
ここのところニュースで見ない日はない、日中関係の悪化。普段はあまり国際情勢や政治に言及することのない筆者ですら「大丈夫なのか?」と聞きたくなる状況だ。
そんな中、2025年11月22~23日に開催されたガチ中華の祭典『四川フェス大阪』へ行くこととなった。
多少の不安は感じるが、キャンセルするほどでもない気がするし、でもやっぱりちょっと怖いし……そんなことを思いつつ参加してきた現地の様子をレポートしよう。記事の最後では、筆者的ベストメニューもご紹介するぞ!
・待望の四川フェス大阪だったが…
ご存じない方のために説明をすると、『四川フェス』は2017年に東京・中野にて初開催されて以降、年々盛り上がりを見せるイベント。麻婆豆腐や麻辣湯といった本格旨辛中華料理の祭典だ。
これまでは関東での開催だったのだが、2025年、ついに初めて大阪での開催が決まった時はスマホを片手にガッツポーズ。
速攻で500円の前売りチケットを購入したよね。(これまでは入場無料だったが、今回の大阪は会場の構造により4000人限定の有料開催)
……ところが、開催を1週間ほど前にした2025年11月14日。雲行きの怪しかった日中関係は、中国外務省が「渡航自粛」を呼びかけるという事態に発展した。
はじめは「関係ないでしょ」と思っていた筆者だったが、加熱する報道やSNS上のヘイトに触れる日々。そして前日になり、四川フェスでの歌唱を予定していた中国のボーイズグループ『熊猫堂ProducePandas』の出演中止というお知らせメールが届いたところで、ついに不安な気持ちが押し寄せてきた。
大丈夫だよね? ただみんなで美味しいご飯を食べるだけのイベントだし、気にする必要はないんだよね??
もともと、熊猫堂ProducePandasのステージは時間的に観られない予定だった。だが、来日予定のアーティストがキャンセルしたという事実そのものが不安の種となり、徐々に心のなかで大きく成長していったのだ。
・四川フェス会場の様子と関係者の声
さて、そんなこんなで当日を迎えた四川フェス大阪。会場は、梅田駅から徒歩10分ほどの場所にある『OSAKA FOOD LAB』。
阪急電鉄の高架下に作られた半屋内のイベントスペースで、雨風を気にせず過ごせるうえ、スロープ完備でバリアフリー。剥き出しの高架コンクリートが、都会的な雰囲気を漂わせるオシャレな場所だった。
筆者が購入したチケットは、11月22日15~18時の枠。道に迷う不安から余裕を持って行動した結果、30分前に到着し、待機列の先頭に並ぶことになった。
会場に到着した時点では、心の奥に小さなトゲのような不安がまだ刺さっていた。だが、結論から言ってしまうと……驚くほどに何も心配する必要がなかった!
というのも、入場までの間に会場を観察していて、あることに気が付いたから。それは……
「めちゃくちゃ楽しそうだな!?」
視界に入る限り人々はみんな笑顔で、真っ赤な辛そうな料理を頬張っている。中にはビールやサワーを飲んでいる人もいて、その表情は幸せそのもの。筆者のお腹はグゥと鳴り、気持ちは一気に不安から期待へと切り替わった。
その予感は正しく、会場に入った後もヘイトを感じるようなシーンは一切なかった。念のため所属は伏せるが、出展していた中国人スタッフの方にお話をうかがったところ、こんな答えが返ってきた。
「ニュースは知っていますが、影響はありません。同じ中国人の中でも気にする人はいるかもしれないけど、うちのスタッフはまったく気にしていないです。心配してくれていたんですね、ありがとうございます」
また、四川フェス実行委員長の中川正道さんからお話をうかがってみても、
「気にしている人は誰もいないと思います。四川フェスは『みんなで美味しい麻婆豆腐を食べよう!』というコンセプトのイベントですから。この会場にいるスタッフは全員、心から今日を楽しみにしていましたよ」
とのこと。どちらとも、むしろ「そんなこと聞くんだ」と驚き困惑しているぐらいの温度感だった。デリケートな話題を持ち出してしまい、すみませんでした……!
・美味しかった料理3選
そんなワケで、なんのトラブルもなく100%エンジョイできた四川フェス大阪。
個人的にはどの店も「旨さ」と「辛さ」を両立していること自体が特別な体験であり、何より嬉しかった。
普段は近所に旨辛の店が少なくて、「どこに辛いメニューがある?」「辛そうではあるけど、そもそも美味しい店なの?」なんてスマホ片手に探し回る生活をしているからね。
──さて。ここから先は、会場でお腹いっぱいになるまで食べた10品の料理の中から特に刺激を受けた3品をご紹介しよう。(価格はすべて税込みです)
・蜀漢(しょくかん)の四川麻辣燙
程よい辛さにたっぷりの具材。野菜も肉も惜しみなく入っていて、お値段1200円とは信じられないほどの満足感だった。
「ガチ中華=コッテリ」という先入観を持っていた筆者だが、蜀漢の四川麻辣燙は油控えめでスープが透き通り、味わいは比較的アッサリ。
そこに湯葉や鴨血(アヒルの血を固めた伝統食材)、ホルモンなど、本格&伝統的な具材が加わり、唯一無二の旨さを生み出していた。
今こうして写真を見返すだけでもヨダレが出るほどに絶品だったなぁ。
心斎橋や名古屋、池袋に店舗があるそうなので、今度は店舗へ行ってもっといろんなメニューを食べてみたい。完全に惚れ込んでしまった!
・ラムのラブソングの麻辣羊肉串
会場内で一番長い行列ができていたのは、『ラムのラブソング』というユニークな名前のお店が提供する麻辣羊肉串。
網で羊串を焼く様子はまるでライブキッチンのようで、立ちのぼる煙と美味しそうな香りに惹かれて次々と人が列に加わっていく。
筆者が並んだ時間はおよそ20分。途中、この時間枠分の在庫が完売して列が締め切られるほどの人気ぶりだった。
3本で1000円という良心的な価格にもかかわらず、臭みの少ない羊肉は絶品。
香ばしく焼かれた肉は余分な脂身や筋が丁寧に取り除かれていて、見た目以上にやわらかくヘルシー。さらにクミンの香りが効いていて、異国情緒あふれる食べ応えが抜群だった。
・Cook Do(クックドゥ)の極 麻辣麻婆豆腐
会場内で食べた料理はどれも美味しく、幸せな時間だった。だが驚きという意味では、味の素が試食で提供していた『Cook Do(クックドゥ)極 麻辣麻婆豆腐』に勝るものはなかったと言えよう。
筆者自身は今回が初体験だったが、試食をもらって口に入れた瞬間に「これがパウチひとつで簡単に作れるの?」「一般的なスーパーで売ってる商品なの??」と驚愕。家庭料理っていうよりも、完全にレストランレベルの完成度だ。
この日は数々の旨辛料理を食べたけれど、家で簡単に再現可能という点においては極 麻辣麻婆豆腐が大優勝だった。
お土産に『極 麻辣回鍋肉』をもらったので、この興奮が冷めないうちに作ってみようと思う。
・来年も楽しみにしています!
──以上、関西初開催となった『四川フェス大阪』のレポートでした。
事前の不安はフタを開けてみればすべて杞憂に終わり、ただただ楽しく幸せで美味しい時間を過ごすことができた。
政治的な意味での日中関係は依然として不安定。しかし、それと料理はまったくの別問題。今となってはむしろ「四川フェスの何に心配していたんだろう?」と思っている次第だ。
今回の料理の感動を四川フェス公式Xにリプライしたところ、いただいた返信によれば、四川フェス大阪は来年も盛大に開催する予定だという。
クゥ~ッ、来年が待ち遠しい! 今から楽しみにしていますね!!
参考リンク:四川フェス大阪 公式
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
▼ここからは会場の様子をご紹介。会場となったOSAKA FOOD LABでは、剥き出しのコンクリート空間の中で立食形式(一部椅子あり)でのフェスとなった。アングラっぽい雰囲気に気分が盛り上がる!
▼会場全体を包み込むビート! つい身体がリズムを刻んじゃうような音楽は、DJによるパフォーマンス
▼真っ赤なグラフィックや旗による装飾が施され、会場に入った瞬間から一気に四川な気分にスイッチした
▼今回出展したお店や企業の一覧。どのお店も最高でした!
高木はるか


















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