
月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり──。そんな言葉が頭をよぎったのは、旭川の『らぅめん青葉本店』待合室でのことだった。2024年で創業77年となるこのラーメン屋。旭川ラーメンの老舗であり、私(中澤)が訪れた際もまずは待合室からスタートの盛況っぷり。
そこで本店の隣にある待合室に入ると、古ぼけたボロボロのノートが目に飛び込んできた。古文書くらい経年劣化したそのノートの表紙には「旅の想い出帳 1号」と書かれている。どうやら、訪れた人がメッセージを残すノートの第1号である様子。
・良い味出しまくり
そもそも、待合室自体がラーメン屋の隣にあるブティックの空きテナントをそのまま再利用したものなのも味がある。さらには、案内のおばあちゃんがいて、一歩踏み入れると「メニュー選んで待っててね」と茶飲み話でもするかのごとき穏やかな声でメニューを手渡された。すでに良い味出しすぎ。
おばあちゃんに旅の想い出帳について聞いてみたところ、「ぜひ書いて想い出に残してください。写真も撮っていいからね」と最新の旅の想い出帳を手渡された。最新は114号なようである。とりあえず、メッセージを残してみた。
・1号に書かれていた文字
さて置き、私の順番はまだ来そうにない。そこでおばあちゃんに初青葉だと何を注文したらいいか聞いてみたところ「やっぱり青葉は醤油ラーメン」とのこと。
日差しが射し込む待合室の中、おばあちゃんと2人、話すことも尽きた。そこで旅の想い出帳1号の中を見てみることにした。歴史的な人とか来てたりしないかなあ。と、それくらいの気持ちでノートを開いたところ、中に書かれていた文字にくぎ付けになった。ほお……
文字の質が全然違う。
みんな力強くて達筆。今の文字とはフォントが違う感じがする。一般大衆の手書きフォントってこんなに変わってるんだなあ。
・全体から感じられる時の積み重ね
第1号は1988年辺りのものっぽい。表紙の年代がかすれて細かく読めないのでざっくりその辺りという感じだけど、こういうのってゆっくり変わっていくものなのだろうか。書体の今との違いの大きさに時の流れを感じた。何か事件が起こっているわけではないのだが、名もなき歴史がここにある。
『らぅめん青葉本店』のラーメンもそんな歴史を感じる味だった。染み入るような魚介、鶏ガラを使った醤油スープ。さらに、豚骨の出汁が下地のように味を持ち上げていて、さっぱりしつつもコクのある味は飽きない。
固めの中太麺がそんなスープによく合っていて、このウマさが70年以上前からあったということに驚きだ。とは言え、77年続くのも納得の味と言えるだろう。みんな同じ味を味わってきたのかなあ。
初代から引き継がれているというその味にも連綿と積み重ねられてきた想いを感じることができる。ちなみに、私が注文したのは「正油チャーシューらぅめん(税込1050円)」。チャーシューも味が染みてて美味しい。
店構えや、そこにいる人、歴史も含めて良い味出まくりなこの店。なんなら旭川駅に広告も出てるレベルのベタベタ有名店なんだけど、来てみて良かった。行き交う年と袖擦り合わせて、私の人生の旅もまた続いて行く。さようなら、また会う日まで。
・今回紹介した店舗の情報
店名 旭川らぅめん青葉 本店
住所 北海道旭川市二条通8丁目左8
営業時間 9:30~14:00、15:00~17:30
定休日 水曜日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
中澤星児











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