ほぼ月イチのペースで発売される「かつや」の新商品は、我々 “かつや者” にとって最大の関心事の一つである。次は一体どんな頭の悪いメニューが飛び出すのか? ワクワクしながら情報解禁を待っているのは私(あひるねこ)だけではあるまい。

ところが、今回ばかりは嫌な予感しかしなかった。2022年7月1日より期間限定で発売された『シビ辛麻婆チキンカツ』。これは……ヤバイ気配がする。熱心な “かつや者” ならお分かりだろう。「かつや」の激辛系はマジでシャレにならんと。完食をためらうくらい鬼辛いのだ、と。

・かつや新商品

「かつや」の激辛メニューと聞いて思い出すのが、今年3月に販売された『辛出汁チキンカツ』である。詳細は記事をご覧いただきたいが、あのサイコで獰猛な辛さはとんかつチェーンのレベルを遥かに超えていた。まさに殺人チキンカツ。


実際、私のTwitterには読者からこんなコメントが寄せられている。


「いつもは新商品が開始する当日に行くのですが、前の辛すぎ案件があるので今回ばかりはあひるねこ氏の記事を読んでどうするか決めたいと思います」

・絶対辛い

熱狂的な「かつや」ガチ勢でさえ怯える激辛凶器……それが『辛出汁チキンカツ』だったのだ。これは今回の『シビ辛麻婆チキンカツ』も相当ヤバイに違いない。口に入れた瞬間、泡を吹いて痙攣(けいれん)する可能性もあるのではないか。

恐るべき新メニューは丼715円、定食825円で単品はなし(すべて税込価格)。どちらもテイクアウト可となっている。今回は丼を注文してみたぞ。さあ、約束されし超激辛チキンカツが……


これだ!!!!

・絶対辛い

むぅ……。かなり濃い~色をした麻婆豆腐の上には、真っ赤な糸唐辛子が惜しげもなく盛り付けられている。キャベツの代わりに来たとでも言いたげだ。お前のようなキャベツがいてたまるか。

そして、その背後に山脈のように横たわるカットされた2枚のチキンカツ。『辛出汁チキンカツ』と違って上から麻婆をぶっかけられていないので、サクサク感がキープされているのは素直に嬉しい。不幸中の幸いと言っていいだろう。

それではまず麻婆から……と行きたいところだが、初球で心が折れてしまう可能性があるため、ここはチキンカツから攻めることにしたい。とはいえ、時間と共に麻婆を吸収しつつあるので油断は禁物。心を決めたらロシアンルーレット気分で……


あぁむ!


…………。


ウマい。

・セーフ

なんというか、普通に麻婆風味のチキンカツだ。特別に辛いというワケでもなく、至極真っ当においしい。よかったまだ生きている。しかし、この麻婆豆腐に関してはいよいよヤバイ予感しかしないぞ。さらば我が妻子。来世でまた会おう……


あぁむ!


…………。


ああ! あああ! キタキタキタ!!!

全身に辛さが!!


こ、これは……!


あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!


激しく辛いーーー!!!!


我、四川の風となりけりィィィィイイ!!


……おや?


そこまで辛くない。

・どうした?

いや、もちろん辛くないことはないし、後からしっかりヒーヒーは来るものの、ちゃんとブレーキが備わっているというか、これまでの「かつや」の激辛系メニューと違って明らかに常識がある辛さだ。“悪夢のように辛い” ではなく、“ウマい寄りの辛い” に収まっている。

麻婆自体はひき肉が多めで、汁気が少ないからか箸でもまったく問題なし。食べ進めると夏の暑さも相まってじんわり汗が出てくるが、花山椒のシビれるような辛さはむしろ控えめとなっている。「かつや」はいつからこんな聞き分けのいい子になったのか。


以前、私は記事の中で『辛出汁チキンカツ』について以下のように書いた。


「誰も会議で『シンプルにこれ辛すぎません?』と疑問を呈さなかったのか? 社風が激辛なのか? アークランドサービスホールディングスは」


・まさかの改心

もしかしたらあの後、「かつや」の中でもやりすぎたなという反省があったのかもしれない。地平線に届くように限界まで振り切ってしまったなと。生まれつきのスピード狂だったなと。その結果が今回のウマ辛に繋がったとするならば、我々の犠牲にも意味があったというものである。


大きな驚きはないものの、『シビ辛麻婆チキンカツ』は『辛出汁チキンカツ』と比べて圧倒的に食べやすかった。それどころか、今年の期間限定メニューの中でも屈指の出来と言えるのではないか。

あまりにもまともすぎて “かつや者” としては逆に心配になるレベルだが、「カレーは甘口じゃないと無理」って人でもない限りはおいしく食べられるはずなので、どうか安心してご注文いただきたい。

【追記 2022年7月4日20時20分】
『シビ辛麻婆チキンカツ』の単品について、「かつや」のプレスリリースには情報が掲載されていないのだが、読者からのタレコミによれば税込み594円で販売されていたとのこと。出前アプリをチェックしたところ、単品での販売が確認できたため追記しておく。

参考リンク:かつや
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

★「かつや」関連の記事はこちら → シリーズ「かつや激闘集」

▼『辛出汁チキンカツ』の時の「かつや」の歌。