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名古屋は日本でも有数のカフェ激戦区だ。そのためか「名古屋のカフェはレベルが高い」とよく言われる。実際に私(記者)が東京から名古屋を訪れ、市内のカフェに立ち寄った際も「え、この値段でこれだけ食べられるの!?」と何度か軽く驚かされた。

そんな名古屋のカフェの中で、「日夜ユニークな珈琲を研究する『珈琲野郎の店』」というキャッチコピーの付けられた店がある。このキャッチコピーだけで十分にユニークだが、なんとこのカフェでは、店員さんが脚立に上り、そこからコーヒーを注いでくれるらしい。……これは行くしかないだろ! ということで、実際に店に伺ったので報告したい。

最初に言っておくが、このカフェの珈琲野郎、ただ者ではなかったぜ!

・緑が多い店内

そのカフェ「喫茶ツヅキ」は、地下鉄東山線の中村日赤駅から歩いて10分弱の場所にある。「太閤通り」という大きな通り沿いにあるビルの2階で、1階には例のキャッチコピーが入ったポスターがあるから、いい目印になるはずだ。

階段を上り店に入ると……まず気づいたのは観葉植物が多いこと。おまけに店内は日が差し込んで明るく、スペースが広い! いかにも居心地がよさそうなカフェである。

そしてメニューを見れば品揃えが豊富。ドリンク、フード、セットメニューと、どれをとっても東京の平均的なカフェより充実したラインナップの印象だ。ただ、メニューの中にそれらしきものが見当たらない。

・店員さん「カフェオレ、パフォーマンスで」

そこで店員さんに、「こちらのお店で、脚立から注がれるメニューがあると聞いたのですが……」と聞いてみたら、「ありますよ! カフェオレですね」とのこと。やはり! あったんだ!! 

もちろんそれをオーダー。すると……店員さんが中の人に、「カフェオレ、パフォーマンスで!」と注文を伝えるのが聞こえてきた。「カフェオレ、パフォーマンスで!」……そうか! 店では「パフォーマンス」と呼ばれているのか。それにしても、何というオーダーの通し方だ! 

・店内に脚立

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しばらくして脚立が来た! そしてポスターに載っていた人とは違う、若い男性が登場。どうやらこの方が3代目の珈琲野郎、店のマスターらしい。見た目は爽やか系のイケメンである。

「さてさて、どんなパフォーマンスを見せてくれるのかな」と思っていたら、まずは会話で軽いジャブだ。

・彼女ナシにはぴったり!?

マスター:「ご結婚はされていますか?」
私:「いや、してないです」
マスター:「彼女はおられますか?」
私:「いや、いません」
マスター:「ちょうどよかった!!」
私:「!?」
マスター:「これから注ぐカフェオレのコーヒーは男性、ミルクは女性だと思って下さい。この2つが交わるのは、縁起がいいんです。もしかしたら、名古屋でいい出会いがあるかもしれませんよ!」
私:「……それって、結婚している人にはまた別の理由を付けて『縁起がいい』と言ってますよね(笑)」
マスター:「まあ、色々なパターンがありますね(笑)」

何という強引な持ち込み方だろうか。爽やか系のくせに、かなりの豪腕だ。

・脚立の上からコーヒー&ミルクを注ぐ

そしていよいよ本番。マスターが脚立の中段くらいまで上り、カップの位置をしっかり確認して、コーヒー&ミルクを注ぎ始めた。それからマスターは少しずつ脚立を上って行き、最終的には、天井に手がつく位置まで! 

……お見事! 写真を忘れて、思わず拍手してしまったぞ!!  縁起がいいかどうかは置いておいて、素晴らしいコーヒーショーである! これを見られただけでも名古屋に来た甲斐があったというもの!!

・カップからこぼれた分は「愛情があふれた」と考えるべし!

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だがよく見れば、カップからこぼれて受け皿に溜まっているコーヒー&ミルクが……。これに対してマスターは「彼女に対する愛情があふれた、つまりより縁起がいいと考えて欲しい」とのこと。

なんとこのマスター、豪腕なだけでなく、ディフェンスまで完璧だったとは……。あまりの見事なスウェーバックに、私は「愛情が溢れるどころか、そもそも向ける対象がいないんだが……」という反撃をそのまま引っ込めざるを得なかった。

だがしかし! マスターのコーヒーショーはこれで終わりではなかった!! むしろこれからが本番。最後の攻撃で、私は完全にKOされたのだった。

・口の中に直注ぎ!?

マスターは、泡立たせるために、さらにコーヒー&ミルクを注ぎ、最後の仕上げに入った。

「見て下さい。まだこのポットの中に、コーヒーとミルクが残ってますよね。今からこれを注ぎますから、椅子に座って上を向き、口を開けてもらえませんか

……マジかよ! どう考えても、そのコーヒー&ミルクは熱々だろ! それを直接口に注ぐと言うのか!? 「日夜ユニークな珈琲を研究する」ってそういう意味か!? コーヒーを研究する方向性、絶対に間違えてるだろ! 日夜何をしていたんだ!!

・口を限界まで開ける

と、思ったが、ここまで来てこの試合から逃げるワケにはいかない。その勝負、受けたろうやないか!! 私は椅子に座り、目をつぶって口を開けた。舌をヤケドするのは、もはやこの際仕方がない。最悪なのはコーヒー&ミルクが口から溢れて、顔やら喉をヤケドしてしまうことである。それだけは避けたい! 口を限界まで開けるぞ! アーーーン、アーーーーーーーン! アーーーーーーーーンッッ!!

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……この時、私はテンカウントのゴングが聞こえた。何が起こったのか、私には思い出せない。覚えているのは、マスターのフェイントに見事に引っかかり、ヤバい! と思ったことだけ。それから気がつけば、私はマットに沈んでいたのだ。

・フェイントを絡めたフィニッシュブロー

なお最後の攻撃が具体的にどういうものかは、それぞれが店に足を運び、マスターとお手合わせして確かめて欲しい。とにかく、珈琲野郎、恐るべし! 最初から最後まで完全にペースを握られ、最後はフェイント絡みのフィニッシュブローを叩き込まれたのだ。この勝負……完敗である。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 喫茶ツヅキ
住所 愛知県名古屋市中村区太閤通6-1ツヅキビル2F
時間 7:30~19:30

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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▼ビルの1Fにある看板が目印
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▼2Fに上がれば、そこが『喫茶ツヅキ』だ
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▼これが、カフェオレ(パフォーマンス付き)のセット
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▼注ぐ位置を確認するマスター
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▼低い位置から入れ始め……
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▼徐々に上がって行き……
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▼最終的には天井に手が付く位置まで!
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▼思わず拍手してしまった!
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▼泡立てるためにさらにコーヒー&ミルクを注げば……
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▼完成! ……と思いきや、これから最後の攻撃がはじまったのだ
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▼心の中で「バッチコーーーーーーーーーーーーーーーイ(震え声)!」と叫んでいた
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▼カフェオレは、パフォーマンスがアリでもナシでも価格は同じ540円。敗者の心に沁みる、優しい味わいのカフェオレだった
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