基本的にグルメと趣味の延長みたいなレポートがメインであるロケットニュース24。編集部に品物が届くこともあるが、ほとんどは企業からのサンプルだ。
ゆえに、差出人に個人名が記載されている場合、少し警戒心が芽生える。「ヤバイものが入っていたらどうしよう」と。事実、髪の毛が入っていたこともあるしな。
だがしかし、今回私(中澤)宛てに届いたブツは個人名なだけではなく海外からであった。何コレ怖い……!
・Fromニュージーランド
国際郵便物と書かれたそのブツ。差出国はニュージーランドとなっている。最近ネットで買い物をした覚えもないし、もちろんニュージーランドに友達もいない。謎すぎる。
とは言え、軽めのパッキングを見ると手紙サイズの何かであるようだ。航空便なのであれば爆弾とかではないだろう。そこで開けてみると……
真っ赤なカセットテープが出てきた。
箱がボロイのがなんか怖い。その上で真っ赤なのが血を連想させて怖い。もはや全てが怖くしか見えない。呪いの音声とかだったらどうしよう。
・聞いてみた
とは言え、万が一、これが呪いの音声だったところで、ロケットニュース24編集部に貞子が召喚されるだけのことだ。マインドコントロール的な音声だったとしても私1人が洗脳されるだけである。というわけで聞いてみたところ……
\ドゥン♪ドゥン♪ドゥン♪ドゥン♪/
\ドゥン♪ドゥン♪ドゥン♪ドゥン♪/
クラブミュージックッッッ!
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! おれは謎のテープを再生したかと思ったらいつのまにかノリノリになっていた…な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…呪いだとかマインドコントロールだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ…もっと音楽的なものの片鱗を味わったぜ!
・なぜ
失礼。突然のダンスフロア降臨についつい混乱してしまったが、どうやら普通に曲が入っているテープのようだ。音質の高さを考えると販売されているものと想像がつくが、音楽メディアでもないロケットニュース24にニュージーランドからテープが届く理由とは? 全く意味が分からない。
改めて送られてきたブツをよく調べてみると手紙も同封されていることに気づいた。どうやら、このテープは『researchintospeed』というエレクトロニックプロジェクトのものの様子。差し入れ? と思いきや、2枚目の手紙に以下の内容が書かれていた。
・手紙の内容
「こんにちは、清司さん。お元気でいらっしゃいますか.(中略)あなたとSoraNews24のスタッフについて多くのニュース記事を読んでいます。音楽家であるあなたに音楽を共有することは素晴らしいことだと考え、このカセットテープとダウンロードコードをお送りしました(中略)
どうか素晴らしい一日をお過ごしください。そして、音楽を届けてくれてありがとう!
クレイグ / researchintospeedより」
_人人人人人人人人人人人人_
> 本人からやんけ……! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
どうやら、researchintospeedさんはロケットニュース24の英語版Soranews24の読者であるようだ。で、今回日本ツアーをすることになったから、その機会に手紙とテープを送ってくれた模様。
それにしても、編集長のGO羽鳥や外国人に謎の人気を誇る佐藤英典記者宛てではなく、私宛てとは。しかも、私がミュージシャンであることを知っているというのはかなりコアなように感じる。多分、ニュージーランドで知ってるのお前だけだぞクレイグ。日本の音楽業界人にすら認識されてないんだから。
・あふれ出すインディーズスピリット
さらには、手紙によると日本語が分からないからChatGPTを使用して書いたという。私がイギリスツアーした時の体験から言うと、ぶっちゃけ海外ライブって大変だ。ただでさえ言葉の壁のある土地に身1つで乗り込むから、ライブするだけでも結構いっぱいいっぱいになる。
にもかかわらず、音楽メディアですらないサイトにChatGPTを駆使して自らテープと手紙を送りつけるってインディーズスピリットを感じずにはいられない。そこでも何か通じるものを感じたので、researchintospeedのライブに行ってみた。
・下北沢モナレコード
その日の会場は下北沢モナレコード。実はここ、私も昔バンドで出演していたライブハウスだ。自分の予定が当日まで明確ではなかったからクレイグには「行く」とは伝えていないのだが、モナレコードの平日夜だったら当日券で入れないことはあまりなさそう。
仕事を済ませてモナレコードに着いたのは開演時間の19時ちょっと過ぎ。モナレコードの扉を開けたところ、鳴り響く「ドゥン♪ドゥン♪」という音。このサウンドは……!
クレイグ!!
もうやってるーーーーー! エレクトロニックミュージックは詳しくないため詳細なジャンル分けは分からないが、ドープなテクノサウンドをハードウェア機材で鳴らすスタイルのようだ。
しかし、ライブは電子音だけではなく熱もある。モナレコードのスタッフとか共演者に機材イジってもらいながら、自分はマイクを持ってフロアで叫ぶシーンも。ニュージーランドから来てトップバッターで会場温めてるゥゥゥウウウ!!
・直撃
現場を巻き込んでいく。そのライブに再びインディーズスピリットのようなものを感じた。そこでライブ終わりのクレイグを直撃してみた。なお、繰り返すが、クレイグは私が会場にいることを知らない。それでは行くぞ! ヘイへーイ! クレやんナイスプレイやん!! どしたん?
クレイグ「ウワオ! エ、エクセレント!! ワッツァ……アメイジング……!」
──絶句するクレイグ。当方英語が堪能ではないがもの凄くビックリしていることは分かる。まさか私ごときでそんなに感動してくれるとは。以下、パッションでコミュニケーションを取って翻訳した内容を記載しよう。
クレイグ「めっちゃ好っきゃねん! こんなことある?」
──ホンマに読んでんの?
クレイグ「めっちゃ読んでるっちゅうねん! もういつから読んでるか分からんくらい前から」
──じゃあ、最近で好きな記事は?
クレイグ「そうやな。100万円の古民家シリーズは好きやな。あと、グルメとか。あとは……あ! せんべろ!!」
──マジで「せんべろ」って発音してて草。クレやん、なんで僕に手紙出したん?
クレイグ「ミュージシャンやからやな。アイドルソング作ってたやん」
──マジで読んでるなクレやん!
クレイグ「大体毎日読んでるよ」
──何キッカケでロケットニュース24を知ったん?
クレイグ「めっちゃ昔に友達に教えてもらったんよ」
──これ記事にしていい?
クレイグ「ええよ! もちろん!! 嬉しいわ!」
・比類なきパリピ
話し終わった後、クレやんはすぐさま最前線まで戻って2バンド目のライブを客として盛り上げていた。そのインディーズスピリットはもはやリスペクトの域である。
というわけで、ニュージーランドにロケットニュース24の読者が2人いることが判明した。完全に選ばれし民である。そんなresearchintospeedはプロフィールによると「比類なきパーティーファン」なのだとか。「ジャンルや場所の障壁に関係なく、あらゆる場所に出現し、ダンス/パーティーラバーの心を捉えます」とのこと。
ツアーは、9日、10日と札幌でライブを行った後、13日に盛岡を経由して15日に東京に戻って来る。その後、16日17日は神戸で19日は大阪と関西方面にも行くため、気になった方はライブ会場に足を運んでみてくれ。
参考リンク:Instagram @research.into.speed、Facebook、researchintospeed
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼クレイグにプレゼントされたresearchintospeedのTシャツ