日本中に点在する、渋谷に新宿、なんば、栄、天神などといった繁華街。そこをあなたは悠々と歩けるだろうか? 嫌になるほど人でごった返す場所では、キャッチやナンパ、セールスなど何かと “人との触れ合い” が発生するものだ。
一見フレンドリーな言動でも、失礼だったり、しつこかったりすると相手にストレスを与えてしまうだろう。そのことがよく分かる実験動画があるのでご紹介したい。ある女性がニューヨークを10時間歩き回り、男性からどんな言葉をかけられるか調査を行ってみたのである。
・“ストリート・ハラスメント” を根絶するために!
今回の実験を行ったのは、非営利団体「Hollaback」。しつこく話しかけることから、ストーカー、暴行など路上で起こりうる不快な体験 “ストリート・ハラスメント” の根絶を目的として活動している。特に女性や性的マイノリティなど、社会的に弱い立場に置かれることの多い人々が、安心して街を歩けるように支援を行っているという。
・「お話ししようよ〜」「美人だね」
そんな団体が公開したのが、動画「What 10 hours of street harassment in NYC looks like」だ。ジーンズにTシャツといったカジュアルな服装の1人の若い女性が、ニューヨークの街を10時間(!)歩き回ってみて、道行く人々からどのような声をかけられるか動画に収めたのである。
約2分に編集されたこの動画のなか、街の男性から下記のような言葉が投げかけられたのだった。
「笑えよ!」
「お姉さん、美人だね~」
「元気?」
「いいねえ」
「ねえ僕の顔がブサイクだから無視するの?」
「お話ししようよ~」
などなど、中には5分間ずっとつきまとう男性もいたり。しかもお姉さんが無視すると、「クソ!」、「美人って言ってやったんだから、“アリガトウ” くらい返せよな!」などと、さらに嫌な気持ちにさせられる言葉が、背中に投げつけられることもあった。
・100人以上もの人に声をかけられる
10時間歩き回った結果、100人以上から声をかけられたという今回の調査。しかもそれら男性の年齢、職業、人種などには偏りがなかったとのことだ。ちなみに、ウィンクや口笛など、軽い “誘い” はカウントされていない。
・ネットの反応「1人1人は礼儀正しくても、こんなに多ければウンザリするよね」
この動画は、ネット上の多くのメディアで取り上げられ、男女問わず様々な意見が集まった。その一部を見てみたい。
「本当に10時間も歩いたの?」
「5分間も跡をつけられるなんて怖い……」
「私にも同じ経験があるわ。声をかけられて、無視したら跡をつけてきたの。スゴく怖かった。」
「この団体はどうやって “ストリート・ハラスメント” を根絶するのだろうか?」
「1人1人は礼儀正しくても、こんなに多ければウンザリするよね」
「まあ今回の男性全員が、嫌な気持ちにさせようとして声をかけたわけではないと思うけど……」
・多くの女性が「同じ経験がある」と告白
このようにたくさんの意見が寄せられるなか、多くの女性が同じ経験をしたことがあると告白。無視したら跡をつけられたり、言葉を返したらずっと会話が止まらなかったりと、「怖かった」「どうすればいいか分からなかった」とその時の心情を吐露している。
なんだか埋もれていた小さな声が、今回の動画をキッカケに一斉に浮かび上がってきたような印象だ。もちろん、氷山の一角であることは間違いないだろう。
・男性だって嫌な思いをしている!
では女性だけがこういった嫌な思いをしているかといえば、そうではない。男性のなかにも同様の嫌な目にあっている人もいるのだ。
非営利団体「Stop Street Harassment」が、2014年にアメリカ人を対象に行った調査結果を見てみると、男性回答者の25%がストリート・ハラスメントを経験しており、その多くが、同性愛者やトランスジェンダーに向けられた嫌がらせだったということだ。
どのようなハラスメントでも言えることだが、難しいのが “線引き” だろう。なんとなくアイサツをしてみたといった軽い気持ちから、他人に声をかける人も多いはず。それでも、今回ネット上で女性たちが語った「怖かった」という体験の声を無視することがあってはならない。外を歩く度に不快な思いをするなんて、誰だって嫌なはずだ!
この動画は、そういった女性たちに「私も経験があります!」と声を上げる場を与えたことが、一つの大きな収穫だったのではないだろうか?
参照元:You Tube、Hollaback、Stop Street Harassment、Reddit(英語)
執筆:小千谷サチ
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