最初に言っておくが、「不要不急の外出は控えて」と言われるレベルの寒波ではない。そっち系の無茶をしてるって話ではなく、東京の冬程度の寒さなら “餃子の誘惑” が余裕で勝っちゃうよってことである。
それほどの中毒性。店名を出すと、結構な人が「あそこの餃子なら真冬でも行ってしまうわ」と納得するのではないだろうか?
いきなりお店を発表しよう。ずばり、「安兵衛(やすべえ)」である。
高知県を代表する餃子屋台であり、私は同県を旅行した2020年10月に初めて訪れた。いまから3年ちょい前だ。
高知といえば、カツオをはじめとした海産物が有名だし、実際にメチャクチャ美味かったのだが、旅行中自分のインスタに投稿したのは安兵衛だけである。
それほど強烈だった。当然ながら、旅行から帰ったあとも安兵衛についてGoogleで検索し、東京にも店があることを知ると何度も通うようになる。
ちなみに2024年2月8日時点で、安兵衛は東京の「目黒」と「恵比寿」にも店舗を構えている。
どちらも東京を代表するセレブタウンであるが、安兵衛自体は決して高いわけではない。
たとえば、焼餃子は1人前495円で、水餃子は528円(恵比寿店)。
立派な安兵衛中毒である私に言わせれば、500円で食べられる味ではない。クオリティを考えたら、コスパ最強と言っていいいかと思う。
では、安兵衛の餃子の一体どこがそんなにすごいのか? 代表的なメニューである屋台餃子(焼餃子)を例に説明しよう。
その特徴を簡単に言うと、「揚げてんのか?」ってレベルのパリパリ感にある。
かといって、揚餃子のようなバリッッバリッッツではない。焼餃子と揚餃子の中間のような、心地よいパリパリ。
ソウルフード的でありながら、どこか上品さを感じさせるような食感と言おうか。
品の良さは、サイズ感にも表れている。1つ1つは決して大きくなく、どちらかと言うと小ぶり。それでいて、皮も薄い。
なのでたとえば、当サイトの連載「羽鳥と原田の餃子道」でSランク入りを果たしている「正嗣(まさし)」や「肉汁餃子のダンダダン」とは系統が異なる。
どっちも皮が厚めだし、焼餃子なのにどこかモッチリとしているからね。正嗣に至っては生姜がアクセントになっているので、味の方向性も全然違う。
安兵衛の焼餃子をひとことで言うならば、「薄皮パリパリにんにくガツン、あとから野菜の旨味じわ〜〜〜」という感じ(※店舗によってにんにく無しも選べる)。
ビールとの相性は完璧で、そっち系の餃子が好きな人には結構な確率でハマるかと思う。
なお、安兵衛の餃子は取り寄せも可。「土佐うまいもの100選」というサイトで自分で包むタイプの餃子セットを購入できるのだが、店の味を知ってしまった身としては「あのレベルの味を俺の腕で再現することは絶対に無理」と思ってしまう。
それほどに美味い。私の中の餃子ランキングでは殿堂入りのSSSランクであり、「正嗣」も「ダンダダン」も「ぎょうざの満洲」も「餃子の王将」も「大阪王将」も近寄れないゼウスのような存在。
そんな “神々の王” に1時間弱で会えるのだから、行ってしまうのも無理はない。
つい最近もゼウスに謁見(えっけん)したい衝動が巻き起こったのだが、その日は天気予報で寒波がどうこう言っていた。気象庁が外出への警戒を呼びかけるほどではないものの、文句なしに寒い。
家で湯豆腐でも食べようか……と思っても、安兵衛の餃子のパリパリ感が頭にチラついた途端に足が勝手に恵比寿の方に向かってしまう。
人の計画を簡単に狂わせるという意味でも、ゼウスなのだ。
参考リンク:安兵衛、土佐うまいもの100選
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼箸で半分に割るとこんな感じ。野菜もいい仕事している
▼餃子以外にも、おでんやラーメンなんかもある。こちらのチャーシューめん(980円)は醤油ベースのあっさり風味
▼個人的には、「ニラ玉」「じゃこ飯」なんかもオススメ