先日、タクシーに乗っていた時のこと。


運転手さんと何気なく話をしていたら、最近のタクシー業界についての話になった。


そういえば最近、ニュースなどでも「タクシー業界の景気がいい」「若い運転手が増えている」みたいな話を耳にする。


実際のところ、どうなのだろう? 運転手さんと仲良くなったので、チャンスとばかりに聞いてみた!


・20代、30代の若いタクシー運転手が増えている

話をしてくれたのは、タクシー運転手歴25年の女性ドライバー。運転手さんによると、最近は20代、30代の若いタクシー運転手が増えているという。


その理由のひとつとして挙げていたのが、ズバリ収入。


若い人が普通に仕事を探した場合、最初から月20万円以上を稼ぐのは簡単ではない。ところがタクシーなら、


運転手さん「30万くらい稼げちゃうわけよ」


と! だから若い子が増えてるのかしら?


運転手さん「うん、増えてる」


へえええええ。


私の中では、タクシー運転手というと比較的年齢層の高い職業というイメージがあったので、これは意外だった。


・配車アプリの存在も大きい

さらに話を聞いていて「なるほど」と思ったのが、配車アプリの存在。昔と違い、今はスマホから簡単にタクシーを呼べる。


運転手さん「便利だから乗っちゃうのよ」


たしかにそうだ。


どこにいるのか分かるし、ある程度の料金も把握できる。道端で手を挙げて、いつ来るか分からないタクシーを待つ必要もない。


タクシーを利用する側からすると、「乗る」という行為そのもののハードルが昔より下がっている。


こうした環境の変化も、最近のタクシー業界にとって追い風になっているようだ。



・稼げる人と稼げない人の差は?

ただし、運転手さんいわく、「稼げる子と稼げない子がいる」という。


では、その差は何なのか?


運転手さんの話で印象的だったのが、「運転に慣れているか」、そして「そもそも車の運転が好きか」という点。


たとえば以前、配達などの仕事をしていた人。そういう人は日頃からハンドルを握っているので、タクシーの仕事にも馴染みやすいらしい。


一方、いきなりタクシー運転手になった人は、やはり大変そうなのだという。


そして何より、


運転手さん「車の運転が好きか嫌いかで違ってくる」


とのこと。


そうだよなぁ。仕事中の大部分を運転して過ごすのだから、そもそも車の運転が嫌いだったらキツいに決まっている。


逆に運転が好きな人なら、「多少つらいけど頑張ろうかな」となるらしい。どんな仕事でも、「好き」かどうかは重要だ。


・職業としてのタクシー運転手は?

ちなみに、この運転手さん自身も、もともと別の仕事で車を運転していたという。話の中では「メール便」「2トン車」などの言葉も出てきた。


そこからタクシー運転手になり、気がつけば25年。


そこで聞いてみた。


私「タクシー運転手って、職業としてどうですか?」


すると、返ってきた答えが意外だった。


運転手さん「こんな便利なものはないね」


便利!?


どういうことか聞いてみると、体調が悪いときには休めるなど、比較的自分のペースで働きやすいところが気に入っているとのこと。


なんか、いいな。25年続けている人が言うと、妙な説得力がある。


・25年もやっていれば、変な客にも遭遇する

一方、タクシー運転手を25年もやっているなら、当然いろんな客を乗せてきたはず。「変なお客さんとかいる?」と聞いてみると、


運転手さん「いたね」


やっぱり!


そこで教えてくれたのが、とんでもない客の話。


なんでも昔、五反田あたりで乗せた男性客が、車内で下半身を露出したらしい。


私「出しちゃってんの!?」


運転手さん「そうよ。ポロンと」


マジかよ!!


当然、運転手さんは、


「お客さん、そういうのしまってください」


と注意。


しかし相手はなかなか言うことを聞かず、降ろすのにも苦労したという。


ちなみにこれは車内カメラが一般的になる前の昔の話。今なら車内カメラもあるので、こんなことをする人も昔より減っているのかもしれない。



・外国人のお客さんも

最近では、外国人のお客さんを乗せることもあるという。


困るのは、日本語も英語も通じない時。


そういう場合はスマホなどを使いながら目的地を確認するらしいのだが、ホテル名などが日本語ではなくローマ字などで表示されていると、


「日本語にしてもらいたい」


と思うこともあるそうな。


考えてみれば、外国人観光客が増えれば増えるほど、タクシー運転手さんにも今までとは違った対応力が必要になってくる。


ただ車を運転すればいい仕事ではないのだなぁ。


・タクシーは「水商売」

そんな話をしているうちに、運転手さんがタクシーという仕事について、


「水商売」


という言葉を使ったのが印象に残った。


結局、お客さんが来るかどうかで売上は変わる。


「景気がいい」と言われていても、誰もが同じように稼げるわけではない。


若い運転手が増えている一方で、「稼げる子と稼げない子がいる」。


運転が好きな人もいれば、向いていない人もいる。


そして時には、とんでもない客を乗せることもある。


それでもこの運転手さんは、マイペースにハンドルを握り続けて25年。


ニュースで「タクシー業界が好調」と聞くだけでは分からない、現場の話がいろいろ聞けて面白かった。


タクシーに乗った時、運転手さんと話してみると面白い。


目的地に着くまでのほんの短い時間でも、その人が何十年も見てきた景色を、少しだけ見せてもらえることがあるのだから。


執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24