お盆に実家へ帰省した際、久しぶりに鳥取砂丘へ行った。実家から砂丘へは車で1時間くらい。「鳥取県民は砂丘なんて行かない」説は確かにその通りなのだが、しかし砂丘はタダだし空いているので、私はたまに行く。

砂丘は灼熱の地獄で、来たことを後悔した私は早々に土産屋へ避難した。砂丘周辺にいくつかある土産店はレトロな感じ(実際に私が生まれる前からある店多数)で楽しい。「とはいえ、いまさら買うモンもないけどね」そう思いながら見慣れた鳥取みやげを眺めていたところ……

「一度も見たことないのにメッチャ昔からあるヅラしてる土産」見つけた何コレェェェェェェエエエ!?!?!?

・漂う昭和感

果たしてどれくらい「昔からあるヅラ」をしているのか? 今回私が見つけた『砂たまご』(140円)をご覧のうえ、皆様にもジャッジをお願いしたい。こちらです…………ジャン!


……ね? いかにも「砂丘名物」って感じっしょ?


パッケージがまた、いかにも「50年前から同じデザインでやってます」って感じのフォントと色合い。しかしながら鳥取で生まれ、19歳まで鳥取で過ごした私をもってして「見たことも聞いたこともない」と言わしめていることは事実だ。私だけ? 私だけ知らないの??

なお私の両親をはじめとする鳥取県民11人に聞きとりを行った結果、全員が「砂たまごなんて知らん」と回答した。ただし、うちわけは全て鳥取県中・西部の民だ。もしかすると東部(砂丘があるところ)では有名なのだろうか……?


・驚愕の消費期限

とりあえず『砂たまご』の購入を即決した私であるが、気になるのは消費期限である。『砂たまご』の全貌は「鳥取砂丘の砂に埋めて加熱した卵」とのこと。ってことは温泉卵みたいなノリだよね? 卵は加熱すると痛みやすくなる印象があるが、コレ今すぐ食べる感じなのかな?


そう思ってパッケージを裏返すと…………何ィ!?



11日後だとォ!?!?


(※ 取材日は8月17日です)

おまけに保存方法は “常温” ときた。何かの間違いかと思いお店の方に尋ねたが、これは正真正銘マジなのだという。どういう仕組みなのかは置いといて、土産としてのポテンシャルが予想外に高い。一瞬ビックリしたけど……消費期限が長くて困ることは1つもないよな。


・『砂たまご』食べてみた!

せっかくなので「砂丘で『砂たまご』食べてみた!」の画を撮影したかったのだが……

殺人的な暑さから砂丘へ戻る気力がわかず、「砂丘の向かいの歩道で『砂たまご』持ってみた!」でご容赦いただけると幸いだ。このとき日光強すぎてスマホ画面一切見えてないからね!

こちらが実家に持ち帰った『砂たまご』(3個入り税込400円)。どの個体も袋の端っこが茶色くなっているが、砂丘の砂の熱でコゲたという認識でよろしいのかな?

『砂たまご』は砂丘からほど近い鳥取市福部(ふくべ)町というところで生産されていて、「鳥取砂丘の細かい砂に埋めて250度で加熱」したものらしい。250度……そんな地獄の温度で熱されたなら、賞味期限11日もうなずける気がしてくる。

味は「高級な平飼いの有精卵」が使用されているうえ、250度の高温で熱することにより「栗のようなホクホクとした食べ応え」に仕上がっているのだそうな。何を隠そう、私は結構な卵好き。いやがおうにも期待が高まる!

『砂たまご』の殻をむくとほんのり異臭(鮮度的な意味ではなく)がし、普通のゆで卵とは明らかに違う様子がみてとれた。栗のような卵……いただきます!


超ハード系固ゆで卵!!!!!!!


・固ゆで卵だった

私が人生で食べたゆで卵の中でMAXレベルに固ゆでだった鳥取砂丘名物『砂たまご』。砂で熱しているので正確には “ゆで” ではないが、「ごっつ固ゆでだなぁ」以外の感想が出ないのだから仕方ない。

感想が出ないので、鳥取県出身かつ毎日ゆで卵を3個食べていることで知られる友人のJ子にも食べてもらうことにした。ちなみに彼女も「『砂たまご』なんて聞いたことがない」と語る。

J子「ゆで卵だとすると、好みじゃない。固ゆでが好きな人は好きなのかもしれないけど。とにかく固さに気を取られすぎて、いい卵を使っているかどうかも全然分からん……ゴフッ! ちょっと、そこにあるお茶取ってもらえるかな?」


なお今回私は『砂たまご』を6個購入したのだが、その全てが “黄身が極端に端っこに寄った形状” をしていた。砂丘の砂で熱した卵はこうなるものなのだろうか。

ゆで卵に酷似した『砂たまご』であるが、コレはあくまでも砂丘の砂で熱したものであり、ゆで卵とは似て非なる。お買い求めの際は「貴重なものだ」ということをご理解のうえ、決してゆで卵と比較せずに食してみていただきたい。

ちなみに『砂たまご』について調べたところ、12年前に発売された商品であることが判明した。いかにも古参ヅラをしているが、鳥取みやげとしてはまだまだ新人だったようだ。果たして100年後も残る鳥取みやげに成長してくれるだろうか……あたたかく見守りたい所存だ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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▼夏の鳥取砂丘をなめてはいけない

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