思春期からずっと私の心を支えてくれているヴィジュアル系ロックという音楽ジャンルが近年、やや過疎傾向にあってツラい。バンドマンもバンギャルも頑張っているのだが、自分の無力さに涙する日もある。でも……頑張るけどね!!!

我々がこれほど頑張れる理由のひとつに “俺たちのトップにはYOSHIKIがいるという想い” があると思う。他バンドがどれほど下火でも、YOSHIKIだけはずっとバブルだ。YOSHIKIがいるから頑張れるし、YOSHIKIはずっと走り続けてほしい。心からそう願うよ。

そんな私の元へ、シンガポールの友人から「シンガポールにYOSHIKIが来たバーがある」とのタレコミがあった。行くしかないよ、普通に。

・ドレスコードに注意

“(過去に1度でも)YOSHIKIが来たバー” なら恐らく日本国内にも、少なく見積もって100軒くらいあると思う。でも、そんなことは問題じゃない。たとえ全てを制覇することができなくとも、そこにYOSHIKIが来たバーがあれば、全力で行くのが我々の使命だからだ。

今回訪れたバーは名を『ATLAS(アトラス)』という。友人いわく、予約なしで入店することはほぼ不可能な人気店らしい。ネットで予約できるよ。

YOSHIKIほどの要人が訪れるバーであればドレスコードがあるかもしれず、私は慌てて露天でYOSHIKIが着ていそうな赤いシャツを買った。日本より物価が高いので注意。

こちらがシンガポールの超リッチビル・パークビュースクエア。この1階にアトラスがある。緊張するなぁ。


・美しすぎて恐怖

特に怪しまれることもなく、私と友人は入店することができた。


あぁ……これは……YOSHIKIが来てもおかしくないね。


海外ドラマでしか見たことがない荘厳にしてお耽美な空間。個人的にはファーストデートでここへ連れてこられたら、嬉しいよりも不安が勝るかもしれない。だってこんなとこへ来る人たちって、何のお仕事をされているの? 全員ロックスターなのか?

挙動不審を悟られぬよう、涼しい顔で『アトラス マティーニ』25SGD(約2710円)を注文。

自分で混ぜるスタイルらしい。このクラスのバーではこれがスタンダードなのか、それとも珍しいのか? 育ちが悪すぎて見当もつかない。これをYOSHIKIも飲んだんだろうか? だとしたら嬉しいな。せっかくなのでフードも注文してみようっと……

めっちゃ皿の端っこに寄ってるやつきた。オシャレっちゃオシャレだし、怖いっちゃ怖い。


・実は全員一般人説

だんだんアトラスの雰囲気に慣れてきた私は、YOSHIKIが座ったであろう席を割り出して写真を撮ったり、YOSHIKIが眺めたであろう景色を眺めて想いを馳せるなどした。

店内中央の “カラフルな酒瓶が大量に並んだガラス張りの塔” はアトラスのシンボルであるらしく、客たちの多くはパシャパシャと写真を撮りまくっていた。それはもう、順番待ちの行列ができていたほどである。店側も慣れているとみえ、全くお咎めなし。

先ほどまではロックスターか社長に思われた彼らも、こうなるとただの観光客に見えてきた。さては皆さん、全員YOSHIKIのファン? 運命共同体だというのか?

そう考えるとアトラスは意外に居心地が良く、私はつい長居をしてしまったのでした。

シンガポールへ来た記念と思えばそれほど高くないし、結果的にYOSHIKIファンもそうでない人も、人生経験としてこの空間を見ておくべきなのでは? と感じたシンガポールの夜だった。なんだかワンランク上の人間になれた気がする?


・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 ATLAS
住所 Ground floor, 600 North Bridge Rd, Parkview Square

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.