環状路線としては日本一の利用者数を誇る「山手線」。その停車駅の1つJR田端駅で、何やら不穏な空気が流れているという噂が。
それは2つあるメインの北改札口に比べて、もう1つの南改札口との格差がえげつないという話。私(耕平)は腰痛の治療で、田端にある整骨院に月に1回通っているが、たしかに北口でしか降りたことがない。
ということで噂の南改札口から出ようとしたところ、駅ぐるみで断固として乗客を行かせたがらない姿勢を垣間見ることになった……。
・改札口格差
JR東日本の統計によると、JR田端駅の2022年度の統計で、1日あたりの平均乗降者数が約37000人。山手線の中では下から4番目の駅になる。
そして、利用者のおそらく9割以上が北改札口を利用していることだろう。その理由だが、北改札はホームから開放感あふれる作りのエスカレーターが伸びていて……
店舗やATMなどが立ち並ぶ。特別華やかというわけではないが、山手線の乗降口として違和感は全くない。
その北改札口を降りると、JR東日本グループが運営する商業施設「アトレ」に繋がっている。
・断固として行かせたがらない
一方、南改札口に向かってみると、こちらはエレベーターはおろかエスカレーターも無く、移動は階段のみ。
階段を上がっていくと……
全力で北口へ移動を促していた。
「北口改札はホーム約100m手前にございます」「トイレ・バス・タクシーは南口にはございません」など、とにかく南口には近づくなよ……的な注意喚起がズラリと並んでいる。
さらに階段を上がっていくと、「こちらは南口改札です バス停、タクシーのりばをご利用のお客様はホームに戻り、北口をご利用ください」と、壁にも注意喚起が貼られていた。
さらに南口改札に向かうと、改札前に数段の階段がある。
近づいていくと、そこにもダメ押しで北口に戻るよう日本語以外でも、あらゆる言語で注意喚起がされていた。
もう、ここまで来ると逆にフリだろ……と思ってしまうほど。そこまで北口を利用するように促す南口には、何があるのだろうか? いよいよ南改札口に到着する。
・都会にある秘境?
いよいよ、南改札口に到着。目の前には「のりこし精算機」1台だけがポツンと佇(たたず)んでいる。
こじんまりとした改札口ではあるが、自動改札はなぜか3機ある。
そして山手線の改札口にもかかわらず、駅員さんは1人も見当たらない、いわゆる「無人改札」である。なんとなく、昔は常駐していたのかもしれないという形跡はあるが…‥。
きっぷ販売機は1台のみ。これも山手線の改札口では珍しいのではないだろうか?
外から見る南改札口は、都心には似つかない歴史ある雰囲気を醸し出している。
周りには店舗などは一切なく、葬儀屋が1軒あるだけ。
もちろんバス・タクシーなどの交通機関は一切ない。南改札口に行くまでの、あの注意喚起はこういうことだったのか……。
ホームに目を向けると、頻繁に行き来する車両が特等席で見ることができる。こういうのが好きな人には、たまらないスポットだと思う。
近くには、何やら倉庫みたいなものもある。道は石畳で風情があって個人的には好きな雰囲気だ。
改札口からは一本道しかないが、少し歩くと、階段が姿を現す。
とりあえず登ってみると…‥
一般道に出た。
このあたりは下町っぽい感じで、人の行き来も少なく、比較的のどかな街並みだ。
そこから線路沿いに歩いていくと、北口に出る。
──ということで、1つの駅にもかかわらず、ここまでの格差があるJR田端駅。むしろ北口だけにすればいいのではないか? という疑問も湧いてくる。
しかし私が訪問した際には、南口から人が一気に降りくる時間帯もあった。なので、地元民や通勤で使用する人からは必要なのだと思う。
「都会にある秘境」と呼ぶ人もいるという、このJR田端駅の南口。ぜひ田端に来た際には、あえて南口に降りてみるのも面白いかもしれないぞ!