グミが流行り始めて数年。日本国内だけでも「新食感」やら「新感覚」やら、他の商品にはない特徴を持つグミが星の数ほど開発・発売されてきた。
そんな星のひとつが、2024年9月に発売された『もちきゅあ』だ。
もち粉が使用された新食感のグミということなのだが、初めてコレを食べた時「いやいや既視感!」と言わずにはいられなかったのだ。なぜなら……
グミっていうより餅だから。
──オチだけ聞いても何のことだかわからないと思うので、もちきゅあの説明から始めよう。
こちらがもちきゅあ、グレープ味とミカン味だ。価格は近所のスーパーで税込192円と、一般的なグミと比較すると数十円ほど高価。
このグミ、製造しているメーカーに何よりの特徴があるのだ。
それが三幸製菓。おせんべい好きなら知らない人はいない、新潟市に本社を置く超有名米菓メーカーだ。
代表的な商品は『雪の宿』『チーズアーモンド』『ぱりんこ』など。子供から年配の方まで 絶対に一生に一回は食べる機会のあるラインナップである。
パリパリのせんべいとモチモチのグミ。両者には大きな違いがあるが、原材料に「米粉」が使われているという点において共通している。
実際にもちきゅあの原材料名を確認すると、ゲル化剤よりも先に「もち米粉」の文字が。なんならゼラチンすら使われていない不思議な食べ物なのであった。
・グミっていうか餅!
もちきゅあ一粒あたりのサイズは、1円玉よりもひと回り小さいぐらい。
指先でつまむとムチムチモチモチとやわらかな弾力があり、その様子は完全に求肥。
コレは果たしてグミなのか? と思いながら食べてみたところ……
うぅ~ん。グミっていうか、普通にグミ寄りの餅だ。
というのも、グレープ・ミカン両者ともに、噛んだ瞬間のジューシーさは強い。
特にミカンに関しては舌が痺れるほどにビタミン味。果物の果汁感や酸味で真向勝負しているのが伝わってきて、この辺はグミの土俵へ出てきたと言えよう。
……だが、食感は完全に求肥。おまけに後味で米粉の味や舌触りが感じられるため、脳内の認識としては「餅」なのだ。
正直に言うと、この時点で筆者の中での「もちきゅあ」は そこまでヒットしなかった。美味しいけどグミと餅の狭間でどっちつかずになってしまい、「新しいハズなのに既視感がありすぎる」とミーハー心がくすぐられなかったのが原因だ。
・革命の新商品「みたらし団子」
ところが「もちきゅあ」との対面から約1ヵ月後、新商品との出会いで革命が起きた。それがコチラ。
みたらし団子味。
11~12月末までの期間限定商品とのことで、価格はこれまでと同じ税込192円。一般ユーザーを含めた開発会議と試作を経て作られた味なんですって。
このみたらし団子味、ひとつ食べただけでビビビビッと琴線に触れまくった。
口に入れた瞬間の柔らかい醤油の風味、噛むうちにじわりと滲み出す甘じょっぱさ、後味に残る米粉の舌触りと香り。すべてがパズルのピースのように組み合わさった感覚があった。
素晴らしいのは味だけではない。
筆者自身みたらし団子が好きで時々購入しているのだが、タレがべたつくことや翌日以降に団子がふやけてマズくなることなど、抱えていた不満も多い。
その点もちきゅあは食感モチモチなのに、表面は手で持ってもベタつかないサラサラ質感。チャック付き袋に入れて常温で持ち歩き可能で、何日経っても劣化しない。完全にみたらし団子の上位互換である。
なんでこんなに素晴らしい商品が期間限定なのか? ……理解ができない。
1点不満を挙げるならば、もちきゅあ自体がそれほど話題になっていないのか 取扱い店が少ないこと。
もっといろんな店でみたらし団子味を売ってもらえれば、きっと流行るハズなのに!! と歯がゆい思いをしている。
新食感のハズが一周回って既視感だらけのグミ『もちきゅあ』。いつでもどこでも食べられる最強の餅としてバズってほしい次第だ。
そしてみたらし団子味は、期間限定と言わず通常商品へと格上げを……三幸製菓さん、ご検討よろしくお願いしますっ!!
参考リンク:三幸製菓『もちきゅあ』
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
▼おまけ:もちきゅあを電子レンジで温めてみた
▼10秒ほど加熱したところで膨らみ、フォークで触るとトローンと伸びた。コレは間違いなく餅だ~~っ!