沖縄に行ったことがないという人でも、沖縄料理は食べたことがあるはず。それくらい沖縄料理店は全国各地に存在します。
それに比べると、北方先住民族のアイヌ料理のお店はあまり見かけません。東京都内にはなんと一軒しかないのだとか。そんなアイヌ料理を専門に提供するお店をご紹介しましょう。
・老舗の味を継承するお店
このお店「ハルコロ」は、元々西早稲田(のちに中野に移転)にあった「レラ・チセ」が閉店した後に、共同経営者とその娘が味を継承し、2011年東京・新大久保にオープンしたそうです。「レラ・チセ」は1993年の国際先住民年を機に、全国からの募金で開業にいたったそうです。一時はアイヌ文化継承の拠点になったのだとか。現在はそれを「ハルコロ」が受け継いでいる状況です。
・アイヌ語のメニュー
店内の壁には、アイヌ語でメニューが掲示されています。「ラタシケプ」、「メフン」、「オハウ」など。一体どんな料理なのかまったく想像がつきません。スタッフの方に尋ねると丁寧に教えてくれました。ラタシケプは煮物やあえ物のこと。メフンは鮭の血合いの塩辛。そしてオハウは具だくさんの汁物のことだそうです。
・山野の味が体に効く!
北海道というとなんとなく、ウニやイクラなどの海産物や、羊や鹿などの獣肉をイメージしてしまいます。実際にそれらの素材を使った料理も提供されていますが、いくつかの料理を食べて私(記者)が感じたことは、山菜や野草がこれらの料理を引き立てているということ。しかも一口食べることに、これらの成分が体に効いているように感じられるのです。山菜・野草の苦みや渋みがジワジワっときます!
・根菜の甘味もしみる!
取り分け私が気に入ったのは、かぼしゃのラタシケプ(かぼちゃを使ったあえ物)です。かぼちゃがとても甘い! 口のなかにジワーっと自然の甘さが広がります。そしてキハダ(ミカン科の薬草)や、炒った松の実の苦みが、かぼちゃの甘さを引き立てています。チポロイモ(茹でた馬鈴薯に筋子をあえたもの)も、馬鈴薯の甘さが最大限に引き出されています。アイヌの料理法の奥深さに驚かされるばかりでした。
アイヌ料理を知らないという方は、ぜひ一度足を運んでみてください。肉・魚料理もさることながら、山・野菜を使った料理にもきっと衝撃を受けるはずですよ。
■訪問店舗 ハルコロ
住所:東京都新宿区百人町1-15-3
営業時間:月~金曜日17:00~24:00、土日16:00~24:00
定休日:不定休
Report:フードクイーン・佐藤
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▼ お店のメニュー。わからないものはスタッフに尋ねると丁寧に教えてもらえます
▼ かぼちゃのラタシケプ(かぼちゃを使ったあえ物)
▼ チポロイモ(茹でた馬鈴薯と筋子をあえたもの)
▼ メフン(鮭の血合いの塩辛)
▼ ザンギ(鳥のからあげ)
▼ 鹿肉の餃子
▼ 鹿肉(ユク:エゾジカ)のステーキ
▼ キトピロ(ギョウジャニンニク)のチャーハン
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