Amazonで “宙に浮いているように見える” 小型のテーブルを2980円で購入した。説明によると「テンセグリティ」なる構造によって、まるでテーブルが無重力になったような不思議な視覚効果が生まれるらしい。SNSで話題だという。

テンセグリティとは、Tension(張力)とIntergrity(統合)を掛け合わせた造語のこと。もっと簡単に言うと「引く力」と「戻ろうとする力」のバランスによって成り立っているそうだ。

実物を見たほうがイメージしやすいので、さっそくご覧いただこう。

・反重力デバイス

長い商品名をコンパクトにすると「テンセグリティ 反重力デバイス バランス物理学 おもちゃ 置物」である。「反重力デバイス」という言葉でテンセグリティを説明していることが分かる。知的好奇心をくすぐる商品名だ。

SNSでバズっている理由も、見ているだけで脳が錯覚するからだと思われる。商品ページの説明によると「インテリアアイテムが好きな大人へのギフトにおすすめ。店舗、バー、カフェ、SNS、現代アートスペースによく合う」とのこと。

外箱には商品名も何も書いていなかった。シンプルなダンボール箱から出てきたのは、テーブル、ネジ、大量のゴム……んで、説明書はなし。いや説明書は絶対に必要だろ。

残念ながら、私はヒント無しで「反重力デバイス」を作成できるほどの頭脳の持ち主ではない。なんせ「テンセグリティ」という単語もついさっき知ったばかりなのだ。



・評価が非常に低い

ちなみにAmazonでの評価は1.3で、レビュー欄は「組み立て手順が分からない」「不良品」「欠陥品」「絶対に買わないで」「最悪の商品」といったように鮮やかに炎上していた。

説明書がないなら商品画像を見ながら組み立てるしかあるまい。ってことで、あらためて写真を確認すると、入っている部品がテキトーなことが判明。以下で組み立てながら説明する。


・組み立て

写真を見ながら、まずは丸板にパーツを取り付ける。付属のドライバーが役に立った。

六角レンチはいつ使うのだろうか。そしてリング付きネジ(ヒートン)は1本足りないようだ。ゴムは大量に余る……予備だとしてもこんなにいらない。予備を入れるくらいなら説明書をよこせ。

リング付きネジが足りないので、結局チェーンは3本しか付けられず(商品写真は4本使用している)。これで絶妙なバランスが取れるとは思えない


中心の上下にゴムをセットしたら一応完成のようだ。



ただ、これで立つわけが……



…………


え……


えええええええええええ!



・立った

完璧なバランスによって小型のテーブルは見事に立った。まるで宙に浮いているようだ。パーツは死ぬほど余ったが、とにかく完成した。


チェーンを3本しか使っていない」ということが、逆にミラクル感を生み出している。これがテンセグリティなのか。



パーツが足りないのは大問題だが、足りないことによって奇跡を目撃することに……! もしかすると「最後まで諦めなければ奇跡は起きる」という教訓を伝える教材でもあるのかもしれない。



ちなみに人形やマグカップを置くことも可能だ。



しかし慎重に置かないと激しく倒れるので要注意。そこまでして飾る必要はない気がするが。




・買わなくていい

まとめると、おすすめはできない。部品がテキトーで説明書がない時点で喝(かつ)。私の評価は1。なんとか完成したものの「面白いから買ってみて」とは絶対に言えない。まさにレビュー通りの商品だった。現場からは以上です!


参考リンク:Amazon「テンセグリティ 反重力デバイス バランス物理学 おもちゃ 置物」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.