最近アメリカの文化人類学者が制作した、台湾に関してのドキュメンタリー映画が話題を呼んでいる。その作品のタイトルは『ダンシング・フォー・ザ・デッド:台湾の葬式ストリッパー』。まるでB級ホラー映画のようなのだが、実はこれは真面目なドキュメンタリーである。

台湾では、都市部では廃れたものの、田舎では葬式にストリッパーを呼び、弔問客と祭壇を前にしてダンスを踊るという習わしがある。しかもただ踊るだけではなく、全裸になるそうだ。他の宗教国家であれば、不謹慎であるように思われるのだが、これにはいくつかの理由があった。

文化人類学者マーク L. モスコウィッツ氏によると、この風習は1980年代中頃に、マフィアのボスが葬社を買収したのを機に、一般化に拍車がかかった。どうやらそれ以前から、この一部の地域では行われていたものと思われるが、マフィアが風俗と葬儀事業を結びつけたことにより、台湾全土の浸透したようだ。

しかしながら、都市部では、葬儀でのストリップすることを法律で禁じた。これにより、都会では廃れていくことになる。とはいえ、男性にとっては、葬儀で女性の裸を拝めることは大変有難いことだ。地方では、この風習がそのまま残り、現在に至っているという。

マーク氏の考察では、葬式ストリップが果たしている要素は2つある。まずひとつが死者の魂への弔いだ。死後の魂を慰める意味において、派手な余興を催すようだ。そしてもうひとつは、弔問客を集めるため。前述の通り、故人を偲ぶための弔問であると同時に、女性の裸を見るために、葬儀に足を運ぶ人も少なくない。

女性が裸でポールダンスしていたのでは、故人も安らかに眠っていられない気もするのだが……。弔問客が多く集まってくれるようなので、結果的には良いことなのかもしれない。

参照元:ODDITY SENTRAL Youtube