地元をよく知るタクシー運転手さんに、周辺のおいしいお店を紹介してもらおうという本シリーズ。今回はイギリス・ロンドン編だ。物価が高くて毎日わびしい思いをしている中、経費でメシが食えるのはありがたい。つけるぜ栄養!!! とはいえ……
イギリスといえば “あまり料理がおいしくない” というイメージが根強いのも事実である。失敗してコメントに困ったら嫌なので、ここはイギリスで一番有名な料理『フィッシュ&チップス』で勝負をかけたいと思う。さすがにフィッシュ&チップスなら大丈夫だろー!
・1回乗ってみたかった
ロンドン・タクシーは通称『ブラックキャブ』と呼ばれる、特徴的なフォルムの黒い車が有名だ。ちなみにブラックキャブの運転手になるには、世界一難しいと言われる試験をパスする必要があるぞ。やたら質が高いのだ、ロンドンのタクシーは。
タクシーの止め方が分からないので、手を挙げて「タクシー!」と叫んだら止まってくれた。
想像の3倍くらい広くて現代的だったブラックキャブ車内。世界一難しい試験を突破してきたであろうドライバー氏に「このへんで一番おいしいフィッシュ&チップス屋へ」とお願いしたところ、「う〜ん」とお悩みの様子である。
私はてっきりロンドンにはコンビニくらいの感覚でフィッシュ&チップス屋があるものと思っていたのだが、実際はそれほど数が多いわけではないようだ。とりあえず車を走らせてくれているので、だまって揺られることにしよう。
着いた! こちらがロンドン運転手さんオススメの店『Camden Head』。
・英国っていいな
入り口には堂々 “FAMOUS FISH & CHIPS(有名なフィッシュ&チップス)” と書かれており、有名なフィッシュ&チップス屋であることが想像に容易い。
ザ・オシャレな英国のパブって感じ!
屋内よりもテラス席が混み合っているようだ。
英国の日は長く、実はこの時すでに20時前。ウルトラライトダウンを着込んでも肌寒く感じられ、私は屋内の席を陣取ることにした。ロンドンの人は寒さに強いんだなぁ。
見たこともないオシャレなビールサーバー。逆に外国の人も日本でアサヒやキリンを見て「オシャレだな」って思うんだろうか?
店の人オススメのビールを飲む。こんなフルーティーで飲みやすいヤツをオススメの一発目に持ってくるなんて、日本人にはマネできない芸当である。
メニューはハンバーガーやサンドイッチ、各種盛り合わせにデザートなど。押さえるとこは押さえてますって感じ。
・本気のフィッシュ&チップス
こちらがCamden Headのフィッシュ&チップス13.99ポンド(約2542円)。今の日本人の感覚では「高くね?」なのだが、ロンドンのフィッシュ&チップス界隈ではむしろ安い部類である。円安終わってくれ〜マジで。
衣厚めでかなりハードボイルド……もとい、ハードフライドなタイプ。こういうの、私は好きだな。ナイフを入れれば「バリッ」と元気な音がした。
口を怪我しそうな熱さとバリバリ感。中はホクホク。ギュッと身が詰まっている。「これが国で一番有名な料理」って言われるとビックリしちゃう気持ちもあるが、私が複数のイギリス人と交流した結果、分かったのは “イギリス人はシンプルにフィッシュ&チップスが大好き” ってこと。
特に『チップス』の重要度が、日本とイギリスでは全然違うと思う。我々にとってポテトはハンバーガーのオマケだが、イギリス人の中には「永遠にポテトでOK」という者も少なくないのである。「イギリス料理はおいしくない」だなんて、少なくとも納豆食ってる奴が言えた義理じゃないことは確かだ。
半分も食べ進めると結構お腹いっぱいになってきたので、ビールとともにボチボチ流し込む。先ほど「高い」と書いたが、これ1品でツマミの全てを賄えると考えればリーズナブルなのかもしれない。他のイギリス料理も食べてみたくなった。
店を出ると、21時過ぎだというのにこの明るさ。気分がいいのでロンドン名物・ダブルデッカー(2階建ての赤いバス)に乗り込み、ビッグ・ベン(英国国会議事堂の時計台)を観に行くことにした。
ブラックキャブに乗ってフィッシュ&チップス食ったあとダブルデッカーでビッグ・ベンを見に行く私……完璧な英国淑女と言わざるをえない。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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