新幹線内でのマナーって人によってかなり幅があると思う。お笑い芸人の話でも「新幹線でこんな人がいて~」というのは定番ネタだ。色んな地域、色んな環境の人が同じ車両に乗り合うものだけに、常識が違うのも当然なのである

そのため私(中澤)は一挙手一投足に気を使ってしまう。仕事であろうが席で通話とか絶対無理。ところが、新幹線のワーク&スタディ優先車両「TRAIN DESK」ではWEB会議や通話をしても良いらしい。それ、うるさくないの? 気になったので乗ってみた。

・北陸新幹線

この席の存在を知ったのは、先日、北陸新幹線に乗った時のこと。『かがやき』の指定席を購入しようとしたところ、選択肢で「TRAIN DESK(ワーク&スタディ優先)」というボタンが表示されたのだ。

なんだこれ初めて見るぞ。でも、ワーク&スタディ優先ということは静かなのだろうか? そう思いながら、「TRAIN DESK」を選択してみたところ、以下の説明が表示された。


「TRAIN DESK(トレインデスク)は、車内で仕事・勉強等をされるお客さま優先の普通車両指定席です。仕事・勉強等をされない方もご利用いただけますが、仕事・勉強等をしやすい車内環境維持のため、お客さま同士でのご配慮をお願いいたします」



・WEB会議や仕事の通話はOK

なるほど、要するに、仕事・勉強優先というのは設備の話じゃなく、どちらかと言うと「配慮でそうしていこうぜ」という話なのか。しかし、その文言の下に書かれている『優先となるご利用例』を見てみたところWEB会議や通話が入っている

確かに赤字で「※大きな声での通話・談笑や大きな音を出すなど、仕事・勉強等をしている他のお客さまの迷惑になる行為はお控えください」とは書かれている。書かれているが、それは一般席でも同じな当たり前のマナーな気がするんだよな。

むしろ、そこら中で通話とかWEB会議やってたら一般席よりうるさくないかな? というわけで、確認のためあえて「TRAIN DESK」を購入してみた。価格は一般の指定席と同じだ



・乗車してみた結果

実際に着席してみると、前の席の下部分に電源が設置されており、WiFiが使える。まあ、これらは一般席でも使えるので、やはり設備的には一般席と同じ様子。


では、気になる環境はと言うと……


結論から言えば何も問題がない。北陸新幹線に乗っていた3時間弱の間、1度も話し声が気になることはなかった。WEB会議や通話をしている人は普通にいたのに、何が違うのだろう



・空気

そこで考えたのだが、おそらくこれは意識の問題ではないかと思った。まず、自分が仕事目的で乗車しているだけに、自分がされて邪魔になるようなことはしないように気をつける。周りの空気からもそれを感じて、WEB会議や仕事の通話をするにしても大きい声を出すのはマナー違反という空気が出来上がっていた。

この空気が注意文言以上の効果を発揮している。席で大きい声で通話するのは普通に恥ずかしい。

一方、やる側の感覚で考えても、WEB会議とか仕事の通話って声がデカイ方がおかしいし抑えた声でも特に問題がないように感じた。

・色んな人が乗るからこそ

なお、トレインデスクは2023年3月20日から始まったものだが、ビジネス席の取り組みはそれ以前も「新幹線オフィス車両」という名前で存在したようだ。

しかし、これは列車によって自由席だったりもしたようで、トレインデスクへのリニューアルにより設定されている車両で全て指定席化されたこともより効果を発揮しているのかもしれない。

購入時点で区別されてるものを自発的に選んで乗ってるのは意識の持ち方が大きく違う。というわけで、「マナーってみんなで守るものだなあ」と改めて思ったのでした。

冒頭で書いた通り、新幹線には色んな常識の人が乗る。そのため、各々のルールにズレが生じるわけで、これを設備投資とか手間をかけるのではなく同コストで解決できているところはなかなかの取り組みではないだろうか。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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