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広大な大地の恵み・長野県。私(中澤)は大阪出身だが、長野県が好きだ。というのも、親が大学時代長野に住んでいたため、子供の頃から年1回、多いと2~3回通っていたのである。ウチの家族にとって旅行と言えば長野県だった。というわけで、信州そばも子供の頃からよく食べている。

ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。今回は、本格信州そばが食べられるという立ちそば屋を訪れた。店の名は『みのがさ本店』。激戦区秋葉原の路地裏にひっそり佇む店である。

・信州そばに飽きてた

最初にぶっちゃけると、子供時代の私は長野は好きだったが、信州そば自体はそんなに好きでもなかった。というか、そば自体が好きじゃなかった

なのに、どこに泊まっても出てくるのはそば・そば・そば。肉食いてぇ……と、毎年うんざりしてた気がする。その頃は、信州でしかそばを食べたことがなくて、ウマいとかマズいとかもわからず、他に食べるものがないから食べてるような感じだった。

そのため、「信州そば」と言われても全然ピンと来ない。はたして、こんな私でも『みのがさ本店』の良さが分かるだろうか?

・路地裏すぎる立地

不安になりつつも、地図の指し示す場所に向かうと、そこはビル影に隠れた路地だった。目的地は、その中ほどにある開店してるかどうかわからないような店。これ知らなきゃ絶対入らないヤツだ
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おそるおそる入ってみると、店員さんが明るく迎えてくれた。思ったより奥行のある店内は、外観からの想像よりずいぶん広いように感じる。メニューを見て「春菊天そば(420円)」の濃い色に惹かれたので注文。
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・食べてみる

出てきたそばに一瞬目を奪われた。きらめく麺の上に添えられた春菊天は、夏の木々のような緑色。一緒に揚げられた人参のオレンジが挿し色のように美しい。食べてみたところ……
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コシがあり、なおかつスルッと喉を通る麺。コクのあるつゆの味とともに、豊かなそばの香りが口いっぱいに広がる。ふいに、戸隠の参道がまぶたに浮かぶ。整然と並ぶ杉の中を永遠に続いていくような真っすぐの砂利道。悠久の時を感じる静寂がここにある。
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春菊天をかじると、季節は夏。参道には濃い緑が生い茂り、コケむした倒木を渡れば、清流が涼しげな音を立てる。子供の頃に泊まっていた旅館は無くなってしまったが、あの日見た雪の白さや透き通るような清流、木々のざわめきを今も忘れることはない。そんな味がした。死にたい。
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なお、弁当屋として創業したこの店は、今も弁当が大好評。昼になると、この辺りのビジネスマンが弁当を買うために列を作っている。ビル影の路地裏にある名店『みのがさ本店』。決して立地が良いとは言えないが、潰れてほしくない店の1つである。

・今回紹介した店舗の情報

店名 みのがさ本店
住所 東京都千代田区岩本町3-10-5
営業時間 月~金11:30~14:00 / 17:30~23:30は立ち飲み屋として営業
定休日 土、日、祝

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼まぶたを閉じれば戸隠の参道が浮かぶ味
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日本, 〒101-0032 東京都千代田区岩本町3丁目10−5