
一般的にライブやコンサートといえば、アーティストのパフォーマンスをジッと鑑賞するものであり、その演出はあらかじめ用意されたもの。だが、今回はその概念を覆すライブ形態……インタラクティブ・ライブをご紹介したい。
このインタラクティブ・ライブは、ストーリー仕立てのライブであり、物語の進行の鍵を握るのはオーディエンス! オーディエンスのリアクションによって、物語も、演奏される楽曲も変わってしまうという……ロールプレイング・ゲームさながらの、観客参加型のライブなのだ。
・パフォーマーは平沢進さん
このインタラクティブ・ライブを発案し定期的に開催しているのが、先日当サイトでもご紹介した、先進的な音楽活動と独創性あふれる楽曲作りが魅力の平沢進さん。オリジナリティの塊とも言える平沢さんについては前回の記事をご参照いただきたいのだが、平沢さんに関しては、ライブもまた、他とは一味違った様相を呈している。
そんな、平沢さんのインタラクティブ・ライブショー『WORLD CELL 2015』が、先日3日間に渡り、東京ドームシティホールにて開催された。今回記者(DEBUNEKO)はインタラクティブ・ライブ初の参加。結論から言って……スゴかった。具体的に何がどうスゴかったのかは、以下でご説明したい。
・会場でも在宅でも参加可能
改めて説明すると、インタラクティブ・ライブとは、平沢さん特有のストーリー仕立てのライブ。物語には いくつかの分岐点(ホット・ポイント)に加え、「グッドエンド」や「バッドエンド」等、数種類の結末が用意されている。そして、物語は会場のオーディエンスと在宅オーディエンスのリアクションによって進行。それに伴い、演奏される楽曲も変わってくるというのだ!
そう、「在宅」と述べたが、なんとライブはネットで生配信されるので、自宅にいながらにしてライブに参加することも可能。それどころか、公式サイトで参加登録をすれば、ストーリー進行の重要な鍵を握ることにもなる。オーディエンスは、結末はもちろんの事、可能な限り色んなパターンを導き出したいので、進路に関してはTwitter上で作戦会議が展開されたりもするようだ。
・会場と在宅それぞれに課題
会場のオーディエンスに求められるのは、進む “道” を選択すること。今回は、赤か青の進路ごとに指定された信号音を聴いて、希望する方と同じ音で「アー」と発声することが課せられた。より大きい声で発声された方に進むのだが、双方同じくらいの音量だと、『衝突コード』というものが発生し、進路が途絶えてしまう場合も。ちなみに、進路を決める際に観客に求められるアクションは、ショーごとに異なる。
一方、在宅オーディエンスに課せられた課題は、オーディエンスが進む “道” を作ること。その作業はゲームのようなものであり、ライブ前になると公式ホームページに手順の詳細が記載され、あらかじめ練習できるよう動画も用意されている。
ゲームなので、在宅オーディエンスたちが失敗してしまうことも当然あり、結果、進行が変わってしまう可能性も。また、せっかく “道づくり” が成功したとしても、会場で衝突コードが発生し、進路が破壊されてしまった場合も、同じく進行は変わってしまう。どちらに進むのか、もしくは進めないのか、それとも……?
ちなみに、 “道づくり” に失敗しても、その “道” を通らない可能性もある。そして、通ることになった際は、なんらかの救済措置がとられることもある。今回は平沢さんが、ある “曲” を演奏することによって救済されたケースもあったぞ!
このように、平沢さん自身、並びに会場、在宅の観客、それぞれが物語の進行や結末、そして演奏される楽曲に大きく関わることとなる。まさにロールプレイング・ゲームのようなライブだ。これはおもしろい!! 観客がライブを構成する。ゆえに参加者らは会場・在宅問わず一生懸命! 望んだ結果にならないと地味に悔しいという、まさにエンターテイメント!
・ストーリー自体が一つの作品レベルの作り込み
また、ストーリー仕立てと簡単に述べてしまったが、実はそのストーリー自体がとても奥深く、SF小説として成り立ってしまうほどに作り込まれた世界観が展開している。よって、ライブDVDは単なるライブDVDではなく映画のようでもあり、劇のようでもある。
今回で12回目を迎えた平沢さんのインタラクティブ・ライブは、1994年から始められ、2002年には「インタラクティブ・ライブ・ショウ2000 〜賢者のプロペラ」が “ デジタルコンテンツグランプリ・経済産業大臣賞(大賞)” を受賞しているなど、すでにその斬新さは評価されている。
平沢さんの独創性は楽曲に限らず、音楽活動そのものにも如実に表れているというのは、こういった点からも伺い知ることができる。なお、平沢さんのライブはインタラクティブ・ライブのみにあらず、一般的な形式のライブも行っていて、そちらが素晴らしいことも付記しておきたい。
そんな平沢さんは、今回のライブをどのように構成されたのか、また、どのようなスタンスで活動されているのかなどを、メールインタビューにてご本人にお答えいただくことができたので、次回は平沢さんのインタビューを掲載したい。
参照元:平沢進公式サイト『NO ROOM』
Report:DEBUNEKO
Photo:RocketNews24.
▼会場となった東京ドームシティーは音がクリアで快適だった!
▼満を持しての平沢さんの登場。
▼今回の在宅オーディエンスは「コード・シューター」という名で、谷間に橋を架ける役割を担った。
▼こちらは会場のオーディエンスの発声練習
▼赤はマイナーコード、青はメジャーコードの信号音。
▼赤・青の両方が発声し、ボリューム対決! より大きい方に進む。
▼ナビゲーターは『過去向く士(さむらい)』である平沢さん。
▼新作アルバムの人気曲『火事場のサリー』を演奏する平沢さんと助手のPEVO1号さん(宇宙人)。
▼電子ギターEVOの音色が繊細で心地よい……。
▼観客が魅せられた瞬間。
▼平沢さんといえばこの角度とレーザーハープというくらい、ファンにはお馴染みのショット。
▼『MURAMASA』という曲では、なんとレーザーハープを手ではなく刀で遮るという、タイトルにぴったりな演出! 粋だ。
▼光の演出が楽曲の壮大さを可視化! 美しい……!
▼平沢さんといえばギター!
▼平沢さんの演奏は講義のようでもある。
▼余韻を残して終了……!
DEBUNEKO


























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