夜空の星々のように町に点在している立ち食いそば屋。数多の星の中、ウマイそば屋を探して色んな町を放浪するのがこの連載『立ち食いそば放浪記』だ。
今回訪れたのは神田の小川町。都営新宿線の小川町駅と神保町駅の中間くらいの下町に個性的なきらめきを放つ星、ありました。
・豊はる
その店の名前は『豊はる』。メニューは「ばかし(税込450円)」「かき揚げ天(税込380円)」「あじ天(税込450円)」「牛肉コロッケ(税込400円)」など色々あって、麺もそば・うどん・きしめんが選択できる幅広さがある。
とは言え、看板に掲げられているのは肉そばの文字。店内の券売機を見ても「肉そば(税込500円)」「厚肉そば(税込700円)」「パイカそば(税込500円)」など、肉系そばの充実度にこだわりを感じずにはいられない。
・ぶ厚い肉
そこで「厚肉玉そば(税込790円)」を注文してみたところ、ぶ厚い角煮の乗ったそばがやって来た。濃い色のつゆと厚い肉に卵黄の黄色が映えるその姿は、まさに「厚肉玉そば」というメニュー名通りである。
食べてみると、色に劣らずコクのあるつゆがホロホロの豚肉にまでしみ込んでいた。また、豚の旨みが溶けだしたつゆは甘みの強い濃厚な味。庶民的な味のそばと合わさると、ついついガツガツ食べてしまう。
ところで肉そばのメニューに書かれた「伝承の!!」とはどういう意味だろうか。店長の西村さんに話を聞いてみたところ、実は元は肉そばの名店『豊しま』で働いており、独立したのがこの店なのだそうだ。肉の厚みと濃厚なつゆの味には確かにDNAを感じる。
・オリジナリティー
しかしながら、私(中澤)が思ったこの店ならではの良さは、肉系そばがさらに独自の進化を遂げているところだ。例えば、オリジナルメニューである「パイカそば(税込500円)」は、豚バラ軟骨を煮込んだパイカがそばにトッピングされたもの。
トロトロぷるぷるの柔らかい肉からあふれ出す豚肉の旨みがつゆの甘みとマッチしている。さらに、紅生姜が入っているのも味を引き締めていて良い。薬味にまでアイデアを感じた。
・人気メニュー
また、西村さんによると、最近人気のメニューは「牛ばらそば(税込700円)」とのこと。新メニューのため、まだ券売機にボタンはなく、同じ価格の厚肉そばの食券を買って口頭でメニューを伝える形の注文となるが、確かに、昼時の店内を見回すと注文している人が多かった。ちなみに、画像は「牛ばら玉そば(税込790円)」。
画像を見ればお分かりいただけると思うが肉で麺が見えない。またガッツリ肉入ってんなあ。
しかし、そばに牛肉なのは関東では珍しい。私は関西出身なので具自体にはちょっと懐かしさすら感じるのだが、牛肉に関東っぽい濃い色のつゆという組み合わせは初めて。全くもってハードパンチャーなメニューが揃っている。
肉の力強さとアイデアで攻める『豊はる』。その個性は立ち食いそば好きの枠を越える輝きを放っていると思う。営業時間は平日6時30分から18時、土曜日・祝日は6時30分から15時30分までなので、小川町でランチとか迷った際は寄ってみてくれ。ただし、日曜日のみ定休日なのでご注意を。
・今回紹介した店舗の情報
店名 豊はる
住所 東京都千代田区神田小川町3-11-10
営業時間 平日6:30~18:00 / 土・祝6:30~15:30
定休日 日曜日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.