『刃牙』……! それは日本を代表する格闘漫画……!! であると同時に、“食” 漫画の最高峰……!! 雨後のタケノコのように乱立する数多のグルメ漫画も、『刃牙』の前では児戯に等しい。

そこで今回はメインの格闘要素をフル放棄して、『刃牙』シリーズの中でもっともウマそうな食事シーンは何か考えてみることにした。言うまでもなく腹が減ることは必然ッッ。それでもよければ、読みねェ…….。

・至高の食事シーン

数ある『刃牙』の食事シーンの中でも、特に有名なのが『範馬刃牙』25巻に収録されている「ごきげんな朝飯」だろう。主人公・刃牙が用意した朝食の献立は、ご飯とベーコンエッグ、ワカメのみそ汁、さんまの塩焼き、そして山盛りのキャベツ。


卵を4個も使っていて大変贅沢だが、内容自体は至ってシンプルで、そこが素晴らしい。私(あひるねこ)を含め、実際に作ったことがある人も多いのではないか。“刃牙飯” を語る上で欠かせない名シーンである! 食いてェ~~~~~~。


とそこへ!


編集部の中澤がいきなり乱入して、待ったをかけてきたではないか。中澤が考える『刃牙』最高の食事シーン、それは……ビスケット・オリバが刑務所(ブラックペンタゴン)でステーキを食べてるところッッ。た、たしかにィィィィィィイイイ!


“10万キロカロリー絶対に摂るおじさん” として贅の限りを尽くすオリバであるが、『バキ』11巻に登場したステーキは特にウマそうだった。「モニュ……」という伝説的擬音と相まって、もはやレジェンドの域。やはり優勝はミスター・アンチェインか?


と思いきや!


そこへさらに待ったをかけてきたのが、先輩記者のサンジュンだった。いやいや、オリバのステーキに勝てる? 優勝候補じゃない? そんなサンジュンが考える最高の食事シーンは……まさかの砂糖水14キロ! ああ、たしかにあれはウマそう……か!?


ここでデザートを選んでくるとは……そもそもデザートなのかもよく分からんが、「ごきげんな朝飯」と同じで妙にマネしてみたくなるのも事実。風邪などで弱っている時に全部飲み干して、烈海王に「復ッ活ッ!」と連呼されたい(『バキ』22巻収録)。


なんだか楽しくなってきたので、ここから先は私が好きなシーンを厳選して紹介していこうと思います。それでは開始(はじ)めいッッ!



・安藤さんが仕留めた月の輪熊の刺身(『グラップラー刃牙』11巻)


めっちゃ血ィ出てるけど大丈夫なんか? と思わずにはいられないが、安藤さんに「喰いねェ……」と勧められたら喰わざるを得ない。追いかけるように「ポリ……」とかじる生ワサビが妙にウマそうである。


・独歩、〆のメガ盛りイカスミパスタ(『バキ道』4巻)


独歩といえばカニを割って「ジュルルル」とすするシーンも捨てがたいが、たっぷりの魚介にたっぷりの野菜、デカいステーキに内臓料理をたいらげた直後に「ハモ……」と食べるパスタをここでは挙げたい。

おそらく読者全員がこう思ったはずだ。普通に食いすぎだろと。


・ジャック・ハンマーの例のステーキ(『バキ』28巻)


「ごきげんな朝飯」と並ぶもっとも有名な食事シーンの一つではないか。アライJr.に急かされる形で、怒涛の勢いでステーキを口に押し込むジャック。「ガプ……ギュウウウ……ナポ……」を超える擬音は、おそらく未来永劫出てこないだろう。漫画史に残る名場面である。

ちなみに、Tボーンステーキの骨を食べるシーンが収録されているのは『バキ』14巻だ。「サクッ」って、そうはならんやろ。ビスケット(オリバじゃない方)かよ。



・安物のキャンディーでコニャックを飲(や)る勇次郎(『刃牙道』9巻)


上等なコニャックを口に含み、転がした後、飲み込んで、恍惚とするまでを丸々2ページかけて描く板垣先生もスゴイが、それより何より「カロ……」とキャンディーを食べるオーガが面白すぎる。カロて。いつか同じように飲(や)ってみたい。


・克巳とドイルのコンビニ飯(『バキ』15巻)


「戦争中だしな……」と自分はコンビニ(スーパー?)のおにぎりなどを雑に食べ、敵のドイルには洋食をしっかり皿に盛り付けて出す克巳がなんかいい。ちなみに原作では見切れているが、アニメでは克巳がパックの刺身も食べていたことが明らかになる。


・ピータン、北京ダック、焼きそばをドカ食いする蹴速(『バキ道』15巻)


全部読んだはずなのに、どういう文脈で登場したのかイマイチ思い出せないでお馴染みの蹴速(けはや)。唯一ハッキリ覚えているのは、中華料理屋で焼きそばを「ソバババッ」と食べるシーンである。さすがにその擬音は反則ではないのか。



以上、独断と偏見で選ばせてもらったッッ。こうして見ると、第二部にあたる『バキ』はグルメ漫画としてもシリーズ屈指であることが分かるが……ここでもう御一方、ご意見を聞かせていただくことに。『刃牙』の元担当編集者である秋田書店のY氏だ!

・ガチ関係者

さあ、果たしてY氏はどのシーンを選ぶのか? 『刃牙』ファンの一人として非常に気になるところだが……しかしこの後、私はY氏の回答に震えあがることになる。


いやいや……え、ちょ、そこ? そこなの? 自信たっぷりにY氏が挙げたのは、なんと、まさかの……


夏恵のおソバ……!!

・想定外

これは『グラップラー刃牙』36巻。独歩の愛妻・夏恵夫人が、最大トーナメントで渋川に敗れた独歩を慰めるシーンである。


2人の夫婦愛が垣間見える『刃牙』らしからぬイチャイチャ名場面だが……Y氏よ、これだけ言わせてくれ。肝心のソバが一切出てこねぇ……! 食ってる描写すらねぇッッ! 妄想グルメかよ! チョイスが変態すぎるだろ!!

まさかエア夜食ならぬ、エアおソバを挙げてくるとは……さすが元 “刃牙担”。秋田書店の人間にはカマキリやトリケラトプスだけでなく、夏恵さんのおソバも見えるのかもしれない。


Y氏、達人すぎてまったく参考にならないご意見をどうもありがとうございました!



・本日配信

さて、そんなY氏から『刃牙』に関するお知らせがあります。本日2024年6月6日より、Netflix映画『範⾺刃⽛VSケンガンアシュラ』の独占配信がついにスタートだァァァァァァァアアアアア!


格闘漫画界の両雄、『刃⽛』シリーズと『ケンガンアシュラ』のドリームコラボが実現ッッ。それに伴い本日6月6日から6月8日までの3日間限定で、出版社の垣根を超えた熱いキャンペーンが実施されるぞ。

小学館「マンガワン」では『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』全968話が、秋田書店「チャンピオンクロス」では『ケンガンアシュラ』全236話が、なんと無料解放されるのだッッ。

今回選んだ食事シーンもチェックできるので、この機会をぜひ見逃さないでほしい! 強くなりたくば喰らえ!! そして読め!!!

参考リンク:Netflix『範⾺刃⽛VSケンガンアシュラ』チャンピオンクロスマンガワン
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
©︎板垣恵介(秋田書店)1992