福井県鯖江市といえば「眼鏡の町」として知られている。国内製造の眼鏡フレームの96パーセントを製造しており、品質の高さにも定評がある。

同じく鯖江の有名商品に「大福あんぱん」がある。取り寄せグルメサイト「うまいもんドットコム」でナンバーワンに輝き、テレビ番組等でも紹介された商品だ。

販売する「ヨーロッパンキムラヤ」は、銀座木村屋総本店の暖簾分けのお店なのだとか。商品誕生の逸話は、心温まるものだった。

・サプライズで生まれた

お店は鯖江市の中心部に位置し、JR鯖江駅から徒歩(約10分)でも訪ねることができるところにある。


お店の創業1927年、初代は銀座木村屋で修行中に関東大震災で被災し、兄弟を頼って鯖江にたどり着いたという。後に銀座木村屋の暖簾分けとして創業し、鯖江に初めてあんぱんを紹介したとされている。

二代目は探求心旺盛で世界中を視察に訪ね、ヨーロッパの製法を取り入れた商品を考案。大福あんぱんもそのひとつだった。そして三代目は、先代・二代目の培った製パン技術を踏襲しつつ、対面販売の店舗を造り上げ、オリジナリティの高い商品を手掛けている。



看板商品の大福あんぱんの誕生の逸話が公式サイトに記載されているので、紹介したい。

「ヨーロッパンキムラヤ二代目が、パリに住む大福好きの友人を驚かせようと、パンの中に隠して持っていったのが、この大福あんぱんの始まりです。

その大福は、日本に住むお母さんが、大福好きの息子に持っていって欲しいと二代目に頼んだものでした。 二代目は、どうやって持っていこうかと考えました。大福は雪のような真っ白な粉で覆われ、柔らかく、母のぬくもりがありました。それを一番伝わる方法で持っていきたかったのです。 二代目は、パリで“幸せ”の象徴とされる“ブリオッシュ”の生地で大福を包み焼き上げました


二代目と友人の母親、2人の思いが重なり合ってこの商品を生まれた。思いの深さゆえに、大福あんぱんは今でも多くの人に愛されているのではないだろうか。



・ブリオッシュと大福の組み合わせ

これが実物の大福あんぱん(税込250円)である。


パンは、パリで「幸せ」の象徴とされるブリオッシュを使用している。そんな幸せの象徴の中に、友人の好物を詰め込んだ二代目の心遣いが粋だ。袋を開けると漂う甘い香りに、食欲をそそられる。


中には粒あんたっぷりの大福が入っている。この種の商品では、和菓子でお馴染みの「求肥(ぎゅうひ)」を餅に見立てて入れていることがあるが、この商品は正真正銘の大福餅が入っている。写真ではわかりにくいが、餡子はしっかりと餅に包まれている。



食べると、ブリオッシュの軽やかな歯ざわりの向こうに、もっちりとした大福の食感。異なる2つの食材の食べ合わせの “妙” が面白い

二代目の仕掛けたサプライズに、友人はきっと驚いたはず。思わず「餅!」と叫んだかもしれない。当時のパリで大福を食べるとは思わなかっただろうから。


なお、この商品は「うまいもんドットコム」で通販(冷凍)している。準備でき次第出荷とあるので、手元に届くのは少々時間がかかるかもしれないが、興味のある人は購入してみてほしい。ブリオッシュと大福の食べ合わせの良さに、驚くはずである。


・今回訪問した店舗の情報

店名 ヨーロッパンキムラヤ
住所 福井県鯖江市旭町2-3-20
時間 9:30~18:00
定休日 日・祝日

参考リンク:ヨーロッパンキムラヤうまいもんドットコム鯖江市
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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