つい先日、知り合いから「老若男女を問わず、誰でも “超本格的” な野球トレーニングができる施設を体験してみませんか?」とお誘いを受けた。

たとえば、打った瞬間に「打球速度」「角度」「ヒット性」などが数値化される最新バッティングマシン & 弾道測定器などを完備。ブルペンも打撃レーンも一般的な施設とは次元が違う “プロ仕様” らしい。しかも……

メジャーリーガーやオリンピック選手など、トップアスリートを支えてきたレジェンドトレーナーが直々に私のポテンシャルを限界突破してくれるそうだ。って、それはヤバい! というわけで、45歳のオッサンが覚醒しまくってきたでござる。

・SPONOBA(スポノバ)

今回訪れたのは、野球特化型スポーツ施設「SPONOBA(スポノバ)」。2025年12月にオープンしたばかりの施設で、錦糸町駅・押上駅から徒歩12分ほどの場所にある。

一見すると落ち着いた外観だが、中に入った瞬間に空気が変わる。入口にはプロ野球選手やトップアスリートたちのサインがズラリ……マジかよ、完全にプロ施設である

想像以上に広い施設内には、メジャー球団も採用する最新設備が揃っている。その一角で海外の有望選手がトレーニングを行い、隣のレーンでは小学生くらいの子供がバットを振っていた。ガチ勢とキッズが自然に共存している……!

正直、入った瞬間は「中年バリバリのオッサンは場違いかも……」と思ったが、意外と大丈夫かも。本気のプロ仕様なのに誰でも受け入れてくれる空気がある。


・木村メソッドとは

さて、スポノバ代表の木村匡宏さんは、メジャーリーガーやWBC日本代表選手などを含む、延べ3300名のアスリートを支えてきたレジェンドトレーナーだ。

そんな木村さんが開発したのが「パワーポジション」。要するに「人それぞれ、最も力が出る体の使い方は違う」という考え方である。

スポノバなら、そのポジションをデータと動作チェックで可視化し、本人が理解できる形に落とし込んでくれる。レジェンドから直接指導してもらうことも可能だ。


・ポテンシャルの限界突破へ

……そして始まったセッションは、想像していた鬼コーチによる熱血指導とは真逆だった。木村さんは仏の生まれ変わり、というか完全に仏。まるで病院の診察のように、重心・関節・力の入り方などを細かく丁寧にチェックしていく。


その結果、私が「Cタイプ」のバッターだということが判明した。

教わったことを1つだけ言うと、フォロースルー時に左手で「C」を描くスタイルが合っているらしい。ソフトバンクの近藤健介選手も同じタイプなのだとか。ちなみに “世界の王” こと王貞治さんは「Sタイプ」だそうだ。


その後、スポンジボールを使ってフォロースルーを体に馴染ませてから……


力を入れるタイミングを体で覚えるためにマシンを使って軽いトレーニングを行う。激しい筋トレではなく、コツをつかむための練習のようなもの。


さらに「バットのここではなく、このあたりで打つ方が力が伝わるタイプ」というアドバイスまでいただいた。新しい発見ばかりで勉強になる。


たった数十分のトレーニングをしただけだが、実際にボールを打ってみると……

なるほど〜〜〜!


打っていて気持ちいいしパワーの伝わり方が全然違う。体感がまるで違うのだ。自分に合った力の使い方を知るだけでここまでは……てか、30年前に知りたかった。いや45歳で覚醒するのも悪くはない。

おそらく野球をしている学生がみんな大谷選手や柳田選手のような打ち方をしても上手くいくわけはなく「それぞれ自分に合った出力のポジションを知ること」が成長への一歩なのではないか、と感じた。


・オッサン覚醒

同じような奇跡がピッチングでも起きた。

早稲田実業などで活躍した中川コーチに最もパワーを発揮できるポイントを確認してもらうと、私の場合は「ヒザ下への意識」「投げ終わりの右足の位置」などが大事らしい。


大袈裟なくらい意識して投げて、ビフォー(左)・アフター(右)を比べてみると……



見た目的にも違うし、指にボールがかかる感覚がハッキリ分かった。



体感で分かるレベルで球速がアップ。こうなると45歳でピッチャーデビューも夢じゃないかも……! 年齢に関係なくスポーツが上達するのが最高に楽しい


・ガチガチに力を入れた方が良いタイプ

続いて案内してもらったのはトレーニングフィールドだ。

甲子園で活躍した万城目コーチとのセッションでは、私の身体特性を数値でチェックし、強みを伸ばすトレーニングを行った。

1つだけ紹介すると、私の場合は「リラックス型」ではなく「ガチガチ型」だということ。力を抜いた状態より、あえて全身をガチガチに固めたほうが出力が上がるタイプらしい。力んでいるとそれ以上パワーが出ないと思いきや、実際に力が入るから不思議だ。

事実、万城目コーチ自身も同タイプで、学生時代に合わないトレーニングを続けて成績を落とした経験があったという。努力の方向性を間違える怖さと、知ることの大切さを痛感した。逆にいえば、自分の特性を知るだけで一気に伸びる可能性もあるだろう。


・畳の間

そして、スポノバには珍しい「畳の間」もある。王貞治さんが荒川博コーチと畳の上で血がにじむ特訓を重ね「一本足打法」を完成させた逸話に由来している部屋だ。

足の裏から入る情報を大切にし、身体の使い方を根本から見直すための空間である。そして壁に掲げられた「氣」の文字。ここではデータ解析と日本の精神性が共存している。


・誰でも限界突破できる

今回の体験で学んだのは、自分に合ったパワーポジションを知ることの重要性。年齢は上達しない理由にはならない。くり返しになるが、スポーツが上達するのは楽しい。まだまだ野球を楽しめると思うとワクワクした

スポノバは「本気のプロ仕様」と「誰でも受け入れる懐の広さ」が同居している施設だった。限界は、思っているよりずっと先にある。野球好きなら1度は体験してみてくれよな!


・今回ご紹介した施設の詳細データ

名称SPONOBA(スポノバ)
住所:東京都墨田区横川1丁目1-10

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

▼最新バッティングマシン & 弾道測定器を完備

▼本格的なセッションは楽しいし勉強になる