子どもの頃は、何かと「クラスみんなで協力しましょう」という指導のもと、文化祭や運動会などさまざまなシーンにおいて、やたらと「一致団結」することが求められたものです。でも、それは高校を卒業するまで。大人になり、社会へ出るにあたって、今度は何かと「自分は自分、他人は他人」という個人主義的な考え方にシフトチェンジさせられますよね。たしかに、小中学校のマラソン大会では、「一緒に走ろうね」という約束を交わすことがあっても、就職活動においては、「一緒に○○商事を受けようね」ということは滅多にないはずです。
しかし大人とて、場合によっては一致団結しなければならないシーンがあるはずです。「社員一丸となって売り上げ向上に努める」なども当てはまるかもしれませんが、ここではコンパや飲み会での「一致団結」に注目したいと思います。といっても、「お笑い担当・モテ役担当など、バランス調整して和を尊ぶ」という意味ではありません。一致団結すべき場は、宴席ではなくトイレです!
お酒をたくさん飲むと、当然のことながらトイレが近くなりますよね。男性に比べて、女性は膀胱の許容量が小さく尿道も短いので、トイレが近いものです。しかし場がせっかく盛り上がっているのに、トイレに立つのはなんとなく気が引けるもの。ギリギリまでガマンしているという女性も少なくないでしょう。
そのうち限界が訪れます。そのままガマンを続けるわけにもいかないので、やむを得ずトイレに立つことになるのですが、すでに先客が利用していて、待たなければならないということも多いですよね。いかにギリギリまでガマンしていたといっても、大人ですから1~2分はガマン出来ますが、時にはけっこうな時間待たされることもあります。というよりも、女子トイレの場合は、かなり待たされることがほとんどです。「ケータイいじっているのか?」と疑いたくなるくらい、おそろしく時間をかけて個室を占領する女性のなんと多いことでしょう。
占領女子たちは、個室内で何をしているのでしょうか? 本当にケータイをいじっているのでしょうか? それとも「大」でしょうか? いやいや、疑うのはよくないですね。楽しいコンパや飲み会の最中に席を外して、メールや「大」などをする女性などいるわけがありません。
おそらく彼女たちは、ギリギリまでガマンしていたオシッコを排泄した安心感から、ほっとひと息ついているだけなのでしょう。慣れない宴席で気疲れしてしまったという内気な女性は、やっとこさ一人になれた空間に、しばし身を委ねていたいだけなのでしょう。
気持ちはよくわかります。しかし! 個室の外には、数分前の貴女と同じように、膀胱をパンパンにさせた女性たちが列を作っていることを思い出してください。そう、「自分さえ良ければいい」という考えはいけません。見知らぬ他人同士ではありますが、一致団結して、トイレをスムーズに回転させようではありませんか! 「袖触れ合うも他生の縁」ということわざがあります。たまたま同じ居酒屋で、同じ時間帯にコンパや飲み会をやっているというのも、何かの縁です。皆が快適に用を足せるよう、居酒屋のトイレでは個人主義的な考えは封印しましょう。
コラムニスト:菊池美佳子