日清グループの乳製品・清涼飲料水メーカー「日清ヨーク」は、コンビニ限定でトンデモない商品の販売を開始した。まさかこんなものを紙パックで販売してしまうとは、どんな商品開発会議を開いてるんだよ。

その商品とは「みかん缶シロップ」(税込149円)である。みかんの缶詰のシロップを再現した飲み物だ。世代の人にはわかるはず。子どもの頃、この汁(シロップ)をゴクゴク飲んでみたかったんだよ! そこに目をつけて商品化するとは、日清ヨーク、おそるべし!!

・ポエム

この商品は「ナチュラルローソン」で売っているとの噂を聞き付け、最寄のお店に行ったらホントにあった! 私(佐藤)もみかん缶汁をゴクゴク飲みたかった世代のひとり。ドリンクコーナーでこのパッケージを見つけて興奮してしまった。

あの頃の夢が叶う! ゴクゴク飲みて~!!


裏面を見ると、思わず目頭がアツくなるようなポエムがつづられている。


「みかん缶のシロップを、もっと飲みたかったあの頃……。子供の頃の願いを、今叶えます!

シロップの優しい甘味に加え、みかんの風味を程よく感じられるようにすることで、みかん缶のシロップを飲んだときのような味わいを表現しました



チキショー、泣かせてくれるじゃねえか。ガキの頃、あの汁を飲むことは許されなかったんだよ。昔の缶詰は缶切りがなきゃ開かねえ、直に口をつけたらケガしちまう。おまけに弟たちの手前、アニキの俺が我先に飲むわけにはいかねえじゃねえか。

飲んでみたかったんだよな~、思う存分よ~……


・缶詰と色を比較

さて、まずは液体を確認しよう。あえてショットグラスに注いでその色をたしかめてみる。


色はほのかに黄味がかっていて、そしてややとろみがある。そうそう、みかん缶の汁ってこんな色だよね。無色透明ではなく、黄色っぽかったんだ。見た目はかなり忠実に再現されている。


ただ味見をするだけでは面白くないので、ホンモノも用意した。サンヨー堂のみかんの缶詰(税込170円)である。これと比べないと、味の再現度がいかほどかわからないもんね。


参考までに、果物の缶詰の表記は「シロップ(siroop:蘭語)漬け」ではなく「シラップ(syrup(英語))漬け」で統一されている。

JAS規格(日本農林規格)で果物の缶詰の糖度は4段階の基準を設けられており、製品糖度10%以上14%未満が「エキストラライト・シラップ」、14%以上18%未満を「ライト・シラップ」、18%以上22%未満を「ヘビー・シラップ」、22%以上のものを「エキストラヘビー・シラップ」に分類される。

なお、この缶詰はライトシラップである。


本題に戻ろう。さっそく缶詰を開けると、みかんがギッシリ詰まっている。ガキの頃、この光景に胸がトキめいたもんだ。今みたいにコンビニで手軽に上質なスイーツが売ってない時代だったからなあ。これでも立派なスイーツだったよ。


こちらの汁もショットグラスにあけてみると、色が濃い! そのうえ果肉の破片が液面を漂っている。それがまたいいんだよなあ~。この破片は特別な液体であることの証であり、これでも立派なみかんジュースだと、幼少の私は考えていた。今でもその思いは変わらない。


改めて、2つのショットグラスを並べると違いは歴然。


ジェネリックみかん缶汁には申し訳ないが、やっぱりホンモノとはずいぶん違いますなあ。本物の革を使った革ジャンと、ナイロン製素材で再現した革ジャンくらいの違いはあるよ


・味を比較したら…

見た目だけではその再現度のすべてはわからない。やはり飲まねば……。まずは香りをたしかめる


果汁2%、香料でかおりを補っているので、そこそこ柑橘系のニオイはする。悪くない香りだ。


いざ、実飲。口に含むと、かすかにとろみのある舌触り。果実のやさしい甘さがある。


悪くないですねえ、清涼飲料というには少々甘さが過ぎるけど、みかん缶汁だと思って飲むと、かなりホンモノに近い。疑似的に缶汁を飲んでいると思えば納得の味。

なんらかの事情でみかんの缶汁だけを飲む必要に迫られた時に、コレはちょうど良いかも


続いてホンモノのみかんの缶汁。香りは完全にみかんだ。


飲むと舌先が触れたその瞬間から完全にみかんだ。


コレコレーー! 本来はみかんこそが主役なのに、こっちの方が断然ウマいと感じてしまう飲み心地。これぞ、みかんの缶汁! 飲んではいけないものを飲む背徳感も、断然ホンモノの方が強い!


申し訳ないが、本当に飲みたかったのは再現飲料ではなく、ホンモノの缶詰の汁なんだよ! とはいえ、この商品は見た目も味もかなり忠実にホンモノを再現している。あの頃の願いの半分くらいは叶えてくれているといって良いだろう。

あの頃、飲むに飲めなかった皆さんはぜひ試して頂きたい。甘酸っぱい記憶がよみがえるかもしれないぞ!


参考リンク:公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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