今年の夏から、私の生活に新たな趣味が加わり、今、頭の中がそのことでいっぱいになっている。

それは園芸。花とか草とか野菜とか育てるアレである。

今まで花屋さんで切り花を買ったり、観葉植物をインテリアとして買ったことはあったけど、花を育てるのは初めて。

地味な趣味だとばかり思っていた園芸のヤバさについて語らせてほしい。

・ひょんなことから花を育て始めることに

これまで公園や道に咲いていたり、飾ってある花を綺麗だなと思うことはあったけど、花を育てることにはさほど興味がなかった。

ところが、7月にとある神社のお祭りにて、無料で花の苗を配っていたことで私の運命は変わる。

「神社でもらった花とかご利益ありそう」そんな邪な気持ちで、ひとつ花の苗を持ち帰った。

・花が咲いたときの喜びがヤバい

いくつか花の種類があった中で、私が持ち帰ったのは「ペンタス」。星形の小さな花が線香花火みたいに咲いているもの。

ところが、ズボラな私はもらったときのビニールポットのまま、適当に水やりをしたりしなかったり、灼熱のベランダに放置したりした結果、ペンタスはみるみるうちに萎れていく。

「神社でもらってきた花を枯らせたら縁起悪いな……」

邪な気持ちは罪悪感へと変わり、苗をポットから鉢に移すことにした。ちゃんと世話しはじめて、ようやくペンタスは復活。つぼみができて、花が咲くと想像の何倍も嬉しい。

その嬉しさは、心の内側からじんわりと広がっていくような温かい嬉しさであった。


・町が園芸にあふれすぎててヤバい

で、ちゃんと花を育て始めてから、改めていつも歩いている道を見ると、実にいろんな場所で花が育てられていることに気づいた。

ただの風景でしかなかったはずの町の緑が、急に解像度が上がったのである。町の風景が一変したと言っても過言ではない。


この家も、あの家も、ついでにあの店も、あの交差点にも……あらゆる場所に花がある!


これに気づいてからは散歩が楽しすぎてやばい。

自分で花を育てることの難しさに気がつくと、綺麗に花を咲かせている家に対して「お、やってんな〜」と思うようになった。鉢の種類なんかも見ちゃったりしてね。


・花の苗、安すぎてヤバい

そうやって、街に溢れる園芸を見るうちに家の花を増やしたくなってきた。

自分家のベランダを、小さなモネの庭みたいにできたらさぞいいだろうな……などと大層なことを考え始めた。

園芸のベストシーズンは春と秋らしく、ちょうど園芸店には秋の花の苗が売られ始めている。

何種類かの花をひとつの鉢に植える「寄せ植え」がやりたくて、花の苗を買いに園芸店に行ったところ……。

まず驚いたのが花の苗の安さであった。

下手すると100円台から季節の花の苗が買える! 花の種類にもよるけど、高い店でも400円くらいである。

いまどき、切り花なんかは1本で400円〜500円がザラで、ブーケを作ると恐ろしく高いのに、花の鉢が安すぎて、本気で心配になった。


・花の種類多すぎてヤバい

さらに驚いたのが一口に「パンジー」とか「ペンタス」とかいっても種類が果てしなく多いこと……。

かわいらしい色や柄が大量にあって、たとえばパンジーならば「ラムレーズン」とか、「ラムネ」「レモネード」「スイートラブ」「ムーンライト」など、ロマンチックな名前がついている。

色も美しければ名前もかわいいなんて、最高じゃないか……。ちなみに私は暑さに強いというニチニチソウの「さくらもち」と「しらたま」を買った。美味しそうでかわいい!

ちなみにニチニチソウは花言葉は「生涯の友情」「楽しい思い出」なんだって。実際に育ててみると、毎日ポンポン花が咲く様子が、止まらない友達とのおしゃべりみたいな感じがある。


・タネから育てるの難しくてヤバい

出来上がった花の苗を植えるのも楽しいけど、どうせならタネから花を育ててみたい……などと思った私。

小学生時代、アサガオの栽培日記すらままならなかったのに、急転直下である。

8月〜9月は種まきのシーズン。花の種を植えるためのポットと、「パンジー」や「コスモス」などの花の種を買って、さっそく種を植えた。ちなみに、花の種が芽吹くのは20度くらいがベストらしいので、クーラーのきいた部屋で育てることに。

花の種をまいたのが8月24日なのだが、コスモス以外はビックリするほど芽が出ない。暑さのせいなのか? 水をやりすぎたのか? 種植えの場所が悪かったか?

モヤモヤしながら毎日、朝晩何もない土をジッッッと見つめる日々が続く……。こんなに見つめられたら、種だって芽を出しづらかろう。

もう芽は出ないのか……と思ったのだが、なんと9月1日になった途端、パンジーの芽が出始めたのである! 

たしかに夜になると外で鈴虫が鳴いていたけど、真昼は灼熱! なのに「秋」を感じて芽が出たのである。


自然、やべ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!


時間がかかった分、感動もひとしお。ちなみに、花が咲くのは冬になってから! 時間がかかる分、じっくり楽しめる。


・園芸人口が多すぎてやばい

ちなみに、ふと気になって園芸人口を調べてみたところ、内閣府の「社会生活基本調査」によると、園芸人口は約3000万人とのこと。


園芸人口多すぎだろ!!!!!!!!!!!!!


家庭菜園なども含めると、実に3人に1人がなんらかの形で植物を育てているらしい。しかもコロナ禍の巣ごもりで観葉植物とか、最近の物価高では家庭菜園が人気らしい

たしかに、花のタネを買いに行ったとき、凄まじい数の野菜の種が売ってたな……。

推し活とかよりよっぽど裾野が広い趣味であることに衝撃を受けてしまった。

そういえば、2025年のロケットニュースの記事の中で「カインズの雑草対策ができる人工砂」が年間PVで第3位になっていた(※2025年9月3日時点)。

単純に庭の雑草などに困ってる人も買ってるんだろうけど、園芸人口が3000万人と考えると、この記事が上位に来たのも納得かもしれない。


なお、園芸人口の半数以上が40代以上の女性らしい。私は42歳女性なので、モロに園芸コア層! 人はなぜアラフォーになると花を育てだすんでしょうね……?

あんまりお金がかからない、長期的にじっくり楽しめる、見ていて癒される、育ったときの感動が大きい……。園芸、あまりにも楽しすぎる。9月はまさに種まきシーズン、みんなも園芸やりませんか?

私は会社のベランダが広いことに気づいて、ここで花を育てたいな……と企んでいます。

執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.