スーパーマーケットでタダで手に入る食材があるのをご存知だろうか? 精肉コーナーなどで小さな袋に入っているタダで持ち帰ることができるアレそれは『牛脂』(ぎゅうし)。牛脂とは名前の通り牛の脂(あぶら)である。

小さな袋に入った牛脂は、まるでキャンディーのようにも見える。ひょっとして、これって美味しいんじゃないの? 味もキャンディーみたいに甘いんじゃないの? 先日食べた、ラードがけご飯はけっこう美味しかった。牛脂ならもっと美味しいんじゃないの? だってビーフだし! ということで、さっそく、牛脂をそのまま口に放り込んでみることに!

近所のスーパーの精肉コーナーの一角に、「ご自由にお持ち帰りください」と書かれて、小さな袋に入った牛脂がおかれている。常時10~15個くらい並んでいるのだ。記者はそれをはじめて見たとき「無料なのかスゲー!」と大喜びしたのを覚えている。常に貧困状態にある記者は、もらえるものは何でももらう主義である。並んでいた15個を全部持ち帰ろうと思ったのだが、さすがにそれは他のお客さんに悪いと思い、1個だけ残しておいた。

持ち帰ってよく見てみると、なんだかキャンディーみたいに見える。ちょうどそのとき腹が減っていたので、「このまま食えるんじゃないか?」と思った。そして何も考えずに口に放り込んでみた。食べた直後の感想は、「甘い!」。ラードも甘かったのだが、牛脂はさらに甘い。しかしラードに比べると脂っこさはそれほど感じなかった。まるでミルクキャンディーのようだ。

しばらくなめていたのだが、これが意外と溶けにくい。調べたところ、牛脂が溶ける温度は35~55度。人間の体温が36度前後とすると、口のなかで溶けるか溶けないかの温度である。ちょっとずつ小さくなっているのだが、いくら口のなかに入れていても、なくなる気配がない。仕方なく牛脂がほどほどに小さくなったところで飲み込んだ。

肝心の味なのだが、けっこう甘い。しかし、ずっとなめていると甘さにあきてしまうので塩をつけながらなめたところ、けっこう美味しい味になった。この味、高級黒毛和牛のステーキの味みたいだ! これからは、お金がなくなったら、スーパーで牛脂をもらってこようと思う。これでさらに貧乏になっても安心して暮らしていける!

……そう思った記者だが、よくよく考えてみると牛脂は生なのでそのまま食べるのはあまりよくない気が……。皆さんは絶対に真似しないでほしい。

Photo by Rocket News24 Staff / 本誌記者撮影(佐藤)