば福島県三島町では、火事の危険性などを考慮し、ランタンにひもをつけて飛んでいかないようにする方法などを模索している。

確かに、空に浮かぶスカイランタンはとっても美しい。しかし、その美しさは火によってもたらされるのだから、事故に発展してしまう可能性があるのは当然のこと。自分が放ったスカイランタンがどのような事故を起こしうるのか、知っておいてもいいのではないだろうか?

参照元:NFUFacebook、Twitter @National Farmers Union (英語)三島町観光協会
執筆:小千谷サチ

▼スカイランタンの事故により、痛々しいヤケドにも……

▼ “スカイランタン” の危険性を訴える英NFU