ここは、ネットメディア「ロケットニュース24」の編集部「路決闘(ロケット)組」である。巷(ちまた)で賃上げが叫ばれるなか、組員たちはヤキモキしていた。もしかして、自分たちは世の流れに置き去りにされていくのではないか? そんな不安から事務所には緊迫したムードが漂っていたのである。
ある日、組員たちは会議室に集まり、今後の対応について話し合っていた……。
中澤星児「アニキ! このままじゃやっちょれんですよ。世の中、賃上げ賃上げって。ワシらいつまで我慢せにゃあならんのですか!」
P.K.サンジュン「せやな~、そろそろオヤジの出方を伺った方がいい頃やな」
佐藤英典「お前らの気持ちはよう分かるで。でもなあ、そうは言うたかて……。なあ、補佐」
和才雄一郎「…………」
「お前ら、またその話しか……」
一同「ご苦労様です!」
GO羽鳥「おう、座れ」
中澤「頭(かしら)、また賃上げのニュースですわ!」
中澤「ワシらはどないなっとるんですか! このまま時代に取り残されるんとちゃいますか! それでええんですか!?」
羽鳥「そんなにデカい声出すな。ちゃんと聞こえとる」
羽鳥「星児、お前の気持ちはよくわかる。けどな……」
サンジュン「頭、もうええんとちゃいますか? 待っとっても何もならんですよ」
サンジュン「時間ばっか過ぎてくばっかりで、指をくわえて待っとれっちゅうんですか? ええ?」
羽鳥「そうやが……」
佐藤「頭、オヤジに言いにくい気持ちはわかりますよって。でもね、これだけ世の中で賃上げと騒がれたら、ワシらもたまったもんじゃないですけん」
佐藤「ここはひとつ、頭からオヤジにビシっと言ったってつかあさい。そうせんと、どげんもこげんもできんようになってしまいますけえなあ」
羽鳥「う~ん……」
羽鳥「補佐、お前はどう思う?」
和才「…………」
和才「……………………」
和才「いてまいましょう!」
羽鳥「よし……」
羽鳥「春闘じゃ、準備せい!」
羽鳥「こうなったら春闘しかねえ! 全力でいてまえ!!」
一同「へい!」
YOSHIO「昼メシ、何食うかな~。今日の隨園(編集部近くの中華店)弁当の内容によるなあ……」
羽鳥「オヤジ、大事な話があるんやが」
YOSHIO「なんだ、お前ら。揃いも揃って。ちょうどええわ、弁当買ってきてくれんか」
羽鳥「弁当なんかあとで食えらあ。ワシら、春闘したる」
YOSHIO「ほお~、お前らが春闘だと? 春闘の意味、わかっとるんか? 人数そろえればどうにかなるとでも思っとるんか? おう?」
羽鳥「意味もへったくれもあるかい!」
YOSHIO「ああ? お前ら誰にモノ言っとんだ! 調子こいてんちゃうぞ!」
YOSHIO「全員まとめてかかってこんかい! 春闘、受けたるわ!!」
あひるねこ「俺の春闘、見さらせー、オラー!!」
砂子間正貫「これが本当の春闘じゃーい!」
星児「賃上げに対抗するには春闘しかねーーー!!」
サンジュン「元気ですかーーーッ! シャオラ!!」
佐藤「これ、コブラツイストだよね? なんか効いてなくない?」
和才「オラ、春闘! ヨッシ、春闘!」
羽鳥「気合いだ、春闘は気合いだッ! ダシャッ!」
こうして、若頭羽鳥率いる組員の春闘は、勝利で幕を閉じた
彼らの戦いはこれからも続いていく
~ 完 ~
執筆:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24