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「都内で良く見られる野鳥は?」と問われ、スズメ・ハト・カラス・ツバメ以外に答えられる種類が幾つあるだろうか?以前、同じ問いを、都内に勤める友人数名に出したことがあるが、上記以外の鳥は出てこなかった。

都心部であっても、実はかなり多種の野鳥たちが棲息しているのだ。川沿いを伺えばコサギ・ハクセキレイ・カルガモなどなど、街路樹を見上げればヒヨドリ・ムクドリ・メジロなどなど。それら野鳥の紹介はまた改めて行なうとして、今回は、恐らくはスズメに次いで都心部での棲息数が多く、ごく普通にその辺の木の枝上にいる割に、「見たことがない」と言う人の多い小鳥「シジュウカラ」について話をしたい。

シジュウカラ。その名前は、誰でも一度は聞いたことがあると思う。漢字で書くと「四十雀」。スズメとほぼ同じくらいの大きさ(約15cm)で、胸から腹にかけて一本の黒い帯が入っているのが特徴の可愛らしい小鳥だ。この黒い帯、太いのが雄で細いのが雌の個体である。頭と喉は黒くて頬は白、羽に一本の白い筋が入っている。首から背の部分の黄緑色がかった灰色が、微妙な色合いを醸し出していて美しい。「スズメ40匹分の価値がある」ということから「四十雀」という名前がついたと聞く (ちなみにゴジュウカラ〔五十雀〕という鳥もいる)。

そんなシジュウカラであるが、都内での棲息数もかなり多く、スズメに匹敵すると考えられる。なのに何故これ程までに「見たことがない」という人が多いのか? 一つの理由としては「実は見ているのだが、その大きさなどから勝手に『スズメだろう』と判断し、ちゃんと確認をしていない」ことが挙げられるであろう。またこのシジュウカラ、筆者の経験上、スズメたちと比較して地面に下りてきて餌をついばむ機会は少ないように感じられることも、なかなか目にしない理由の一つであろう。都心部であっても、ちょっとした街路樹や庭木などがあったら、そっと見上げてみてもらいたい。きっと簡単にシジュウカラたちの可愛らしい姿を発見できるであろう。

冒頭で記したように、「都心部ではスズメ・ハト・カラス・ツバメくらいしか見られない」という潜在意識を持っていると、知らず知らずのうちに、いるものすら見えなくなってしまうものだ。なんと勿体無いことか。どうせ都心部に暮らさねば(通勤しなければ)ならないのであれば、そんな中でもどんな自然が育まれているかを探しながら暮らした方が、心にとっても健全なものである。人間の勝手な都合で切り崩された都心部の自然を、それでもまだその中で一所懸命に生きる自然たちがあるというのに、当の人間たちが一番最初に諦めてしまってはならない。

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