漆黒の宇宙にぽつんと浮かぶ、青い惑星・地球。その神秘的な姿を生で見るのは、これまではごく少数の限られた宇宙飛行士にしか許されなかったものだ。しかし、これからは私たちも、いつでも自由に見ることができるようになりそうだ。

カナダのUrtheCast社は、国際宇宙ステーション(ISS)に高解像度ストリーミングビデオカメラを設置し、とった地表の映像をインターネットでライブ配信すると発表した。「この宇宙からとった地表のリアルタイム映像の配信は、世界初の計画です」と、同社は説明している。

ISSとは、アメリカ・EU・ロシア・カナダ・日本が共同で建造を進めている、様々な研究や実験を行う有人施設だ。地上400キロのところを、時速2万7700キロの速さで飛んでおり、1日に地球を16周している。UrtheCastはロシア連邦宇宙局と提携し、ISSのロシアモジュールに2台のカメラを設置する取り決めをした。

そのうち1つは、地表の静止画を撮影するもので、45キロという広範囲をピクセルあたり5.5メートルの解像度で撮影する。

そしてもう1つは、動画を撮影する高解像度カメラ(フレームレート3.25fps)で、ピクセルあたり1メートルの解像度で24時間休みなく取り続ける。この解像度はGoogle Earthに匹敵し、ISSに向かって手をふっている自分まではわからないが、自宅なら十分に特定できるレベルとのことだ。

そして配信される映像は、決してただ見るだけの退屈なものではないらしい。UrtheCastのユーザーは、まるで自分でカメラを動かしているかのようにズームイン・アウトが可能で、早送りや巻き戻し、過去の映像のダウンロード・検索なども可能だそうだ。「webプラットフォームは動画版Google Earthと YouTubeの機能をあわせたようなものとなるでしょう」と同社の社長は語っている。

この2つのカメラは今年末に打ち上げられる予定で、放送開始は2012年春とのこと。しかし、この計画にかかる費用と、気になる利用料金は、今のところ発表されていない。

さて、UrtheCast社によると、「これは、個人にも世界にも、大きな影響を与えるでしょう」とのことだ。たしかに、宇宙から見た地球の姿には人知を超えた何かがあるようで、多くの宇宙飛行士に大きな影響を与えてきた。

壮大で神秘的な映像を見入れば、人間なんてちっぽけな存在で、悩みや争いが無意味なものに感じてしまうもの。もしかしたら映像を見ることで、人類は何かを共感することができるかもしれない……。UrtheCastの可能性にちょっと期待してみたい気がする。

参照元:popsci.com, engadget.com(英文)