武士の情けで店名は書かないが、ほとんど詐欺みたいな出来事があった。また、この顛末は、相手方に記事化することの了承も得ている。


チャイナ服が欲しかった。


決して変な意味で使うわけではなく、あくまでも私の女装用(ポールダンスの衣装用)として、少し特殊なチャイナ服が欲しかったのだった。

具体的には上下セパレートのチャイナ服。ポールダンスをするにあたり、お腹部分が空いてる必要があるのだ。


しかし探せど「これだ!」というモノが見つからない。Amazon、楽天市場、シーイン……など、有名どころはすべて探すも、「まさに!」というモノが売ってない。


そんな時だった。なんと「チャイナ服を専門にあつかう通販サイト」を発見。無数にある商品を片っ端から調べてみると、2着ほど「これだ!」があったので即ポチ。


ちなみに代金はPayPayで支払った。サイトは日本語であるが、中国の香りがすさまじいページ(商品ふくめ)で、まさに中国から発送されるとのこと。到着が楽しみだ。


ところが。


待てど暮らせど私が購入したチャイナ服は届かない。発送しました的な連絡も無い。荷物を追跡する番号なども無い。NAI・NAI・NAI、待つしかない。


7日〜21日営業日で届くとの案内だったので期間内はおとなしく待機。そして22日目、私はお問い合わせをすることにした。問い合わせの方法はLINEだった。


21日以上届かない旨とメールアドレスを連絡すると、自動返信ぽい口調で3日以内に対応する──と言うが、3日経っても連絡は来ず。


あらためて21日以上届かない旨とメールアドレスを連絡すると、3日以内に対応する──と言うが、3日経っても連絡は来ず。


あらためて21日以上届かない旨とメールアドレスを連絡すると、3日以内に対応する──と言うが、3日経っても連絡は来ず……

──を何度も何度も繰り返したところで、私は初めてハッとした。


詐欺られたかもしれない。



あらためて確認したところ、お店から送られてきたメールは1通のみ。注文直後に届いた「注文確定メール」だけ。金額も書かれていない質素な内容で、連絡先すら書かれていない。そして問い合わせは、やはりLINEで、となっている。


そのメールからLINEに飛んで問い合わせてみるも、以前と同じ「完全なる自動返信 → 3日経っても連絡は来ず」の無限ループ。まさしく “とりつく島がない状態” なのだ。


──だいたい詐欺というものは、冷静ではないとき、被害に遭う。


むかし私がヤフオク詐欺に遭った時も冷静ではなかった。漫画の仕事で使うパソコンが壊れ、しかし締切はやってくるので「早く欲しい!」と焦りに焦り、まんまと詐欺に遭ってしまったのだ。


今回もまた、そうメジャーではない「セパレートのチャイナ服」の発見に興奮し、冷静ではいられなかった。以前と同じく「早く欲しい!」の気持ちが先行し、何の疑いもなく支払ってしまった。


なんとかならないものかと「PayPay 詐欺」などのワードで調べたが、こちらが払ってしまったものは返ってこないみたいなことが書いてあった。


もしもクレジットカード決済だったら、クレカ会社に相談し、引き落としを止めてもらうなどの対策ができたかも……とハンカチを噛み締め悔しく思った。


もうどうすることもできないのか。



──と、その時! 問い合わせページとは全く違うところに、日本の電話番号が書かれているのを発見。番号的に、場所は大阪。どんな人が出るのかわからないが、最後の手段として電話した。


すると、出たのは、わりとしっかりした男性だった。決してオラついているわけでもなく、冷静に話ができる丁寧な口調の男性。言葉のイントネーション的にも日本人、それも関西の人であろう。


かくかくしかじか、これまでの経緯を説明すると、大変申し訳ございませんと詫びてきた。状況を調べるので少し待って欲しいとも。


しかしここで「わかりました」としたら、今度はリアル版の「3日経っても連絡は来ず」になりそうなので、しっかり返事の〆 (シメ)を切らせてもらった。


また、「これは詐欺なのか」という問いに対しては「詐欺ではない」と断言。


しかし「購入したが商品届かず」「問い合わせるも無視のループ」の状況的にはほとんど詐欺ではないかと詰めてみると、「おっしゃる通りでございます」と素直に謝罪。


ともかく、一旦は、返事を待つことに。


締め切り5分前に連絡が来た。状況を調べたところ、なんとまだ現地(中国)での仕入れが行われていないことが判明したと。


つまり、商品ページに掲載されている商品の在庫が無いのに売っていた(金を取っていた)のである。


また、いったいなぜ「問い合わせるも無視のループ」になるのかについても質問していたのだが、それについては「うまくシステムが動いていなかった」と謎の説明。


変に自動化するのではなく、きちんと手動でお問い合わせに対応していれば、利用者の声に耳を傾けられたのでは? と思ったりもする。


ともあれ、あと3日だけ待って欲しい(←また3日かよ)とのことなので、こんどは急かすことなく、素直に3日待つことにした。


というのも、もう相手の住所(大阪)も把握できていたので、もしものことがあった場合、お店に突撃しようと思っていたのである。


ちなみに過去、こういったトラブルの際、実際に突撃したことが何度かある(例その1)(例その2)。今回のお店の場所と同じ、大阪にも行ったっけなぁ……。



かくして3日後、連絡が来た。


「結論から先に申し上げますと」から始まった説明は、「えっ?」という感情の連続だった。


まず、代金は返金したと。PayPayを確認すると、たしかに9301円がチャイナ服屋さんから返金されていた。なぜ返金したのかについては、


「お客様が注文した商品を現地の仕入れ担当が買いに行ったがどうしても見つからず、販売できないと判断したため」


とのことであった。いくら探せど、2着とも売っていなかったのだという。


さらに電話口の担当者は、申し訳ないと言う気持ちが伝わる低姿勢かつ丁重な口調ながら、恐るべきことを口にした。


ただいま、他のお客様たちに対しても返金処理を行なっているところです」──と。


つまり、私だけではなかったのだ。「購入したが商品届かず」「問い合わせるも無視のループ」の被害に遭っていた「お客様たち」がいたのである。


その人数がどのくらいなのかは不明だが、もしも私がLINEの問い合わせではなく、直接電話で問い合わせるという強行手段をとらなかったら、私を含め、他の「お客様たち」は、一体どうなっていたのだろうか。


おそらくきっと、泣き寝入り。


それこそ、事実上の詐欺ではないか──。



・反省点など

今回の件で私が学んだ反省点は、しっかりとした大手の通販サイトでないと、やはり不安ということ。


大手の通販サイトでも詐欺られる時は詐欺られるが、素性のよくわからないサイトで買い物してしまった私にも落ち度があるということ。


そして「すぐに!」「楽に!」という気持ちが先行し、振り込んだら後戻りができないPayPayで支払ってしまったこと


逆にファインプレーだったのは、あきらめなかったこと。泣き寝入りせず、なんとしてでも問題を解決しようとしたことである。


なお、「46歳のおじさんが、セパレートのチャイナ服を着る」ということに関しては、特に何の反省もない。


「これだ!」というチャイナ服を手に入れるまで、決してあきらめないつもりだ。


執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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