それぞれの地域で長年親しまれている伝統料理や郷土料理のことを「ソウルフード」と呼ぶ。例えば埼玉県発祥の「餃子の満洲」や福岡県の「資さんうどん」は、その最たる例と言えるだろう。

つい先日のこと。神戸に出かけた私は神戸のソウルフードだという『もっこす』と巡り合った。神戸の人ならば知らない人はいないという『もっこす』のラーメンとは果たして?

・もうすぐで半世紀

公式サイトによると、2024年6月現在、兵庫県内に14店舗を展開している もっこす。お察しの通り店名は熊本の方言で頑固者を意味する「肥後もっこす」に由来しており、頑固に美味しいラーメンを提供している、ということらしい。

創業は1977年なので、誕生からそろそろ半世紀が経とうとしてるところ。正式な店名『神戸の中華そば もっこす』にある “神戸の中華そば” とはどんなラーメンなのか? 実に興味深い。

・知らない人はいない

さて、神戸に住む知人によれば『もっこす』は「有名。おそらく神戸に知らない人はいない」「昔は飲み終わった後によく行っていた」とのこと。一方で「歳を取るとなかなかヘビーなラーメン」とも言っていた。

関西圏の方ならばいざ知らず、東京都民の私は『もっこす』の存在すら知らなかった。神戸のソウルフード……これは食べてみたい! というわけで『神戸の中華そば もっこす』まで足を運んだ。



・もっこすへ

到着したのは日曜日のランチタイムで、店の外には数人の行列が出来ている。お世辞にも店内はラグジュアリーな雰囲気ではなく、昔ながらの「THE・ラーメン屋」といった印象だ。

注文したのは「チャーシューメン(1200円)」で、お客さんの多くが頼んでいた「ライス(100円)」も慌てて追加。また店内のポスターには「野菜と豚足を圧力鍋で仕上げた豚足しょうゆ味!! 自家製ストレート麺!!」と記されていた。

で、5分ほどでやってきたチャーシューメンはチャーシューの量がハンパない! チャーシューが何枚か追加されているだけではない、正真正銘の「チャーシューメン」である。


・食べてみた

さっそく食べてみると、ややトロみのあるスープは確かに豚足の気配を感じる濃厚系で、ガツンとインパクトが強い。重さまでは感じなかったものの、どっち寄りかと言われれば間違いなく「こってり寄り」のラーメンだ。

そのスープが絡みついたストレートタイプの細麺はシャキっと歯切れが良い。決して主張の強い麺ではないものの、しっかりスープをのせられる優秀な麵である。

さらにテーブル上の薬味も充実しており、特に「にんにく」と「にら唐辛子」はスープと相性抜群! 周りのお客さんは多様なオリジナルカスタマイズを決めていたので、これも『もっこす』の魅力の1つなのかもしれない。

気が付けばあっという間にラーメンを食べ終えていたが、私はラーメンの味そのものよりも『もっこす』に対して「マジでいいな」と感じていた。それは老若男女問わず、多くのお客さんが訪れていたからだ。



・さすがソウルフード

若い男性のグループはもちろん、お父さんと中学生くらいの息子さん。またママたちに連れられたちびっ子たちも来店していた。ラーメンの系統で考えれば若い男性が中心になるかと思いきや、実際はそうでないところが「ソウルフード」たる所以なのだろう。

それなりにヘビーなラーメンであるにもかかわらず、老若男女に愛されるもっこす。その情景にこそ私は「マジでいいな」と強く感動した。半世紀近くの歴史は、やはり伊達ではない。

というわけで、ラーメンもさることながら、地元民から愛されていることがよく伝わって来たもっこす。神戸にお出かけの際は、1度足を運んでみてはいかがだろうか?

参考リンク:神戸の中華そば もっこす
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.