100円ショップのダイソーで、2023年8月中旬から手塚キャラのグッズの販売が始まっている。手塚作品といえば、「鉄腕アトム」や「火の鳥」「リボンの騎士」「三つ目がとおる」などなど……。それらに登場するキャラのグッズが、ほぼ全品税込110円(一部税込220円)で販売されている。

なかでも私(佐藤)が注目したのは、無免許の天才外科医「ブラック・ジャック」の商品である。購入して実物を手にしたところ、いずれも秀逸なデザインなのだが……。今さらながら、ブラック・ジャックの金銭感覚がむちゃくちゃで困惑してしまった……

・ブラック・ジャックと私

手塚プロダクションの公式X(Twitter)は8月10日に、ダイソーでの手塚キャラのグッズ販売についてアナウンスしている。



その後、台風等の影響により一部商品の店舗への入荷が遅れていたものの、現在(9月7日)特別なアナウンスはないため解消されているのだろうか。


さて、ここで少々ブラック・ジャックについて語らせて頂きたい。私はブラック・ジャックが手塚作の中でも、1、2を争うほど好きだ。初めて読んだのは小学生の時だったと思う。近所に住む年上のご兄弟のお宅に複数巻あって、訪ねる度に読ませて頂いた覚えがある。その当時はあまり内容を深く理解できていなかったものの、不思議と夢中になって読んでいた。

高校生の頃に再読し改めて作品のすごさを理解して、繰り返し読んだものだ。今でもいくつかのエピソードが記憶に深く刻まれている。

もっとも印象に残っているのは、『ときには真珠のように』というエピソード。その中で、ブラック・ジャックの恩師、本間丈太郎が残す言葉が記憶に刻まれている。その言葉は、命と真摯に向き合うことをブラック・ジャックに諭すものだった。

振り返ると、この言葉は本間丈太郎というキャラクターを通して、手塚治虫氏本人が読者に語りかけていたのではないだろうか。あの言葉は今でも胸の中にある。とても深い言葉なのでここでは控えておこう。作品を通して知って頂きたいので、ぜひ作品(漫画・アニメ)をご覧頂きたい。


・金銭感覚……

今回、グッズを購入するために、私は都内でも最大規模の店舗「ダイソー アルカキット錦糸町店」を訪ねた。広い店舗をさまよい歩いて探しまわったところ、レジ近くの棚で発見! コレだなッ!!


購入したのは7点。すべて110円である。まず1つめはブラック・ジャックのペーパータオル。手術中に助手のピノコに汗を拭くようにお願いしているカットがデザインされている。


次にリングノート。彼の顔の傷を中央に配した秀逸なデザイン! コレ、スゴイ!!


それから、手塚作品ではお馴染みのヒョウタンツギのリングメモ。2つで110円。カワイイ!


で、次はチャック付きの袋2種類なんだけど~……。なぜこのカットを採用したのか。無免許医の彼が、患者に法外な報酬を要求することは確かにあるのだが……。


そしてミニシール。品名は「ブラック・ジャックの手術料」とある。使用カットはすべてお金に関するもので、その金額のふり幅がえげつない。最安値は30円。最高額は1000万ドル(約14億7400万円:2023年9月のレート)。

金銭感覚はどうなってんだか……


同じく手術料のマスキングテープ。これにもブラック・ジャックのイカれた金銭感覚のカットが施されている。もし彼に「手術料1億円」と言われたらギョッとするけど、逆に「30円」と言われても、それはそれで不安になるかも……。


なお、このほかにもグッズはあり、このお店の店頭に並んでいない商品もあるそうだ。ちなみに今年は連載50周年。それを記念して、10月から六本木ヒルズで「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が開催される。ファンならぜひ足を運んで頂きたい。私も行くつもりだ。

いまだ作品を読んだことがない人には、読むことを強くオススメする。時間がなければアニメ作品でも良いので、ぜひともご覧ください。半世紀を経て今なお愛されている理由が、きっとわかるはず。


参考リンク:手塚治虫オフィシャルサイト「虫ん坊」[12]、X @TEZUKA_goods
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24