ミートボールでおなじみの石井食品。

実は、栗ごはんの素やおせちなど、季節商品の製造にも力を入れているらしい。

今回はご縁があり、普段は一般の人が入ることができない八千代工場の栗剥きエリアに、特別に潜入させてもらった。

ミートボールの工場見学(こちらは一般の人も参加OK)もかなりユニークなのだけど……その話はまた今度。

今日は、秋の味覚・栗の舞台裏をお届けしよう!

・記念ポーズはもちろん栗

石井食品八千代工場があるのは、東葉高速鉄道の八千代緑が丘駅から徒歩10分ほどの場所。

「イシイの」と書かれた赤い吹き出しが見えてきた。


今回は、ガラス越しの見学ではなく、実際に製造現場へ入らせていただくため、白衣・ヘアキャップ・マスクなどを着用していく。

せっかくなので記念に栗ポーズ。

こちらの地図で示された黄緑色の部分が、今回見学する惣菜サラダ工場。

入念にローラーがけをしたのち、やや迷路のような工場内へと進んでいく。


最初に案内されたのは冷蔵保管庫。

当たり前だが、この部屋、とにかく寒い! 自慢じゃないが、私は異常に寒がりである。


栗は入荷後、0〜10度の水に漬けて保存されており、腐敗や実の収縮を防いでいるという。

石井食品で使う栗はすべて国産。2000年からは素材情報を2次元コードで管理しており、産地から最終製品までトレースできる仕組みを導入している。

熱い企業姿勢を説明してくれているが、とにかくここは寒い!



・機械と人の二刀流で剥かれる栗たち

保管された栗は、まず機械で剥いていく。

この段階でも、かなりきれいになるんだなぁ。

そういえば先日、夫が「栗ごはん食べたい」と言い、栗を買ってきた。「私は剥かないからね」と宣言したのに、結局は家族総出で栗剥きすることに。この機械の家庭版とかあればいいのに……と、思わず考えてしまう。


機械で粗く剥いた後は、手作業で仕上げ剥きを行う。

国産栗って高いから、目の前にあるだけでも結構な金額だよなぁ……そう思うと、なんだか宝石にも見えてくる。

この栗の皮剥きだが、1時間で約100kg、1日あたり700〜800kgを処理しているというから驚きだ。

そしてこの部屋では、さっきからそれなりの音量で音楽が流れている。

どうやら、生産性を上げるために始めた取り組みとのことで、導入後は1人あたり1kgほど多く剥けるようになったらしい。

曲はリクエスト制でジブリやバックナンバーなどが人気らしい。もし私だったら、阿部真央さんをリクエストしたい。


ちなみに剥いたあとの皮は、肥料として再利用されている。無駄がないって素敵。


・石井食品の栗へのこだわり

その後、栗は大きな鍋でボイルされる。残念ながら、この工程はすでに終了していたが、ここ見たかったな~。

さらに計量、充填、包装、レトルト殺菌と進んでいく。

この工程を見ていると、食品メーカーにいた頃の製造立ち会いを思い出してなんだか胸が熱くなる。


・産地に合わせた栗との組み合わせ

昔から栗に携わっている担当者によると、石井食品が栗を扱い始めたのは1951年。

当初は韓国産が主流だったが、東日本大震災をきっかけに国産化を進め、2016年からは完全に自社加工へと切り替えた。現在では茨城・熊本・京都などの栗を扱い、それぞれに合わせて出汁や味付けを変えている。

たとえば笠間栗はマグロ節、京都の栗は地酒を使うなど、地域の味と組み合わせる工夫もしているらしい。



・これからに思いを馳せた試食

最後に、3つの産地の栗を使った栗ごはんを試食させていただいた。

同じ栗ごはんでも、産地や熟成度によって甘みやほくほく感がまったく違う。そして、さきほど栗加工の様子を見た後だから、ありがたみがすごい。


季節の移り変わりとともに、工場もまもなく栗ごはん用の加工を終え、次はおせち用の栗へと切り替わっていくらしい。それも気になるなぁ……。

今度夫がまた栗を買ってきたら、音楽をかけながら家族で栗をむいてみるのもいいかもしれない。……けどそれでも、やっぱり大変。

石井食品がここまで手間暇かけて栗剥きをしてくれているなら、「栗ごはんの素」を使うのがいちばん賢い気がしてきた。

栗剥きはプロに任せて、我が家は炊飯ボタンを押すだけで “秋の味” をいただくことにしよう。

参考リンク:石井食品
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.

▼栗のグラタンやパスタもおいしいと教えてくれた

▼吹き出し風にしようと思ったけど、ちょっと遠かった……