皆さん、暑い日の続く毎日を元気にお過ごしでしょうか? 温度計の針が30度を超え、ときに40度にまで迫る勢いになると、それだけでうんざりすると思います。しかし、私(記者)が滞在しているモロッコでは、もしかしたら40度でも涼しいと感じてしまうかもしれません。というのも、滞在した砂漠のど真ん中にあるキャンプでは、50度を超える日さえあるのです。いや、もう温度計の針が振り切れてしまって、何度なのかわかりません。「暑い」というより「熱い」、気温の高さに思わず笑ってしまいました(笑)。

アルジェリアの国境にほど近い村「メルズーガ」。サハラ砂漠の端っこではありますが、「砂漠」というに相応しい荒涼とした風景が広がります。見渡す限り砂・砂・砂ッ! ほかには空があるだけ。はるか彼方にはくっきりとした地平線があり、空と大地を真っ二つに切り分けているようにさえ見えます。

もしもここまで直行するとなると、フランス・ロンドン・ドバイを経由して、フライトで約25時間。そしてモロッコ第3の都市マラケシュからバスで約12時間。さらにはラクダに揺られて約1時間半を経て、宿泊するキャンプに到着しました。計38時間半かけて、はてしない砂の海にたどり着いたのです。

私が現地入りしたのは8月初旬、気温はなんと50度を越えています。温度計が振り切れたために正確な気温はわかりませんが、洗濯物は1時間で乾きます。薄手のTシャツであればたったの10分、気温と湿度だけを見れば洗濯物を干すのには、最高の環境といえるでしょう。

キャンプでの宿泊は意外にも楽しいものです。暑さに苦しみますが、それに耐えてあまりある魅力にあふれています。ソーラー発電システムを完備しており、夜間は照明を利用することが可能です。ミントティーで喉の渇きを潤し、モロッコ伝統料理のタジンでおなかを満たします。そして現地の伝統、ベルベル音楽を聞けば、砂漠に面した国に根付いた文化をより良く理解できるでしょう。

何より素晴らしいのが、満天の星空です。空の隅々にまでいたる星の輝きに、「宇宙」を感じずにはいられません。砂漠に寝転がって見上げると、星々が迫ってくるようです。なんと自分の存在が小さいことか、それと同時に自分のその一部なんだと妙に納得した次第です。

そして砂漠で見る日の出は格別ッ! 山の頂からみるご来光も素晴らしいのですが、砂漠で見る朝日は不毛な地に現れた「希望」です。砂漠の夜は本当の暗闇なので、光がもたらす安堵感は至極といっても過言ではないでしょう。

なお、私が参加したツアーは1泊2日で約3000円でした。ちなみにベストシーズンはいくぶん暑さの和らぐ10月から4月とのことです。興味のある方は今秋あたりいかがでしょうか。

取材、写真:Photographer Koach
執筆:フードクイーン・佐藤

▼ 温度計が振り切れた

▼ 薄手のTシャツなら10分で乾く




▼ ソーラー発電で電力を供給



▼ まばゆい朝日に感謝