京都土産についつい買っちゃう、八ツ橋。固いのと柔らかいのとあり、売り場面積的にも現在は柔いほうが幅を利かせているように見えるが、パリッとした固いものが元来の八ッ橋である。
とは言え、材料を見るに固いものと柔いものとで大きな違いはない。そうであるならば……柔い八ツ橋を焼けば固いものに戻るのだろうか。ひとつ、試してみるとしよう。
・硬くても柔くても原材料はほぼ同じ
八ツ橋は、米粉を原料に砂糖・ニッキ(肉桂、シナモン)を混ぜて蒸した生地を薄く伸ばし、焼き上げた堅焼き煎餅の一種だ。そしてその生地を焼かずに切っただけのものが、生八ッ橋と呼ばれるもの。
生八ツ橋には折りたたんで中に餡を詰め込んだタイプもあり、餡の種類が豊富なので選ぶのが楽しく、お土産にもぴったりだ。
そんな八ッ橋たちだが、冒頭に書いた通り材料はほぼほぼ同じ。会社によって多少異なるだろうが、一例として聖護院八ッ橋総本店のサイトを見てみよう。
曰く、固いものは「砂糖、米粉、桂皮末、けしの実、きな粉(大豆を含む)」で、柔らかいものは「砂糖、米粉、 きな粉(大豆を含む)/ 酵素(大豆由来)、香料」が使われているとのこと。
食感を左右するものは米粉くらいのように見受けられるが、いずれにも入っている。繰り返すように、大きな違いはないのだ。つまりこれらは“焼き” によって左右されると考えるが、果たして……。
・色いろな方法で焼いてみる
まずはフライパンを少し温め、そこに生八ッ橋を入れてみる。プツプツという音とともにニッキの良い香りが漂って来る。砂糖が入っているからか、すぐに焦げ目がついてしまい加減が難しい。
あまり焼き過ぎると真っ黒になってしまうため、適度なところで火を止める。しばらく冷ましてから手に取ると、これがなんと、柔らかいままだ。
多少は固くなっているのだが、ふにゃっと折れ曲がってしまう。生八ツ橋は、どうしたって生のままなのだろうか。念のため、ほかの火入れ法も試してみようと魚焼きグリルに突っ込んでみた。
フライパンよりも素早く集中して熱が加えられるので、違う結果が見られると踏んだのだ。しかしこれがなかなか難しく、火力が強いため弱火に設定してもすぐ焦げてしまう。
ほんのちょっとの時間で焼こうとすると均等に火が当たらずで、悪戦苦闘。どうにかこうにか焦げ目が付きつつも、全体に火が行き渡ったところで、火を止める。
またもや冷まし、手に取ると今度は……固いっ!!!! フライパンで上手くいかなかったこともあり、生八ツ橋が固くなることはなかろうと正直なところ諦めていたが、まさかまさかだ。
もちろん市販の固い八ツ橋のようにどこもかしこもカチコチで、落としたら割れそうな程ではない。しかしながら、端を持っても折れ曲がらないくらいには、強度がある。
これでパリッと食感であれば、完璧だ。やや緊張しながらかじってみると、なるほど。フライパンで焼いたものよりは固いのだが、生八ツ橋特有のモチっと感は残ったまま。
これはこれで美味しく、焼くことにより香ばしさがプラスされて食べ応えがある。生八ツ橋のちょっと違う食べ方を探している人にはオススメだ。
しかしながら、どうやら生八ツ橋は生八ツ橋のままであり、固い八ツ橋にはならないということが判明。それぞれに販売されているというのは、そういうことなのだろう。
ひと口に八ツ橋と言っても、それぞれに特徴と異なる性質があるようだ。今回の検証により、八ツ橋の新たな一面を知ることが出来た次第である。八ツ橋も奥が深い。