回転寿司が好きな私(中澤)。御徒町に住んで6年ほどになるが、ちょっと気分が上がるものを食べたい時に行くのがパルコヤの6階にある『金沢まいもん寿司』だ。グルメ回転寿司だから高めだけど、ちゃんとウマくて良いもの食べたなって気分になれる。

休日は混んでるけど平日はスルッと入れるので、先日もテン上げに利用した。いわゆる、自分へのご褒美。そんな最中、ふと店内に設置された黒板を見て衝撃を受けた。

・手書きメニューかと思いきや

店内の黒板で手書きなので、私はてっきりその時のオススメメニューが書かれているのかと思っていた。鮮魚は旬とかその日の仕入れとかでオススメも変わってくるだろうし、手書きメニューがあれば便利だろう。

だがしかし、その黒板に書かれているのはメニューではなかった。よく見ると文章になっているのである。頭から読んでみると……


「寿司はただの食ではない。

寿を司る

と書いて寿司と称する。寿司はそれを食する人の

寿を祝う食

生涯を慶び、日々を尊び、いまこの瞬間を噛みしめる。人は寿司を味わうことで

人生を味わう。

ただの料理ではないけない。

寿司を握る者は寿を司る者であれ

お客様の今日という日を祝福するように腕をふるえ

十人十色の美しい人生を貴びながら

寿司を握れ

寿を司れ。」

──強い。特に「人は寿司を味わうことで人生を味わう」以降、パンチラインの連続である。終わりに向かって加速していく感じに、まず「良い文章だな」と思った。



・気持ちが迸(ほとばし)りすぎている

その上で、寿司職人の意識の高さも半端じゃない。「ただの料理ではいけない。寿司を握る者は寿を司る者であれ」の部分とか強火すぎて半分意味が分からないほどだ。その意味の分からなさに気持ちの迸りを感じる点も非常に味わい深い。寿司だけに。

こんな文章書きたいわ。個人的にはちょっとした感動があったわけだが、それを踏まえて職人さんたちの顔を見てみると、ガチ感が半端じゃなかった。寿司を握っている様子に「自分寿司しか握れませんから」という高倉健みたいなプロオーラが漂っているのである。


・醤油にもこだわり

だからというわけではないが、醤油にまでこだわりが感じられるところが良い。金沢まいもん寿司の醤油は「まいもん醤油」というオリジナルの醤油なのだが、これは金沢で190年続く醤油ブランド『直源醤油』との共同開発で、甘みを感じるくらいコク深い。

その味は脂の乗ったネタの味や、シャリの甘みとも非常に相性が良く、醤油をかけた時に金沢まいもん寿司だけの味を感じられる



・コスパの良いネタ

なお、オススメネタは、ほたて(税込515円)、えんがわ(税込400円)、月見三昧(税込400円)の3皿。価格のレンジの中では安めに分類される皿なのに、ネタがちゃんと大きいのが良い。

ほたては分厚いし、えんがわもちゃんとシャリを覆うくらい大きいのが乗っていて、回転寿司のちょんまげみたいなえんがわとは別物だ。

あと、月見三昧は黄身が濃厚な味で醤油との相性が抜群。個人的には、タッチパネルで推されている「のど黒(税込900円)」や「本まぐろ三昧(税込1120円)」よりも、この3つの方がコスパの良い味だと思う

その日は、そういったコスパの良さを駆使しつつ9皿食べて4115円であった。やはり高めだけど、今日びスシローでも2000円台後半から3000円くらいいくようになったし、クオリティーを考えると納得できる価格ではある。


というわけで、色んな意味で強い金沢まいもん寿司。毎週行くような店ではないが、ちょっとしたテン上げをしたい時にはオススメな店の1つである。

・今回紹介した店舗の情報

店名 金沢まいもん寿司 上野
住所 東京都台東区上野3丁目24-6 パルコヤ6階
営業時間 11:00~22:00
定休日 休業日はパルコヤに準じる

参考リンク:金沢まいもん寿司
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.