俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」が2023年10月27日より販売している『天津飯チキンカツ』。その詳細についてはすでにお伝え済みだが、時を同じくしてもう一つ、謎のメニューが登場していることに皆さんお気付きか?

“店舗限定” と銘打たれたその商品の名は、『麻婆ロースカツ丼』。繰り返す。『麻婆ロースカツ丼』である。日本中に散らばる “かつや者” たちから私(あひるねこ)宛てに複数の情報が寄せられたため、遅ればせながら実物を拝みに行ってきたぞ。

・かつやの店舗限定メニュー

10月23日より販売が始まったという『麻婆ロースカツ丼』。公式サイトを見る限り、全国に463店ある「かつや」店舗の内、現時点で食べられるのは102店舗だけのようだ。

ただし、中にはすでに販売を終了している店舗もあるようなので注意が必要だろう。私が訪れた新宿南口店ではまだ販売中だったが、在庫がなくなり次第終売とのことだった。

・麻婆の系譜

さて、「かつや」で麻婆というと、昨年7月に発売された『シビ辛麻婆チキンカツ』が思い出される。今回はチキンがロースカツに変更されたことで『梅』(税込759円)と『竹』(税込924円)の2種類が登場。果たしてどんな変化を遂げているのか?


とそこへ……


注文した『麻婆ロースカツ丼』(梅)が到着。3種の “醤” を使用したという特製麻婆餡が、これでもかという勢いでご飯の上にかけられている。



その傍らには、ロースカツがまるっと1枚。魑魅魍魎(ちみもうりょう)の如き期間限定メニューどもと日ごろ相まみえているからか、なんだか素のロースカツがやけにまともに見えてしまうな。

ところが……。ここで私は、この丼からめちゃめちゃ基本的な情報が抜け落ちていることに気付いた。もう一度よくご覧いただきたい。



豆腐いねぇ……!


・まさかの欠席

そう、実はこの『麻婆ロースカツ丼』には豆腐が一切入っていないのである。去年の『シビ辛麻婆チキンカツ』は豆腐入りだったため、完全に油断していた。ていうか……え? そもそも入ってないパターンとかあるの?

店舗限定メニューというあまり慣れないことをしたせいだろうか。どうやら俺たちの「かつや」は、その尋常ではないスピードで豆腐を置き去りにしてしまったらしい。それはさながらジョッキーを置いて走り出す競走馬だ。間抜けカワイイかよ。



と言いつつ、辛さ自体はかなり絶妙なところを突いてきていて、激辛ってほどではないにしても、花山椒によるジリジリと汗ばむような、たしかな刺激があるように思う。いつからか「かつや」は、辛さを自在にコントロールするコツをつかんだようだ。

豆腐不在のせいで、やや塩っ辛く感じられないこともなかったが、その分ロースカツとの相性はバッチリ。想像以上の完成度の高さに私も驚いてしまった。するとここで……

隣に座っていたスーツ姿の男性の元に、カツカレーが運ばれてきたのがチラッと目に入る。『麻婆ロースカツ丼』を食べる私の隣で勢いよくカツカレーにがっつく男性。その様子を横目にふと思った。

よく見たら『麻婆ロースカツ丼』って、中華版カツカレーみたいなものなのでは? もちろん普通に考えたらまったくの別物であるが、実は両者は同じような構造を持ったメニューだ。今回、豆腐がいないことで、それがさらに際立ったような印象を持った。

・絶賛続出の理由

SNSの反応を見ていると、『麻婆ロースカツ丼』はファンにも評判がいいようだ。それもそのはず。だってカツカレーみたいなもんなんだから。そりゃみんな好きだよな。そう、とどのつまり “かつや者” とは、極めて単純な生き物なのである。



図らずもその生態的特性を再確認したところで、今回のレポートは終了とさせていただく。冒頭でも書いた通り『麻婆ロースカツ丼』は在庫がなくなり次第終了だ。すでに終売した店舗もあるので、これから出会えるかどうかは運次第だろう。

単純極まりない(もちろん私を含む)“かつや者” 諸君らの幸運を祈っているぞ。それではまた次回。

参考リンク:かつや(『麻婆ロースカツ丼』販売店舗)
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.