おいおいマジかよ。新幹線なんてただでさえ高級な乗り物なのに、その中にはさらにグリーン車とかいう貴族のみに許された特権車両が存在するらしいのだ。いや、そんなん乗るわけねーだろ。こちとらロケットニュースだぞ!

だが私(あひるねこ)も33才。いい大人である。そろそろ緑の玉座に座るお年頃ではないのか? 座ったところで、罰は当たらないのではないか? というわけで、人生初の新幹線グリーン車に乗ってみることに。いざ、出発進行……!

・初のグリーン車

先日、東京から名古屋まで行く仕事があったため、思い切って4000円強を追加しグリーン席の切符を購入。緊張しながら出発の時を待った。在来線のグリーンなら乗ったことはあるが、新幹線は今回が初めてだ。

ホームで待つこと数分。いよいよ新大阪行きの「のぞみ」が姿を現す。お、おいでなすった……! ゴクリ。入口自体は通常の車両と特に変わりないものの、なにやら目に見えないオーラを感じるのは決して気のせいではあるまい。


この先に楽園が……


楽園が……


あった。

・すべてが新鮮

これがグリーン車か、心なしか高貴な雰囲気が漂っている。しかも……うっ! マジかよ、床がフカフカしているぞ。すまねぇが土足で失礼するよ。そして辿り着いた……


我が城!


人生初の新幹線グリーン席に感慨を深める私。あたりを見回すと、日曜の夜というあまり混雑していない時間のせいか、全然人がいない。もう前後左右、誰もいない。え、乗ってるの俺だけじゃないよな? もはや恐怖を感じるレベル。怖ぇよ。

しかし! 念願のグリーン席は、想像した通り座席の間隔が広々しているぞ。わ~い\(^o^)/ フットレストもあるし、これなら足もラクチンである。ストレスフリーとはまさにこのことか。


手すりは超デカイし、充電用のコンセントがバッチリ完備されている。


しかもスイッチを押すと……嘘だろ! 読書灯がついただと!? 頭の横が光ってるよオイ!


はぁ……お母さん、僕もとうとう新幹線のグリーン車に乗れる男になりましたよ。

・さすがグリーン

だがしかし、グリーン車の猛攻はこれだけでは終わらなかった。さっきから気になってたんだけど、左手を置いているこの部分。何らかのギミックが搭載されている気配がする。

いじってみると……


あ、開いたッッ!


えーーー!? いやいや、ちょっと待てって! 待て……待……


うわああああああああああああ!!

なんと、テーブルがもう一つ出現したではないか。もはやロフト! ロフト付き物件である!! ただ、ぶっちゃけ何に使えばいいのかはよく分からない。ドリンク用の凹みが2カ所あるが、ビールのチェイサーにお茶でも置けと言うのか。バーなのか、グリーン席は。

・さらなる衝撃

2つのテーブルを前に固まる私。そこへ、乗務員の女性が近付いてきた。今度は何だ? するとその女性、おもむろに何かを手渡してきたぞ。こ、これは……おしぼり! おしぼりキターーーーーー!! グリーン車はおしぼり付きなのかよ! 手が、手が拭けりゅゥゥゥゥウウウ!!

ちなみに、おしぼりがない新幹線もあるらしい。「のぞみ」はくれるようだな。さて、それでは手を拭いてキヨスクで買ったビールでも飲むか。しかし次の瞬間、私にこの日最大の衝撃が訪れる。な、何だこのおしぼり……!


めっちゃブ厚い……!!

・激アツ

こんな厚手のおしぼりが世の中に存在するのか!? 調べてみると、どうやらこれは「日清紡」が発売する最上位仕様の品らしい。その拭き心地ときたら まさに至高で、これと比べたらいつも使っている紙おしぼりは湯葉である。すげーよグリーン車は。

こうしてひとしきりハシャいだ後、後ろに誰もいないことを再確認した私は、シートを限界まで倒す。そこに深く身を任せると……ワオ、何これ。水平? もちろんそこまで倒れはしないが、気分はもはやベッドだ。気持ちいい。とても気持ちがいい。そして……。


気付くと、「間もなく名古屋です」のアナウンスが。


……え?


もう終わり?


・まさかの終焉

へ、へ、下手こいたァァァァァアアアアア! そう、車内でビールを飲んだせいか、どうやら私はだいぶ早い段階で熟睡してしまったようなのだ。そのためグリーン車に乗っていた体感時間は、多く見積もって30分。いや高いよ! 30分4000円って……何の店だよ!!

もちろん その熟睡時間を買ったという考え方もあるだろう。いや、たぶんそれこそがグリーン車なのだ。しかし……。一念発起して乗り込んだ私からすると、あれはあまりにも値が張る買い物であった。手に余る、と言った方がいいかもしれない。自分がこうも無力だとは……。

・さらばグリーン車

たしかにグリーン車は最高である。筆舌に尽くしがたいほど最高である。だが、次に私がグリーンに乗るのはおそらく、死期が迫った時ではないか。改札に吸い込まれていく切符を横目に、ぼんやりとそんなことを考えたのだった。ああ、小市民。

Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
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▼これがまずかったのか……。

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